プロンプトの活用でプレゼン~プロトタイプまで簡単作成
では、日々の業務において、畠山氏は実際にどのようにプロンプトを活用しているのだろうか。想定シナリオとして、畠山氏が福島県のDX関連のプロジェクトに携わっている関係から、デモ用の例として郡山市の観光事業において「観光者向けアプリケーションを作成する」という設定が提示された。
まずは、クライアントが要件を決めるのを待たずに、すぐにBing Chatで調べてみる。「郡山市の観光情報をリストアップ」と指示して出てきた情報を、さらにWordやPDFにエクスポート。PowerPointのなかにもCopilotが入っているので、「ファイルからプレゼンテーションを作成」をクリックして先ほどエクスポートしたWordのファイルを選択すると、3分ほどでプレゼンテーション資料を作ってくれた。
作成されたプレゼンテーション資料は写真素材入り。この写真もAI生成で作られているので、知財上の問題もない。さらにプレゼンテーションの際に読み上げる原稿も付いている。ここまでの作業がわずか5分ほどで完了してしまった。しかも畠山氏はキーボードは使っておらず、マウスでの操作だけだ。
こうして作られた叩き台をもとに企画が固まれば、次はプロトタイプの作成だ。ChatGPTに「コンサルタントとしてユースケースを考えて」と指示すれば、サービスの一覧を示し、実装上の考慮事項まで教えてくれる。さらに、ユースケースから機能要件を抽出させると、アプリ開発の目的・背景、想定ユーザー、利用シーン、おもな機能、画面・操作、外部サービスとの連携など、こちらが考えていなかった部分まで具体的に考えてくれるのだ。
非機能要件は、クライアントに思いつくままに話してもらったなかから抽出。ここまでくれば、アプリケーションのアーキテクチャ図が作られ、さらにMermaid Live Editorで図版作成用のコードも書いてくれる。プロジェクトのマイルストーンとしてのガントチャートを作り、データモデルも考えてもらう。最後にここまでのスクリプトやコードを作成。そして、ダウンロードできるようにすれば、プロトタイプがあっさりと完成する。
ここまでかかる時間は30分ほど。先ほどのプレゼンテーション資料作成と合わせても、2時間あれば打ち合わせ中にプロトタイプを作って動かせる状態にできる時代になっている。わざわざ一度持ち帰って要件定義をする必要はない。クライアントとしても実際に動作しているところを見た方がわかりやすく、双方にメリットのある進め方だ。