その他あると便利なドキュメント
ここまで、最低限用意しておきたいガイドラインとして、「制作運用ガイドライン」「(X)HTMLガイドライン」「CSSガイドライン」の3つのガイドラインを紹介してきました。その他、あると便利なドキュメントとして、Webサイト内で統一すべき用語をまとめた「用語表記ガイドライン」、スケジュールを管理する「進捗管理表」、Webページで必要となる素材を管理する「素材管理表」についても簡単に紹介しておきます。
用語表記ガイドライン
用語表記ガイドラインは、Webサイト内で使用する言葉のルールを定めたものです。「お客さま/お客様」のように、Webサイト内で頻繁に使われる言葉の表記が異なると、それだけで完成度が低く感じられてしまいます。また、「トップページ/ホーム」、「更新情報/新着情報」などのように、同じリンク先やコンテンツを指す言葉の表記が異なると、ユーザーが戸惑いやすくユーザービリティが悪くなってしまいます。特にナビゲーションやコンテンツにかかわる部分の表記は、最優先で統一するようにしましょう。
ある項目に適切な名前を付けることを「ラベリング」と言いますが、このラベリングの段階で決定した項目は必ずリストアップし、表記の統一を図るようにしましょう。ラベリングというのは、例えば、
- お客様:
漢字の「客様」が強調されることから、真面目で改まったトーンになり、顧客を丁重に扱うイメージ - お客さま:
ひらがなが多いことによって柔らかいトーンになり、漢字の「客」という文字が強調されてファインダビリティが高まる
というように、コンテンツに合わせたトーンやマナー、漢字・ひらがな・カタカナ・英字の持つ「文字の特徴」などを踏まえたうえで決定されるものです。用語表記ガイドラインがあれば、ラベリングの段階でよく吟味された言葉の表記が、運用時の担当者によって台無しにされることはありません。
| 推奨表記 | 使用不可な表記・注意事項 |
| お客さま | 御客様、お客様 |
| お問い合わせ | 御問合せ、お問合せ、お問合わせ、お問い合せ |
| あらかじめ | 予め |
| ください | 下さい |
| ~のうえ | ~の上 ※位置を示す場合は「上」でよい |
| コンピュータ | コンピューター |
| サーバ | サーバー |
| トップページ | ホーム、HOME、TOP PAGE |
| 更新情報 | 新着情報、What's New |
| ~(略)~ |
進捗管理表
どのようなプロジェクトであっても、複数人で共同作業を行う場合には、スケジュール管理が重要になってきます。Webサイト制作の場合には、前の作業が完了しないと次の作業に移れない工程も多いため、完成データの受け渡しや作業の引継ぎをスムーズに行うためにも、スケジュール管理をしっかりと行うことが大切です。
スケジュールを立てるには、まず、プロジェクト全体の作業の流れを決めておきます。例えば、ビジュアルデザイン決定後に画像パーツの作成やコーディングを行うなど、作業の連携が必要な工程を踏まえたうえで、作業の一連の流れを決めていきます。このとき、途中の成果をレビューする工程も含めておくことが大切です。スムーズなワークフローを実現するためには、各工程で成果物のチェック、フィードバックを行って、次の工程に引き継ぐことが重要になるからです。次に、各工程で必要となるタスクをすべて洗い出し、タスクにかかる所要時間を見積もります。最後に、目標とする納期を設定し、スケジュール内ですべての作業を完了できるようタスクを割り当てていきます。
実際には、タスクの所要時間の見積もりは難しいものがありますが、過去の類似するプロジェクトを参考にして所要時間を算出するのが一番良いでしょう。ただし、同じ作業でも担当者のスキルレベルによって所要時間は異なりますし、データのクラッシュや、担当者の体調不良など、プロジェクトの途中でどのようなトラブルが発生するかは予測することができません。ですから、納期ギリギリのスケジュールを立てることは避け、必ず予備日を設けるようにして、ある程度の余裕をみておくことが必須になります。
さて、こうしたスケジュール管理を行うのにあると便利なドキュメントが「進捗管理表」です。フォーマットはそれぞれですが、横軸に「日付」、縦軸に「タスク/担当者/進捗状況」を設定したタスクガントチャート形式であれば、各タスクの所要日数や、作業の流れを把握しやすく非常に便利です。
進捗管理表は、常に進捗状況をチェックして活用しなければ意味がありません。全体のスケジュールに影響を及ぼす工程に関しては特に注意を払い、予定よりも遅れている作業に対しては休日や予備日を返上して遅れを取り戻すようにしましょう。また、プロジェクト完了後に、進捗管理の履歴として「想定していた所要日数よりも時間がかかった」などの感想を記して保存しておけば、次回以降のプロジェクトでスケジュールを見積もる際の貴重な情報源となるでしょう。
素材管理表
素材管理表とは、Webページで使用するテキストや画像、動画などのパーツを管理するドキュメントです。特にビジュアルデザインの制作工程で、必要な素材をもれなく収集し、素材を一元管理するツールとして、デザイナーやパーツの作成者、(X)HTMLやCSSのコーダーにとって、あると便利なドキュメントになります。
各ページで必要となる素材をリストアップし、「テキスト/画像/動画/図表・その他」などの素材の種類別に分類し、各素材の担当者や進捗状況などが分かるように一覧表にまとめておくと良いでしょう。
まとめ
以上、前/後編を通して、「ガイドライン策定」のヒントとなるよう、Web制作のワークフローにおいて、悩みの生じやすい部分、無駄の発生しやすい部分について一通り説明してみました。
前回の記事でも述べたように、実際にガイドラインを運用をしてみて、適宜バージョンアップしながら、効率よく作業を進めることができるよう精度を上げていくことが大切です。そうすれば、制作現場のワークフローをノウハウとして蓄積することができるでしょう。ガイドラインがあれば、制作/運用の担当者が抜けても、比較的スムーズに穴埋めすることができ、新しいスタッフを育成するのに要する時間も短縮することができます。効率アップのために、ぜひガイドラインを作成してみてください。
さて、次回からは、前回の記事中でも触れた「どの要素を使ってどのようにマークアップするか」について説明していきたいと思います。
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山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)
静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるLaravel実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数。
※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です
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WINGSプロジェクト 宮本麻矢(ミヤモト マヤ)
<WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。 2026年時点での登録メンバは約50名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書、記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook
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