携帯電話エミュレータをネットワークに接続する
WebアプリケーションがIIS上で動作する状態になったら、このアプリケーションを携帯電話エミュレータからテストできます。Visual Studioには電話エミュレータに対するサポートが含まれており、これらのエミュレータの中にはネットワーク接続もサポートできるものがあります。Webアプリケーションをテストするときには、こうした接続が必要になります。エミュレータでの難点は、ネットワーク接続の設定がやや複雑なことだけです。以下、この設定を簡単に説明します。
まず適切なエミュレータを起動する必要があります。Visual Studioでスマートデバイス(Windows Mobile)プロジェクトを作成しているのであれば、単にデバッグを開始する(または[F5]キーを押す)ことでエミュレータを起動できます。しかし、ここで作成しているプロジェクトはWebアプリケーションなので、Visual Studioによって携帯電話エミュレータが自動的に起動されることはありません。そのため、デバイスエミュレータマネージャを手動で使用しなければなりません。デバイスエミュレータマネージャは、Visual Studioの[ツール]メニューから起動できます。
デバイスエミュレータマネージャを使用すると、携帯電話エミュレータを起動したり停止したりできます。一覧を見れば、先ほどインストールしたWindows 6 Mobileのエミュレータを含めて、サポートされている全エミュレータを確認できます。Windows Mobile 6 Professionalエミュレータを起動するには、このエミュレータを右クリックし、メニューから[Connect]を選択します。
エミュレータが実行されると、いわゆるCellular Emulatorを起動できます。このエミュレータはWindows Mobile 6 SDKキットの一部であり、実際のネットワーク接続をエミュレートできます。このエミュレータでは、使用しているコンピュータのインターネット接続を使って、インターネットへのエミュレートデータ接続を確立することもできます。
ネットワークを設定するには、まずCellular Emulatorを起動します([スタート]メニューにアイコンが表示されます。VistaまたはWindows 7を使用している場合は、「cell」と入力すると見つかります)。画面の下部に、エミュレータが接続しているCOMポートが表示されます。この同じCOMポートに携帯電話エミュレータを接続する必要があります。そのためには、携帯電話エミュレータのメニューから[File/Configure]を選択し、[Peripherals]タブを選択します。同じCOMポート(例えばCOM4)を最初のテキストボックスに入力し、[OK]をクリックし、携帯電話エミュレータをソフトリセットすると、ネットワーク接続が使用可能になります。
携帯電話でのインターネット接続とネットワーク接続は異なります。インターネットアクセス用にエミュレートGPRS(General Packet Radio Service)データ接続を確立するには、携帯電話エミュレータに戻り、インターネットアクセス用としてデータ接続を使用するように携帯電話を設定します。
これは次のようにして行えます。携帯電話で[Start]をクリックし、Internet Explorer(IE)をポイントします。そして任意のWebアドレス(例えばwww.bing.com
)を開いてみてください。まだ接続を設定していないので、エラーメッセージが表示されます(図6を参照)。このエラーメッセージで[Settings]をクリックします。これで[Connection]画面に切り替わります。画面下部の[Advanced]タブで[Select Network]ボタンをクリックすると、[Network Management]ウィンドウが表示されます。[Edit]ボタンをクリックして、「My ISP」接続を編集します。
次に[New]ボタンをクリックし、[New Connection]ダイアログボックスで接続名として使用する名前を入力します。[Select a modem]ボックスから[Cellular Line (GPRS)]を選択します。これを正しく設定することが重要です。それが終わったら、画面下部の[Next]ボタンをクリックします。次の2つの画面では、単に[Next]と[Finish]をクリックします。アクセスポイント名もユーザー名やパスワードも入力する必要はありません。
この時点で[My ISP]接続画面に戻ります。新たに追加した接続が一覧に表示されることを確認してから、[Start]-[Internet Explorer]をポイントします。次に任意のWebサイトへのアクセスを試みてください。そのページを表示できるはずです。IIS Webサーバへのアクセスも試みて、Webアプリケーションが使用可能かどうか確認してください。依然として接続できない場合は、注意しながら上述の手順を繰り返してください。
ここまでの作業が完了したら、エミュレータの[File]メニューから[Save State]を選択して、エミュレータの状態を保存しましょう。そうすれば、次にエミュレータを起動したときにネットワーク設定手順を繰り返す必要がありません。