中国におけるセキュリティ問題の傾向
このような中国において、問題となっているセキュリティインシデントは、おもにWeb改ざん、トロイ・ボット、DoS攻撃だそうだ。Web改ざんは、政府系サイト、ゲームサイト、休日関連サイトなどアクセス数の多いサイトがマルウエア配信のために攻撃されやすい。休日関連サイトとは、天気情報、グルメ情報、チケット関係のサイトなど連休前にアクセスが伸びるサイトのことだ。また、中国では不動産価格の高騰も問題になっており、これらのサイトも狙われるという。ちなみに、中国のブルーカラーの労働者の年収が30万円前後(ただし、これは比較的条件のよい工場の相場という)なのに対して、都市部などの不動産価格は3,000万円から2億円という状態になっていると、不動産関係のサイトが狙われる背景を説明した。
Web改ざんの事例もいくつか報告された。2010年1月には大手検索エンジンである「百度」が攻撃された例(損害額700万ドル)、同2月には春節特番への不満から中国中央テレビのサイトが改ざんされた例、春節連休を狙った休日関連サイトへの攻撃、3月にはネットカフェ全面閉鎖が提議されたことに対する政協委員サイトへの攻撃、高騰する不動産に対する不満から不動産関連サイトにトロイの木馬が仕込まれた事例などが紹介された。
攻撃に使われるトロイの木馬やボットについては、中国でもアンダーグラウンド市場が成立しており、マルウエア制作、流通、販売のためのチャネルが確立されているそうだ。掲示板を使ってマルウエア販売や攻撃サービスの広告を行い、QQなどのチャットを使い連絡をとりあい商談を行い、オンラインで決済する。過去には、中国で掲示板などを検索すれば、マルウエアやDoS攻撃の広告が比較的簡単に見つかることもあったが、現在では当局の取り締まりが強化され、サービスプロバイダが自己規制を強化しているので、状況は改善しているそうだ。




