はじめに
HTML 5は興味深い仕様です。この仕様は計画的に生まれたものではありません。W3CはHTML 4.1をHTMLの決定版として表明していました。そのため、HTML 5に対する要望の多くは、主にWeb Hypertext Application Technology Working Group(WHATWG)などのHTMLユーザーコミュニティから出てきました。WHATWGからの圧力が強かったため、数年前にHTML 5のワーキンググループが編成されることになりました。それ以来、HTML 5ワーキンググループは少々ごまかしのある仕様を採用して、それをW3C的な表現で書き直すというプロセスを(そのプロセスに付随する駆け引きとともに)ゆっくり進めてきました。
2009年4月23日、HTML 5ワーキンググループはこの仕様の最新ドラフトをリリースしました。全体的に見て、このリリースは前回のリリースからかなり単純化されています。とりわけ、初期に提案された仕様変更点の多くが元に戻されていることが目につきます。それらの変更点の役割はほかの場所で定義されています。
HTML 5は広範な仕様なので、HTML 4との明らかな違いは何十箇所にもおよび、すべてを1回の記事で十分に説明することはできません。この記事ではHTML 5のレイアウト要素に的を絞って説明します。以降の記事では、フォーム関連の変更点(かなり変更あり)、新しいメディア要素、およびDOM関連の変更点について説明する予定です。
全般的な変更点
HTML 5での最も重要な変更の1つとして、HTMLとXHTMLの両方の形式が仕様の正式な表現として認められているという点があります。これは大きな変更であり、暗に、XHTMLバージョンの構文を完全に認識することがブラウザに求められるということを意味しています(例えば、Internet Explorerは現在そうなっていません)。また、HTMLドキュメントをエンコードするための正式なmimeタイプとしてapplication/xhtml+xml
やapplication/xml
を認識することがすべてのブラウザに求められるという意味でもあります。HTMLドキュメントのDocType
にもいくつかの改訂がなされています。HTML 4の長いdoctype
は、次のようにはるかに短い<!doctype html>
に置き換えられています。
<!doctype html> <html> <head> <title>Example Document</title> </head> <body> <h1>Example Document</h1> <p>This is an example document </body> </htm>
これは長年にわたって進められてきたHTMLの「脱SGML化(de-SGMLification)」の現れです。この短縮されたdoctype
構造はまだ正式なSGMLですが、かつての重たいSGML装飾は徐々に姿を消し、簡素化されたXMLインターフェースが使われるようになっています。
HTML 5では、HTMLドキュメント内でもSVGやMathMLが有効な形式として認められています。このようなインスタンスは、HTMLでは名前空間を組み込むために必ずしも必要ではありませんが、XHTMLでは当然必要です。