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.NET最新版でASP.NET Core

ASP.NET Coreでリアルタイム通信を実現! SignalRの使い方

.NET最新版でASP.NET Core 第12回

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SignalRの構成要素

ハブ

 SignalRによるリアルタイム通信で中心的な役割を果たすのが「ハブ」です。ハブは、クライアントから呼び出し可能なメソッドを集めたものです。これらのメソッドは、主にクライアントからデータをサーバに送信したりなどの目的で用意され、メソッド自身が値を返したり、サーバがクライアント側のメソッドを呼び出して、必要な処理を行わせたりすることが可能です。

クライアント

 ハブに用意されたメソッドを呼び出すのが「クライアント」です。メソッドを呼び出すことで、サーバにデータを送信したり、他のクライアントが送信したデータを受信したりすることができます。ハブのメソッドは、クライアント側でハブ接続オブジェクト(HubConnectionオブジェクト)を作成して呼び出します。上記の通り、クライアントで作成したメソッド、関数をサーバから呼び出す仕組みも用意されています。

トランスポート

 サーバとクライアント間の伝送路は「トランスポート」といいます。SignalRでは、サーバとクライアントの組み合わせで最適なものを、以下の3つの方式から自動的に選択します。

(1)WebSocket

 WebSocketとは、サーバ・クライアント間における非同期通信のための、HTTPを拡張したプロトコルです。最初こそHTTPによる通信を行いますが、WebSocketの接続確立後は独自の通信プロトコルに移行し、フレームと呼ばれるテキストまたはバイナリ形式のフォーマットでデータをやり取りします(図2)。

図2:WebSocket
図2:WebSocket

(2)サーバ送信イベント(Server Side Events)

 サーバ送信イベントとは、文字通りサーバからクライアントにプッシュ送信するイベントをいいます。通常のイベントとは異なり、サーバ側のタイミングで通信を行います。クライアントは、あらかじめサーバにEventSourceオブジェクトを作成してもらい、サーバはこれによりプッシュ配信を開始、クライアントはそれを監視するという動作になります。

(3)Long Polling

 Long Pollingは、クライアントからのリクエストがあったときに、返すべきレスポンスが用意できるまでサーバが待機するというもので、特定のプロトコルに依存しない最も単純な方式です。通常のポーリングに比べて遅延がない、無駄なトラフィックがないなどのメリットがあります。WebSocketが使えない、サーバ送信イベントが使えないという場合の最後の手段といえます。

 最新の環境では、基本的にWebSocketが使われると思ってよいでしょう。これも、実際に何が使われているかは開発者もユーザも意識する必要はありません。また、後述するように、トランスポートの作成時にどの方式を使うかということを明示的に指定することもできます。

サポートされるプラットフォーム

 SignalRは、Razor Pages、ASP.NET Core MVC、Blazorといったサーバプラットフォームがサポートされます。本記事のターゲットである.NET 6と.NET 7では問題なく動作します。これらのプラットフォーム上に、ハブを構築できます。

 クライアントとしては、JavaScriptをはじめとして.NETクライアント、Javaクライアントが利用できます。かつてはC++クライアント、Swiftクライアントも存在しましたが、現在はサポートされていません。なお、JavaScriptの使用においてはES6(ECMAScript 6)のサポートがあるWebブラウザが必要ですが、現在利用されているSafari、Chrome、Firefox、EdgeといったWebブラウザでは問題なく動作します。

[NOTE]他のサブフレームワークとの違い

 ASP.NET Coreには、Web APIやgRPCといった、SignalRと似た位置付けの通信主体のフレームワークがあります。これらの特徴は第10回の表2にまとめておきましたので、サービスを使い分ける際の参考にしてください。

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 山内 直(WINGSプロジェクト ヤマウチ ナオ)

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook <個人紹介> WINGSプロジェクト所属のテクニカルライター。出版社を経てフリーランスとして独立。ライター、エディター、デベロッパー、講師業に従事。屋号は「たまデジ。」。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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