はじめに
前回は、「Amazon EC2」のバックアップまわりの話題として、「Amazon EBS」の概要や使い方を紹介しました。
今回は「Amazon EC2」を取り巻くデータバックアップの方法の付録として、「Amazon EC2」のデータを「Amazon S3」と同期するツール「S3Sync」を紹介します。
前提条件
今回も「Amazon EC2 Command-Line Tools」を利用した方法を紹介していきます。作業前提として、基本的なセットアップが終了し、「Amazon EC2」インスタンス(仮想マシン)は起動しているものとします。セットアップや「Amazon EC2」でのインスタンス起動については、前回までの記事を参考にしてください。
また、今回紹介するツール「S3Sync」の利用には、別途Rubyが必要となります。「Amazon S3」への接続にHTTPSを利用している場合は、OpenSSLも必要です。これらのソフトウェアがローカルマシンにインストールされていない場合は、別途インストールしてください。
今までの記事
- 第1回 「AWSの概要と登録手順」
- 第2回 「Amazon S3を使いこなしてみよう」
- 第3回 「Amazon EC2を動かしてみよう」
- 第4回 「Amazon EC2を実践的に使ってみよう」
- 第5回 「Amazon EBSを活用してデータをバックアップしてみよう」
ディスク内容を「Amazon S3」のストレージと同期できる「S3Sync」
「S3Sync」は、お手軽にディスクの内容を「Amazon S3」のストレージと同期することができるツールです。
皆さんは、UNIXやLinuxではおなじみの「rsync
」と呼ばれるツール(コマンド)をご存知でしょうか。rsync
はファイルやディレクトリのミラーリングを行うツールで、ローカル/リモートを問わず、2つのディレクトリなどの内容の差異を高速なアルゴリズムで確認した後、差分のファイルのみ転送し、同期を行うツールです。
これから紹介する「S3Sync」は、rsync
のような使い方で、ローカルディスクの特定部分と「Amazon S3」のストレージ間を同期(ミラーリング)できるようにするツールです。
なお、「S3Sync」はオープンソースソフトウェアとして無償で利用することができ、「Amazon EC2」のインスタンスで使うことはもちろん、お手元のパソコンやサーバーでも利用することが可能です。OSのフルバックアップなどとは別に、アプリケーションデータの一部分だけを定期的に「Amazon S3」のストレージにバックアップしたい場合など、普段個人で使っているパソコンなどのデータのバックアップとしても使えるので、ぜひ試してみてください。