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イベントレポート

Tech・Ed Japan 2009 基調講演(後編)
――WS2008 R2とOffice 2010によるDynamic IT

 8月26日、パシフィコ横浜にてマイクロソフトによるTech・Ed Japan 2009が開催され、初日の基調講演では、Windows 7、Windows Server 2008 R2、Office 2010について新しい機能のデモを交えたセッションが行われた。レポート後編では、Windows Server 2008 R2とOffice 2010部分のプレゼンテーションについて紹介する。

 Tech・Ed Japan 2009の基調講演後半は、Windows Server 2008 R2とOffice 2010に関するセッションだ。これも特徴的な機能のデモが中心のプレゼンテーションとなった(前半の模様はこちら)。

Dynamic Data Centerを実現するWS2008 R2

 中川氏によるWindows 7のセッションが終了すると、講演者を、業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長 五十嵐光喜氏にバトンタッチして、Windows Server 2008 R2のセッションに移った。

業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長 五十嵐光喜氏
業務執行役員 サーバープラットフォームビジネス本部 本部長 五十嵐光喜氏

 五十嵐氏は、クラウドコンピューティング時代のサーバーの重要性は、仮想化と物理の壁をとりはらうこと現在の環境とクラウドの環境をシームレスにつなぐことこれらを同一プラットフォーム上で運用・管理できること、の3つにあると述べた。これを実現するのが、マイクロソフトの新しいサーバーシステムでありDynamic Data Center構想であるという。Windows Server 2008 R2は、最新のメニーコア技術、64ビットプロセッサ技術、省電力技術に裏付けされ、クラウド時代の基盤OSとして、この構想の柱となるべき存在との認識を示した。

 続いて、Windows Server 2008 R2の新しい機能のうち、インテリジェントな省電力化技術と、仮想化と物理をシームレスにつなぐVHDテクノロジーについてのデモに入った。

 省電力化やグリーンITというのもいまや欠かせないキーワードとなっている。実際、インテルのXeon 5500番台のプロセッサには、コア単位で電力供給やクロック周波数を制御する機能が備わっている。Windows Server 2008 R2では、この機能を活用しサーバーの消費電力を抑えることに成功している。デモでは、正面にメインスクリーンにWindows Server 2008 R2とWindows Server 2003 R2(64ビット版)の画面を表示させ、その消費電力を比べるものだった。どちらもXeon 5500番台のプロセッサを搭載している。画面上には、実際の各サーバーの電力を測定した電力計の動画が映し出された。WS2008 R2が160W前後の値が表示され、WS2003 R2は210Wと、その差はおよそ50Wほどとなり、省エネ効果があることを強調した。

2003 R2と2008 R2での消費電力の違い
2003 R2と2008 R2での消費電力の違い

 Xeonプロセッサは4つの物理コアをそれぞれさらに4つの仮想プロセッサ(論理コア)として管理することができるが、Windows Server 2008 R2では、これらの仮想プロセッサごとにクロック周波数を制御することができる。この機能によって、アイドリング中や演算負荷の少ないプロセッサのクロック周波数を落としている。WS2003 R2には、このような機能が備わっていないので、それぞれにスペックどおりのクロックが供給される。

 論理コアごとにクロックを制御する機能はじつは、現行のWindows Server 2008でもサポートされているが、R2では、さらにコアパーキング機能を追加することで、このような電力削減効果が得られているそうだ。コアパーキングとは、使わないコア、休止しているコアを「パーキング」に休ませる機能だ。アプリケーションが起動され、プロセスが増えてくると、パーキングに待機しているコアを次々起動させ、負荷に対応させていく。

 このように、論理コアを動的に制御することで、さらなる省電力化を実現した。WS2003 R2とWS2008 R2では、同じCPU負荷なら20%の消費電力を削減できるそうだ。クラウド時代が進み、データセンターにサーバーが集約されていくと、1台あたり20%の削減は施設全体の省電力化に大きく貢献するものとして、今後も重要視されるスペックであると五十嵐氏はいう。

2008 R2では20%の消費電力の削減を実現
2008 R2では20%の消費電力の削減を実現

 次のデモは、仮想と物理の壁をとりはらうということで、仮想マシンを物理サーバーやPCへ簡単に展開させるというものだ。まず最初に、Windows Server 2008 R2が稼働するハードウェア上に、Hyper-Vを使ったWindows 7の仮想マシンを起動させる。この仮想マシンVHDフォーマットというファイルに変換することで、そのイメージを使って別のPCやサーバーでWindows 7を起動させることができるというものだ。

VHDにより仮想マシン、物理マシンを意識せずに起動
VHDにより仮想マシン、物理マシンを意識せずに起動

 実際のデモでは、仮想マシン上のWindows 7のペイントソフトでその場で描いたデータを保存し、その状態でVHDファイルを作成して見せた。これは、bcdeditコマンドを使って簡単にできる。このファイルをそのままPCのブートイメージとして利用でき、デュアルブートの形式で物理マシン上でも仮想マシン(のOSイメージ)を起動させることができる。起動させた後は、さきほどのペイントソフトのファイルを開いて、同じ仮想イメージのWindows 7が物理マシンで立ち上がったことを証明していた。

bcdeditコマンドでVHDファイルを作成
bcdeditコマンドでVHDファイルを作成

 OSイメージの作成は比較的手間がかかるものだったが、bcdeditコマンドのような従来からあるコマンドやインターフェイスを用いて、作成、起動が可能であり、そのイメージを起動するのは、仮想マシンでも物理マシンでも意識する必要がないという。これがVHDの特徴であり、発展させると、Windows展開サービスを利用して、VHDイメージをデータセンターの物理サーバーや仮想サーバーに任意に展開させることが可能になる。まさに、Dynamic(動的)なデータセンターの構築をサポートする機能といえるだろう。

展開サービスでVHDイメージ仮想化データセンターに配信
展開サービスでVHDイメージ仮想化データセンターに配信

 マイクロソフトでは、すべてを仮想化すれば済むとは考えておらず、物理と仮想の区別なくサーバー環境を構築できるスタイルを目指すという。なお、Windows Server 2008 R2の新しいシステムセンターでは、これらの仮想OSや物理サーバーなどを統合的に管理する機能も追加されており、旧システムからのマイグレーション機能やHyper-Vの新しい機能など、R2の強化点はデモの2点だけでないことも強調していた。

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この記事の著者

中尾 真二(ナカオ シンジ)

フリーランスのライター、エディター。アスキーの書籍編集から始まり、翻訳や執筆、取材などを紙、ウェブを問わずこなす。IT系が多いが、たまに自動車関連の媒体で執筆することもある。インターネット(とは当時は言わなかったが)はUUCPの頃から使っている。

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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https://codezine.jp/article/detail/4349 2009/08/28 17:00

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