新しいアプリインスペクタ
次に紹介するのは、新機能リストの5のアプリインスペクタ(App Inspection)です。
3個のインスペクタを統合したツールウィンドウ
Android Studioには、バージョン4.1より、アプリが利用しているデータベースを操作できるツールとして、データベースインスペクタがありました。また、アプリのバックグランド処理の状況を確認できる新たなインスペクタとして、バックグラウンドタスクインスペクタ(Background Task Inspector)が、Arctic Foxで導入されました。そのArctic Foxで、バックグラウンドタスクインスペクタが導入されたのを機に、先のデータベースインスペクタと統合して、新たなインスペクタとしてApp Inspectionツールウィンドウが導入されています。
さらに、Bumblebeeでは、これまでProfilersツールウィンドウの一部として表示されていたネットワークプロファイラが、ネットワークインスペクタとして生まれ変わり、このApp Inspectionツールウィンドウに統合されました。
結果、Hedgehogでは、App Inspectionツールウィンドウを開くと、図5のように、Database Inspector、Network Inspector、Background Task Inspectorの3個のタブが確認でき、それぞれのインスペクタが利用できるようになっています。以降、3種のインスペクタに関して、それぞれの新機能を紹介していきます。
データベースインスペクタのエクスポート機能
最初は、データベースインスペクタです。先述のように、データベースインスペクタは、バージョン4.1で導入され、4.2でもクエリエディタの使い勝手の改善が施されています。さらに、Arctic Foxでは、データベースの内容をファイルにエクスポートする機能が追加されています。
この機能を利用する場合、図5のデータベースインスペクタ画面のテーブル一覧が表示されているセクションからエクスポートしたいテーブルを選択し、アイコンをクリックします。
すると、図6のダイアログが表示されるので、SQLかCSVかのエクスポートファイルの形式を選択し、[Export]ボタンをクリックすると、Save locationで指定したファイルが生成されます。
このエクスポートの際、テーブルではなく、データベースを選択し、同じくアイコンをクリックすると、エクスポートダイアログが図7のように変わり、エクスポート形式として.dbファイル形式が増えます。これにより、データベースをまるまるエクスポートすることも可能となります。
新しいネットワークインスペクタ
App InspectionツールウィンドウのNetwork Inspectorタブをクリックすると、図8のような画面となります。実は、このような表示になったのは、Flamingo以降です。
このネットワークインスペクタでは、ネットアクセスを伴うアプリが、どのタイミングでどこにアクセスしているのかを可視化できるようになっています。インスペクタ画面の上部では、時間軸に沿って、どのタイミングでネットアクセスが発生したかがわかるようになっています。また、下部のConnection Viewでは、アクセスしたパスがリスト表示されています。
このリストからパスを選択すると、図9の画面へと変化し、アクセスした内容の詳細情報を取得できるようになっています。
また、同じくFlamingoでこのネットワークインスペクタに導入されたのが、Rulesタブです。このRulesタブをクリックすると、図10のような画面に変化します。
これは、ネットアクセスの際に、そのレスポンス内容を変更することで、アプリの動作確認が容易になる機能です。Rulesタブのリスト表示の[+]アイコンをクリックすると、ルールが追加されるので、右ペインのRules Detailsセクションからルールを設定します。このセクションの前半部分のみを表示させたのが、図11です。この部分のNameにルール名を入力し、Originサブセクションにレスポンス内容を書き換えるURL設定を行います。 例えば、Pathに「getOneArticle.php」を設定したならば、このパスにアクセスするたびに取得したレスポンス内容を書き換えます。さらに、Responseサブセクションの[Apply Rule for status]にステータスコードを入力すると、さらにステータスコードによる絞り込みも行えます。
このResponseサブセクションの[Replace with status code]にチェックボックスを入れ、任意のステータスコードを入力すると、レスポンスのステータスコードを書き換えることができます。例えば、[Apply Rule for status]に200を入力し、[Replace with status code]に500を入力しておくと、サーバ側の処理が正当に終了、すなわち、レスポンスのステータスコードが200だとしても、ステータスコードを500としてアプリにレスポンスデータが渡されます。これにより、ステータスコードが500の場合の動作検証が行えます。
さらに細かくレスポンス内容を変更する場合は、図12のRules Detailsセクションの後半部分に設定します。それぞれ、レスポンスヘッダ、および、レスポンスボディそのものをさまざまに変更することができるようになっています。
全く新しいバックグラウンドタスクインスペクタ
App Inspectionツールウィンドウに新しいインスペクタとして追加されたのが、バックグラウンドタスクインスペクタです。これは、Background Task Inspectorタブを選択して表示される図13の画面です。
このインスペクタでは、アプリの中でWorkManagerを利用している場合、WorkManagerによって実行されたWorkerの状況を確認できるようになっています。それぞれのWorkerを選択すると、図14のように、そのWorkerの詳細情報を確認できるようになります。
ステータスがrunning、または、enqueuedのWorkerに関しては、左上にアイコンが表示され、それをクリックすることで、該当Workerの処理をキャンセルできます。
また、Workerを選択した状態でリストの右上にあるアイコンをクリックすると、画面が図15のように変わり、Workerチェインの関係もグラフにて確認できるようになっています。
この表示の場合、アイコンはアイコンへと変化するので、このアイコンをクリックすることで、元のリスト表示に戻ります。
このバックグラウンドタスクインスペクタは、Arctic Foxで追加された当初は、確認できるのはWorkerのみでした。これが、Bumblebeeで改変され、図13のように、Worker以外にもJobs、Alarms、Wakelocksの欄が追加され、それぞれのタスクを確認できるようになり、現在に至っています。