基調講演で紹介された、IBMの最新テクノロジートレンドは?
中でもテクノロジートレンドについて語られる基調講演は、大西氏の思い入れが最も詰まったセッションだ。「AIファースト時代の価値創造をテーマに、基調講演を組み立てました」と大西氏は話す。IBMにとってAIはビジネスの中で使われてこその技術。基調講演では業務の中でAIをどう活用するのか、あるいはAI製品の中でどうAIが使われているのか、それをきちんと感じていただけるよう、意識して作ったという。
講師を務めるのは日本IBMテクノロジー事業本部所属のエンジニアとレッドハット所属のエンジニア。まず3分間、日本IBMのオープンなAI戦略に関するスピーチの後、レッドハットのエンジニアが登場した。テーマは価値創造のためのオープンなAIプラットフォーム。「企業の関心はAIを業務で使う段階に変わっているということから、同社のAI/ML向けプラットフォーム『Red Hat OpenShift AI』を紹介。同ソリューションはサンドボックスも用意している。企業内にAIアプリのスモールスタートができる環境を作っていこうというトピックを、デモを交えて紹介しました」(大西氏)
以後はIBMパート。「IBMではいろんな先端技術に取り組んでいることを紹介したかった」と大西氏が言うように、5つのトピックスを立て、スピーチを展開。最初のトピックスは「IBM watsonx」。IBMと共創するビジネスのためのAIがテーマだ。架空の会社を想定し、お客さまの課題を引き出すためのデザインシンキングワークショップから、その課題を解消するMVP(Minimum Viable Product)の開発、評価、ハンズオン体験などを20分間のロールプレイ(寸劇)で紹介した。「エンジニアやデザイナー、製品担当、MVPを作る開発者、お客さまに伴走するカスタマーサクセスマネジャーなど、このパートだけで壇上に7人上がりました」(大西氏)
続いてのトピックスはアプリケーション管理。企業のIT環境が複雑化していることで、さまざまなリスクが生じている。脆弱性もその一つで、米国の事件などの例を挙げながら、AIを活用したアプリ管理ソリューション「IBM Concert」を紹介。また2030年頃には2048ビットのRSAが破られる可能性があると言われていることから、そのリスクを軽減する「IBM Guardium Quantum Safe」を簡単に紹介。午後に行われるセッションへの誘導を図るような仕立てとなっていた。
第3のトピックスはセキュリティ。中でもAIが当たり前のように活用されるようになると、重要になるデータベースの保護とバックアップの保護に焦点を当てた。データベースの保護には「IBM Guardium Data Protection」というソリューション、バックアップの保護には「IBM FlashSystem」というストレージ製品を紹介。「IBM FlashSystemは、壇上でデバイスを見せながら、ランサムウェアで攻撃されても瞬時にデータを戻せるというデモを見せました」(大西氏)
第4のトピックスはサステナビリティ。ここでは事例企業の声やユースケースを紹介。例えばジェイアイ傷害火災保険の「スーツケース破損保険金自動支払いサービス」は、「IBM Maximo Visual Inspection」を使ってAIによる画像解析で実現したという。また参天製薬では生産過程におけるCO2排出量などを管理・レポートするため、「IBM Envizi」を活用している。
最後のトピックスはクラウド。AIを展開するためのクラウドとして「IBM Power Virtual Server」を紹介。Power10プロセッサーにはAI推論を加速するアクセラレータが搭載されており、デモではそれを使うとどのくらい不正検知の速度が上がるか、その威力をライブで証明した。
