新しいプロファイラ
最後に紹介するのは、新機能リストの6のプロファイラです。
整理されて2種になったプロファイラ
アプリが端末内で実行されている際、メモリやCPUなどのリソースをどのように利用しているかを確認するツールは、初期の頃のAndroid Studioからありました。当初はモニターツールと呼ばれており、それが、バージョン3.0でプロファイラと名称が変わりました。このプロファイラが、Arctic FoxでUIの変更が施され、BumblebeeとChipmunk、Flamingoで改良が施され、Hedgehogでは、図16の画面となっています。
図16の画面を見ると、CPUとメモリの情報しか表示されていません。先述のように、ネットワークに関する情報は、Bumblebeeでアプリインスペクタの一部に移植され、プロファイラからなくなっています。また、かつてエネルギープロファイラと呼ばれていた機能の一部はバックグラウンドタスクインスペクタとなりました。さらに、残っていた機能も、図16でも確認できるように、System Traceに移行しています。これは、CPUプロファイラの一部であり、Hedgehogで行われた改変です。このように、最新のプロファイラでは、CPUとメモリの2種のプロファイラへと整理され、より使いやすいものへとなっています。
CPUプロファイラのレコーディング
そのSystem Traceは、CPUのタイムラインをクリックして表示される図17のCPUプロファイラのレコーディング画面から取得します。このレコーディング機能は、ABCシリーズ以前からある機能であり、レコーディング対象の選択肢が、ドロップダウンからラジオボタンに変わり、名称が若干変更になっていますが、ABCシリーズ以前とそれほど変化していません。
図17の画面の[System Trace]のラジオボタンが選択されている状態で、[Record]ボタンをクリックし、アプリを操作します。一通り操作を終えて[Stop]ボタンをクリックすると、その間のリソースの使い方を記録し、図18のような画面になります。
この画面のグラフが表示されているセクションをスクロールすると、下部の方に図19のようにCPU CoreやProcess Memory、Batteryの欄があり、ここからかつてエネルギープロファイラで確認できた情報を確認できます。
もちろん、図17のラジオボタンから[Callstack Sample]を選択すればメソッドや関数の呼び出しの階層構造(スタック)を記録できます。より詳細なメソッド呼び出しの内容を記録したい場合は、[Java-Kotlin Method Trace]を選択します。
また、これらの記録内容は、レコーディングリストにマウスを合わせることで、図20のように表示される
アイコンをクリックすることで、ファイルに保存することができます。あるいは、リストを右クリックして表示される[Export]メニューの選択でも保存できます。
UIジャンクの検出が容易に
このSystem Traceでは、さらにUIジャンクを容易に検出できる機能がBumblebeeとChipmunkで追加されています。UIジャンクというのは、UIをレンダリングする際、レンダリングフレーム内にレンダリングが終了しなかったものをいいます。つまり、レンダリングに失敗したフレームのことです。
図18の画面のDisplayセクションにJanky framesという表示が確認できます。これがまさにUIジャンクのフレームを表示している部分です。ただし、このジャンクフレームを独立して表示させるには、接続端末がAndroid 12(API level 31)以上である必要があります。
図21は、このジャンクフレームのひとつを選択した上で、拡大表示した画面です。
この画面の右ペインでは、ジャンクの詳細情報が表示されています。また、Deadlineと表示された赤点線が確認できます。この点線が本来のフレーム幅を表しており、この時間内にレンダリングが終了しなければならないことを示しています。図21にもあるとおり、この点線は下のThreadsセクションにも続いており、どのスレッドが原因でこのDeadlineを超えているのかも併せて確認できるようになっています。
メモリプロファイラもレコーディング可能
CPUプロファイラで行ったレコーディングは、Arctic Foxでメモリプロファイラでも可能となりました。図16のメモリのタイムラインをクリックすると、図22のメモリプロファイラ画面へと変化します。この画面から、ある時点でのメモリの使用状況が確認できます。
さらに、[Capture heap dump]、[Record native allocations]、[Record Java/Kotlin allocations]のラジオボタンを選択して、[Record]ボタンをクリックすると、その時点での以下の内容のデータが記録されます。
- Capture heap dump: アプリの内のオブジェクトのメモリ使用状況
- Record native allocations: C/C++オブジェクトのメモリ割り当て状況
- Record Java/Kotlin allocations: Java/Kotlinオブジェクトのメモリ割り当て状況
例えば、[Capture heap dump]では、図23のような内容になります。各クラスのメモリ使用状況が上部にリスト表示されており、リストのひとつを選択すると、下部に詳細リストが表示されるようになっています。また、上部の[View app heap]などのドロップダウン類を選択することで、表示を絞り込むことも可能です。
同じく、[Record Java/Kotlin allocations]の結果画面は、図24のようになります。JavaやKotlinのさまざまなデータに対するメモリ割り当てを確認できるようになっています。
まとめ
Android StudioのABCシリーズの新機能を紹介する本稿は、いかがでしたでしょうか。本稿では、Arctic FoxからHedgehogの間に追加された新機能のうち、主要な6テーマに関して2回にわたって紹介してきました。
本稿執筆時点では、Android Studioの次のバージョンであるIguanaのRC2版がリリースされています。また、その次のバージョンであるJellyfishも開発が進んでおり、Canary 10までリリースされています。今後も、これらの新バージョンで導入される新機能に注目していきたいと思います。
