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マルチターゲットアプリ開発の新しいアプローチ~.NET 9 新テンプレートの基本~

.NET MAUI Blazorを使って、AI画像生成アプリのプロジェクトを作成する

マルチターゲットアプリ開発の新しいアプローチ~.NET 9 新テンプレートの基本~ 第2回

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共有UIコンポーネントの作成

 次に、画像生成アプリに必要なUIコンポーネントを作成していきましょう。今回は、ImageGenerator.Sharedプロジェクトに共通のUIコンポーネントを実装します。

@injectアノテーション

 まず、プロジェクトが生成されたときに作成される、デフォルトのコンポーネントを確認しておきましょう。ImageGenerator.SharedプロジェクトのPagesフォルダにあるHome.razorでは、次の通りシンプルなページが定義されています。

[リスト1]Home.razorの一部
@page "/"
@using ImageGenerator.Shared.Services
@inject IFormFactor FormFactor

~後略~

 このコンポーネントの先頭では、@usingアノテーションで名前空間が追加され、@injectアノテーションでFormFactorサービスが注入(インジェクション)されています。これは依存性注入(DI)と呼ばれる手法で、コンポーネントが直接サービスのインスタンスを作成するのではなく、フレームワークから提供されるサービスを利用できるようにするものです。FormFactorサービスについては、後ほど詳しく解説します。

コンポーネントの追加

 では、画像生成アプリに必要な独自のコンポーネントを追加していきましょう。

 まずは、画像生成ページを作成します。ソリューションエクスプローラーで、ImageGenerator.Sharedプロジェクト内のPagesフォルダを右クリックします。そして[追加]-[Razorコンポーネント]を選択し、名前をImageGeneration.razorにします。

コンポーネントの追加
コンポーネントの追加

 生成されたファイルの先頭にある <h3>タグの行を削除して、代わりに次のコードを記述します。

[リスト2]ImageGeneration.razorの一部
@page "/generate"
<PageTitle>画像生成</PageTitle>
<h1>AI画像生成</h1>
<div class="row">
  <div class="col-md-6">
    <div class="form-group">
      <label for="prompt">プロンプト</label>
      <textarea id="prompt" class="form-control" @bind="prompt" rows="3"
        placeholder="生成したい画像の説明を入力してください"></textarea>
    </div>
    <div class="form-group mt-2 mb-4">
      <button class="btn btn-primary" @onclick="GenerateImage" disabled="@isGenerating">
        @if (isGenerating) { <span>生成中...</span> }
        else { <span>画像を生成</span> }
      </button>
    </div>
  </div>
  <div class="col-md-6">
    @if ( !string.IsNullOrEmpty(imageUrl) )
    {
      <div class="text-center">
        <img src="@imageUrl" class="img-fluid rounded" style="max-width:100%;" />
      </div>
    }
  </div>
</div>

@code {
}

 先頭の@pageアノテーションで、このコンポーネントのURLを、/generateとして定義しています。

 画面のレイアウトとしては、Bootstrapのグリッドシステムを利用して、左右に分割した構造にしています。左側には、プロンプト入力用のtextarea(テキストエリア)とボタンを配置しています。textareaでは、@bindディレクティブで、C#のprompt変数と連携させています。ボタンには、@onclickディレクティブでイベントハンドラを設定し、isGenerating変数に応じてボタンの文字を切り替えています。通常は「画像を生成」で、画像生成中は「生成中...」になります。

 右側は画像のエリアです。imageUrl変数に値がある場合のみ、生成された画像を<img>タグで表示します。

画像生成して表示するロジックの追加

 このコンポーネントのC#コード部分は、次のようにします。

[リスト3]ImageGeneration.razorの一部
@code {
    private string prompt = "";         // プロンプト文
    private string imageUrl = "";       // 生成画像のURL
    private bool isGenerating = false;  // 生成中を示すフラグ

    private async Task GenerateImage()
    {
        // 入力がない場合は何もしない
        if (string.IsNullOrWhiteSpace(prompt))  return;
        
        isGenerating = true;
        try
        {
          // 後で追加
        }
        finally { isGenerating = false; }
    }
}

 このページでは、テキストエリアでプロンプト(画像の説明)を入力し、ボタンクリックで画像生成を行います。ここでは一旦、画像生成の処理を空にしていますが、この後新規作成するサービスを利用する形にします。

画像生成ページのメニュー追加

 次に、このページにアクセスできるようにナビゲーションメニューを更新します。LayoutフォルダのNavMenu.razorを開き、次のようにメニュー項目を追加します。

[リスト4]NavMenu.razorの一部
<div class="nav-scrollable" onclick="document.querySelector('.navbar-toggler').click()">
    <nav class="flex-column">
~中略~
        <div class="nav-item px-3">
            <NavLink class="nav-link" href="generate">
                <span aria-hidden="true"></span> 画像生成
            </NavLink>
        </div>
    </nav>
</div>

 画像生成を選択すれば、/generateとして定義されたページが表示されます。

次のページ
サービスとして設計する

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 高江 賢(タカエ ケン)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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