アジャイル開発とAIの相乗効果とは
続いて、NECソリューションイノベータの加藤学氏が登壇し、開発チームのコミュニケーションやマネジメントと生成AIをテーマに話した。加藤氏はマイクロサービスや認証サービスの開発にアーキテクトとして関わっており「今回はアジャイル開発の事例を紹介したい」と説明を始めた。
アジャイルの特徴は、設計からテストまでの各サイクルを繰り返し、フィードバックを頻繁に行い迅速に対応できる点にある。
加藤氏のアジャイルチームは、短いサイクルで開発を続けるため疲弊しがちで、新しいことに取り組む時間が取れず、ペアプログラミングもメンバーが忙しくて頼みにくいという課題を抱えていた。アジャイルでは各サイクルごとに計画を立てて進めるため、残業が増えることはないが、作業に追われて勉強の時間が取れず、メンバーが疲弊しモチベーションが低下する懸念があった。
そんなある日、GitHub Copilotをプロジェクトで使えることになり、メンバーは期待を寄せた。生成AIは必ずしも正しい答えを返すとは限らないが、アジャイルの短いサイクルで得た知見を次々に改善していけるため、不安はなかった。設計段階では問題が起こりにくく、開発やテストで遅れが生じることが多いが、アジャイルでは小さな失敗を繰り返し改善して進めていく。このように、小さな失敗を教訓として改善を繰り返すことでAIも含むチーム全員が成長し続けていける。
生成AIを導入して3ヶ月、約10サイクル展開した後にメンバーにアンケートを採った。「生成AIの導入で開発時間を短縮できましたか?」という質問に対して、ほとんどの人が「そう思う」「とてもそう思う」と回答した。また、「生成AIで短縮した時間を何に使用しましたか?」という質問に対しては、検討作業やチェック時間の増加、新しい技術の調査などの学習に充てられていることがわかった。
加藤氏は「ウォーターフォールだと3ヶ月経ってもまだ設計段階で、開発に生成AIを使うところまで至りません。しかし、アジャイルでは自分たちの成長が促進されています。これはすごいことだと思う。最初は失敗してもいい。小さな失敗を繰り返して改善していくのがアジャイルの良いところ。生成AIと良い関係を保ちながら私たちは今も成長し続けています」と語った。
加藤氏はさらに人材不足について話を向けた。NECソリューションイノベータではリモートワークを中心のワークフローを確立しているため、全国幅広い地域から人材を集められるようになっているものの、それだけでは足りないため、海外の人材登用を拡大したいと考えている。加藤氏は、ベトナムのメンバーがオンライン会議でベトナム語を話し、それが日本語テキストに自動翻訳される様子のビデオを共有し「このような技術が進展すれば、言語を超えてリアルタイムでコミュニケーションできる時代が来るのではないかと考えています」とコメントした。
最後に再び藤井氏が登壇し、エンジニアには「本当にやりたい仕事」があること、やりたい仕事に集中するには、これまで述べてきたように、生成AIの助けが有効であることを説明した。「AIは時には優しい先輩として、時には気が利く後輩として、隣でエンジニアの仕事を一緒に支えてくれるパートナーです」
本セッションの締めくくりとして語られたのは、エンジニアの「輝く未来」。そこには、パートナーであるAIとともに、美味しい大福を堪能しつつ、技術力を高めながら楽しく仕事をする未来の1日が描かれていた。
藤井氏は「エンジニアがやりたいことをもっと追求し、エンジニア自身が輝いていきましょう!」と呼びかけた。
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