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Silverlight 2で作成する業務アプリケーション入門(AD)

Silverlightアプリでアニメーションを効率よく使うテクニック

Silverlight 2で作成する業務アプリケーション入門 (3)

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VisualStateManagerによるアニメーション

 次に画面上の円にマウスをフォーカスしたときに、ポップアップが表示されるアニメーションを作成します。このアニメーションでは、折れ線グラフなどでグラフの頂点にマウスをポイントしたときに詳細情報を表示するといった効果を想定しています。

図11 VisualStateManagerによるアニメーションの実行結果
VisualStateManagerによるアニメーションの実行結果

 このようにマウスの操作などでコントロールの表示状態を変更するようなアニメーションには、Silverlight 2で新たに導入されたVisualStateManagerを使用することで簡単にアニメーションを行うことができます。

VisualStateManager

 VisualStateManagerはその名前の通り、VisualState(視覚状態)を管理(Manager)するための機能です。例えば、ボタンコントロールにはマウスでフォーカスされた時に色を変えたり、選択されるとボタンの周りに枠線が表示されるといったアニメーションが用意されていますが、SilverlightではこれらのアニメーションもVisualStateManagerを使って定義されています。

 では、ページに配置された円に対し、マウスが円の上に乗ったら(Enterイベント)TextBlockを含むGridを表示するアニメーションを、VisualStateManagerを使って作成してみましょう。

Pageのデザイン

 まずはページに赤い丸と、メッセージを表示するためのTextBlockを配置します。

 TextBlockが含まれるGridはマウスが円の上に載るまでは表示しないため、GridのプロパティからVisibilityをCollapsed(表示を折りたたむ)に設定しておきましょう(図12)。

図12 VisualStateManagerのサンプル画面
VisualStateManagerのサンプル画面

 デザインを行った直後のXAMLは、リスト4のようになります。

リスト4 VisualStateManagerのデザイン(Page2.Xaml)
<UserControl x:Class="SilverlightApplication1.Page2"
    xmlns="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml/presentation"
    xmlns:x="http://schemas.microsoft.com/winfx/2006/xaml"
    Width="400" Height="300" xmlns:SilverlightApplication1="clr-namespace:SilverlightApplication1" xmlns:d="http://schemas.microsoft.com/expression/blend/2008" xmlns:mc="http://schemas.openxmlformats.org/markup-compatibility/2006" mc:Ignorable="d" xmlns:vsm="clr-namespace:System.Windows;assembly=System.Windows">
    <UserControl.Resources>
        <ControlTemplate x:Key="ButtonControlTemplate1" TargetType="Button"/>
    </UserControl.Resources>
    <Grid x:Name="LayoutRoot" Background="White">
        <Ellipse Height="23" HorizontalAlignment="Left" Margin="62,95,0,0" VerticalAlignment="Top" Width="25" Fill="#FFFF0000" Stroke="#FF000000"/>
        <Grid HorizontalAlignment="Left" Margin="77,108,0,0" Width="57" VerticalAlignment="Top" Height="24" Background="#FFBFBBBB" Visibility="Collapsed">
            <TextBlock Text="TextBlock" TextWrapping="Wrap"/>
        </Grid>
    </Grid>
</UserControl>
VisualStateの作成

 今回は、円にマウスがEnterしたときにポップアップウインドウを表示するアニメーションと、円からマウスがLeaveしたときにポップアップウインドウを消すアニメーションを持つVisualStateを作成します。

 Expression Blendのステートにある[状態の追加]ボタンをクリックして、状態グループを作成します。さらにPopupとCloseという2つの状態を追加します(図13)。

図13 繰り返しの設定
繰り返しの設定

 状態グループは単に状態をまとめるものだと思ってください。ただ、同じ状態グループの状態は一度に複数実行できないという制約はあります。

アニメーションの作成

 ステートウインドウに追加された状態を選択すると、ストーリーボードの時と同じようにステートの記憶がONになり、イベント時のアニメーションを設定できる状態になります。

 Popup時には図14のようにアニメーションが開始された0秒の段階で、隠してあるGridを表示(Visibility:Visible)し、少し時間(0.3秒)をかけてメッセージを表示します。

図14 Popupのアニメーション
Popupのアニメーション

 CloseステートはTextBlockの状態を初期状態に変更すればよいので、何もアニメーションを設定しません。

VisualStateの割り当て

 円(Eclipse)イベントハンドラのMouseEnterにPopupステートを呼び出すコードを、MouseLeaveにCloseステートを呼び出すコードを記述します。ストーリーボードでアニメーションを割り当てたときのように、それぞれイベントハンドラを作成し次のコードを記述してください。

リスト5 VisualStateを呼び出すコード(Page2.Xaml.cs)
using System;
using System.Collections.Generic;
using System.Linq;
using System.Net;
using System.Windows;
using System.Windows.Controls;
using System.Windows.Documents;
using System.Windows.Input;
using System.Windows.Media;
using System.Windows.Media.Animation;
using System.Windows.Shapes;

namespace SilverlightApplication1
{
    public partial class Page2 : UserControl
    {
        public Page()
        {
            InitializeComponent();
        }

        private void Ellipse_MouseEnter(object sender, MouseEventArgs e)
        {
            VisualStateManager.GoToState(this, "Popup", false);
        }

        private void Ellipse_MouseLeave(object sender, MouseEventArgs e)
        {
            VisualStateManager.GoToState(this, "Close", false);
        }
    }
}

 VisualStateManagerに登録されたステートを実行するには、VisualStateManagerのGoToStateメソッドを使用します。GoToStateメソッドは、第1引数にアニメーションを実行するコンテナ(今回はPageのインスタンス)を、第2引数にステートの名前を、第3引数にVisualTransitionの使用有無を指定します。

 VisualTransitionは、コントロールのステートへの遷移の際にアニメーションを定義した場合、これを実行するかどうかの指定を行います。今回はステートの際のアニメーションは指定していないのでFalseを設定しています。

まとめ

 どうだったでしょうか? インタラクティブな要素はいらないかもしれませんが、「業務アプリケーションにアニメーションは必須の要素である」というのが少しでもお分かりいただけましたか。アニメーションを効率よく使うことで、ユーザーの利便性を向上させミスを減らすユーザーインターフェイスを作成することができます。

 しかしこれまでも述べたように、何でもかんでもアニメーションで動かせばよいというものではなく、特に注目してほしい情報をユーザーに伝えるためのコミュニケーションツールとしての使い方を考えていくと、効率よいアニメーションを作成することができるのではないかと筆者は考えています。

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト かるあ (杉山 洋一)(カルア(スギヤマ ヨウイチ))

WINGSプロジェクトについて> 有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS Twitter: @yyamada(公式)、@yyamada/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/3428 2009/01/23 01:58

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