社団法人コンピュータエンターテインメント協会(CESA)主催の、ゲーム開発者向けカンファレンス「CEDEC 2009(CESAデベロッパーズカンファレンス2009)」が9月1日に開幕した。今年11回目を迎えるCEDEC(セデック)は、セッション数が前年の1.5倍となる約150になり、会場を従来の大学等の施設からパシフィコ横浜に移し、規模を拡大しての開催となる。
プラットフォームを問わない幅広いゲーム開発を対象としており、テクニカルセッションの種類も「プログラミング」「ビジュアルアーツ」「サウンド」「ネットワーク」「ゲームデザイン」「プロデュース」「モバイル」「ビジネス&マネジメント」「アカデミック」と多彩。アカデミック分野との連携もさらに強化された。
初日の基調講演では、「情報技術はどこに行くのか? ―主役は交代している―」と題し、東京大学の原島博 名誉教授が、情報技術の歴史を振り返りながら、大きな変革を迎えようとしている情報技術およびゲーム開発のいく末を語った。
情報技術やゲームの主役は常に交代している
講演を通して原島教授は、情報技術やテレビゲーム(以下、ゲーム)の主役は常に交代してきたこと、これまでゲームは技術依存で進化してきたが今後は技術のしがらみから解放される必要があることを主張した。
講演の前半では、まず情報技術の変遷についてに総括し、技術や主役の移り変わりの様子を提示した。
80年代半ばのマルチメディアブームあたりを境に訪れた、脳(人間の代わり)を目指すコンピューターから、メディア・社会(人間の環境を作る/サポートする)を目指すコンピューターへのパラダイムシフト。
Connection(つなぐ)からCommunicaton(情報のやりとり)、Collaboration(タスクの共同作業)、Community(多人数による協業)、Cityという、「通信」の進化。なお、ここでいう「City」とは、原島氏が名づけた今後向かうとされる、メディアにコンピューターとコミュニケーションを掛け合わせた環境のこと。
IBM(大型コンピュータ/ビジネスの情報化)、マイクロソフト(パーソナルコンピュータ/個人の情報化)、グーグル(ネットワーク/社会の情報化)という、情報技術における主役交代の流れ。
以上を受けて、今後は(ネットワーク上でのやり取り全般を含む広義の意味での)「コンテンツ」の時代となると予想し、グーグルも「コンテンツ」の枠組みの中で各種デジタルアーカイブを進めているが、これまでの歴史を踏まえ、新たな主役が台頭してくることも示唆した。