はじめに
PHPは、企業から個人まで、幅広い用途に利用され、Webシステムを構築するうえで無くてはならない存在となっています。昨今の経済状況から、Java一辺倒の大企業や大手SIerもPHPによる開発にシフトしてきています。
PHPは、手軽に始められるハードルの低さが魅力の言語です。HTMLと混在して、シンプルに使用するもよし、大規模なWebサービスに向けて本格的なシステム構築も可能です。
開発者の裾野が広いのと同様にコーディングツールの利用状況にも大きな差があるようです。シンプルなテキストエディタを使用する強者から有償ツールを使用する合理主義まで千差万別です。
今回紹介するEclipse+PDTは、その中間に位置する開発ツールと言えます。テキストエディタよりは、はるかに高機能です。有償ツールよりは、低機能ですが低コストです。このような素晴らしいツールが簡単に手に入れられるのですが、まだ使用していない方も多いと聞きます。PHPユーザーやこれからPHPを学ぼうという方に向けて、Eclipse+PDTの使用法を解説します。
PDTとは
PDT(PHP Development Tools)とは、Eclipse上でのPHP開発を機能強化するためのプラグインです。Eclipseは、もともとはJavaのプログラマ向けの有償統合開発環境でした。2001年にオープンソース化されるとともに、Java以外のプログラム言語でも利用できるよう追加機能(プラグイン)が続々と発表されています。
PDTは、いくつかあるPHP開発プラグインの中の1つです。PDTの開発コミュニティには、PHPのオーソリティであるZend社が加わっています。
Zend社は、PDTプロジェクトに協力するとともにその成果を有償製品のZend Studioにフィードバックしています。その点では、Eclipse+PDTは入門用の無償ツールで、Zend Studioはプロフェッショナル用の有償ツールという位置付けになります。
便宜上、Eclipse+PDTを入門用の無償ツールと表現しましたが、多くの機能を有しており小規模な開発プロジェクトであれば十分な機能と言えます。
EclipseならびにPDTは、インターネット上で無償公開されているツールです。オリジナルは英語ですが、コミュニティにより日本語化が行われており、操作中に英語表記で戸惑うことはほとんどありません。
Eclipse+PDTインストール
ここでは、日本語化済みの環境の導入法を解説します。実は、導入は非常に簡単です。しかも、本来は英語であるEclipseおよびPDTを日本語化した状態で入手することが可能です。そこには、日本語化を行うオープンソフトウエアPleiadesの活躍があります。
Pleiadesは、株式会社うぃるの柏原真二氏を中心に開発・運営されているオープンソース・ソフトウェアです。Pleiadesは、EclipseおよびEclipseプラグインの「メニュー、画面(ダイアログ)、メッセージ」の日本語化を行います。PDTもPleiadesにより日本語化され、公開されています。柏原氏をはじめとしたPleiades貢献者の方々に感謝しつつ、使用させていただきます。
インストール手順
ダウンロードサイト
Pleiades All in Oneをダウンロードするために、以下のサイトにアクセスします。
ダウンロード
Pleiades All in One 日本語ディストリビューションをダウンロードします。
[Eclipse 3.5 Galileo]ボタンをクリックし、Eclipse 3.5 Galileo版のダウンロードページにジャンプします。Eclipse 3.5 Galileo版のダウンロードページは、表形式になっています。「Full All in One (JRE あり)」と「PHP」の交差する位置にある[Download]ボタンをクリックすると、ダウンロードが開始されます。ファイル名は、pleiades-e3.5-php-jre_20100226.zipです。
インストール
pleiades-e3.5-php-jre_20100226.zipを解凍します。解凍先のディレクトリは適当で構いません(デスクトップ上に解凍しても問題ありません)。ここでは、C:\(Cドライブのルートディレクトリ)に解凍しました。
xamppパッケージの移動
管理しやすいようにxamppディレクトリを起動ドライブの\(ルート)に移動します。上記の手順で、Eclipse+PDT(Pleiades All in One 日本語ディストリビューション)の起動ならびにPHPのローカルデバッグが可能になります。