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Developers Summit 2023 セッションレポート(AD)

データサイエンティストが活躍できる組織運営のTipsとは?──日常の悩みを解決するデータサイエンス事例も紹介

【9-E-7】データサイエンスの無駄遣いと、データサイエンティストが活躍できる組織運営の振り返り

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AaaS Tech Labでは役割分担をせず、全員参加の開発スタイルを採用

 2022年4月、博報堂DYグループに新しいデータサイエンティスト集団「AaaS Tech Lab」が発足した。同組織の役割は大きく2つ。1つは先進的なアルゴリズムでメディア・コンテンツ効果を分析・予測すること。もう1つがデータを駆使した次世代のコンテンツやメディアビジネスの仕組みを開発することである。

 AaaS Tech Labに在籍しているメンバーは篠田氏含め6人。入社15年目の篠田氏を除くと、入社1年目が2人、2年目が2人、4年目が1人と全体的にメンバーの年齢層は若め。Kaggle Masterはじめ各人がデータサイエンスコンペに積極的に参加しており全員が自らプログラミングを行う。

 博報堂テクノロジーズは各人が働きやすい環境として出社・テレワークを選択できるため、部のメンバーが直接会って話をするのは月に一度あるかないかだという。そんな環境の中でスムーズな組織運営をするために、篠田氏が意識していたのが「Flat&縁起」というキーワードである。

 「Flat&縁起」とは全員がフラットにやったことの結果が可視化されるスタイルだという。それを実現するためのルールは3つ。第一のルールは「全員参加の開発スタイル」。業務で扱うデータ群や開発プロダクトは多岐に渡り、かつ有機的につながっている。例えば、テレビ広告効果を予測するものを作ることもあるほか、デジタル広告がテレビの効果でどれだけリフトするのかを計測するツールを作ることもある。

 「開発物は有機的につながるので、この人はテレビ担当、この人はデジタル担当というような役割分担は人数的にも機能的にも困難でした。そこで考えたのが全員参加の開発スタイルです」(篠田氏)

 そのために採用したのが、KaggleやSIGNATEでなじみのあるLeader Board。プロダクトごとに設置し、それぞれが作成した予測モデルを投稿して、精度を競い合うのである。

 「2~3週間して落ち着いてきたタイミングでコードを共有し、ベースラインをそろえる。その状態でもう一度、予測モデルを競う。このような活動を3~4回繰り返して精度を高め、PoCやローンチへと至ります」(篠田氏)

 Leader Boardごとにオーナーを立てているが、その人が開発を推進するわけではない。開発のためのドキュメントやデータ、指標の整備をする役割を担う。そしてチームメンバーは同時並行で各プロダクトに参加する形だ。

 このような開発スタイルを採用したメリットは複数ある。まずは属人的なコードになりづらいこと。精度検証にならず相互チェックが可能だからだ。第二に個人のスケジュール調整が開発のボトルネックにならないこと。第三にプロダクトごとにLeader Board投稿用のドキュメントやデータが整備されているため、新規メンバーへの研修やOJTが容易にできることだ。

 「いいことだらけに聞こえるが、うまくいかないこともある」と篠田氏は吐露する。それは参加メンバーへのインセンティブ付けをどうするかということ。「この件については試行錯誤中」と篠田氏は言う。

Leader Boardを活用した全員参加の開発スタイル
Leader Boardを活用した全員参加の開発スタイル

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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