Eclipse+PDT起動
起動は非常に簡単です。解凍したディレクトリ内のeclipseディレクトリにeclipse.exeがあります。eclipse.exeを実行するとEclipse+PDTが起動します。
起動時にソースコードを保存するためのワークスペースを作成するディレクトリの確認ダイアログボックスがポップアップします。適当なディレクトリ(ここではc:\xampp\htdocs)を指定して、[OK]ボタンをクリックすると、しばらくして起動します。
このように、インストールから起動までは非常に簡単です。インストールがシンプルなため、アンインストールもシンプルで、解凍したディレクトリを削除するだけです。
基本機能(コーディング)
それでは、実際に簡単なPHPコードを記述しながら、Eclipse+PDTの基本的な機能を解説します。
画面構成
Eclipseには、多くのプラグインが用意されており、提供する機能に応じたビューが用意されています。ビューは、機能に応じた画面表示と操作用のアイコン(ボタン)を備えており、表示位置や大きさを自由に変更できます。それらを使用する機能(作業)が変わるたびに並べ替えるのは大変です。そのため、Eclipseでは作業ごとに標準的な画面構成をパースペクティブとして定義しています。
起動直後に表示されているのは、「PHP」パースペクティブという画面構成で、PHPコードのコーディング作業を行うことができます。さらに、PHPファイルをデバッグするための「PHPデバッグ」パースペクティブも用意されています。
パースペクティブの切り換えは、作業内容によって自動的に行われます。手動でパースペクティブを切り替える場合には、ウィンドウ右上のツールバーの右端にあるアイコンをクリックします。
「PHP」パースペクティブを使用したコーディング
「PHP」パースペクティブは中央のPHPエディタを中心に3つに区切られており、複数のビューが割り当てられています。ここでは、よく使用するビューを紹介します。
PHPエクスプローラ(左側のビュー)
PHPソースコードファイルの管理を行うために使用します。一般的にPHPで作成するWebシステムは、1ページ当たり1ファイル以上のPHPファイル(ソースコード)で構成されます。そのため、複雑なサイトでは、数多くのPHPファイルを作成する必要があります。Eclipseでは、プロジェクトという単位で、まとめて管理します。大量のPHPファイルをプロジェクトで区切って管理することにより、PHPファイルの管理が容易になります。
また、プロジェクトには、もう1つ重要な役割があります。それは、プロジェクトごとに環境を規定する機能です。図6は、ソースコードにエラーが表示されています。
図7は、同一のソースコード(内容)ですが、エラーは表示されていません。この違いは、プロジェクトに指定されているPHPバージョンの違いが原因です。
図6のMyProjectでは、PHPのバージョンは5.1/5.2と指定されています。それに対して図7のMyProject3では、PHPのバージョンは5.3と指定しています。このPHPコードには、Namespaceの宣言を含んでいます。Namespaceは、PHP 5.3から有効な新機能です。MyProjectでは、PHP5.1/5.2と指定されていたので、Namespaceが利用できずエラーとなっていたのです。
このように、バージョンの違いをコーディング環境で再現できます。
Eclipse+PDTでは、このように基本的な構文は実行しなくても自動的にチェックを行います。
PHPプロジェクトの作成
それでは、実際にPHPプロジェクトならびにPHPファイルを作成しましょう。
1)PHPプロジェクトの作成開始
ツールバーの[新規]アイコンをクリックするとプルダウンメニューが表示されます。[PHPプロジェクト]を選択してください。「PHPプロジェクト」ダイアログボックスが開きます。
2)「PHPプロジェクト」ダイアログボックス
[プロジェクト名(P)]に「MyProject」と入力します。
PHPバージョンを指定する場合には、[PHPバージョン]の[Use project spacific settings:]を選択し、その下のプルダウンメニューから指定するPHPバージョンを選択します。現行では、PHP4、PHP5.1/5.2、PHP5.3が選択できます。
[完了(F)]ボタンをクリックすると、「MyProject」が作成され、PHPエクスプローラビューに表示されます。
PHPファイルの作成
1)PHPファイルの作成開始
「PHPエクスプローラ」ビューの「MyProject」を選択します。
ツールバーの[新規]アイコンをクリックし、プルダウンメニューから[PHPファイル]を選択してください。「新規PHPファイル」ダイアログボックスが開きます。
2)「新規PHPファイル」ダイアログボックス
ファイル名に「test1.php」と入力します。
[完了(F)]ボタンをクリックすると、test1.phpファイルが作成されます。自動的にPHPエディタにtest1.phpファイルが開いた状態になります。
PHPソースコードの入力
サンプルとして、以下のPHPコードをtest1.phpに入力してください。このPHPコードは、デバッグ機能を確認するために多少ロジックを含んでいます。
<?php for ($i=1, 5; $i<5; $i++) { //サイズを計算する $f=$i*2; //サイズの指定 print '<font size="'.$f.'">'; //色を選択する if ( ($i % 2) == 0 ) { print '<font color="blue">'; } else { print '<font color="red">'; } print 'Hello, world!'; print '</font></font><br>'; }
PHPエディタは、PHPコードの要素を検知して自動的に色分けして表示します。また、入力されたPHPコードの正当性やカッコの整合性をリアルタイムでチェックします。そのため、入力したPHPコードに基本的な問題がある場合には、エラーの表示を行います。
図9では、13行目(スペルミス)と15行目(;忘れ)のエラーを検知して行頭にエラーマークを表示しています。
Eclipse+PDTでは、PHPに特化したエディタを実装しています。PHPコードの構文を理解しており、タイプミスや構造的な欠陥などをコーディング時に補正することが可能です。このような機能は、PHP入門者にはもちろんのこと開発者にも有用な機能です。