(12)Workerロールを実装する その3-サムネイル画像の作成
Workerロール実装の最後として、サムネイル画像の作成を行うメソッドを、WorkerRole.csに次のリスト8のように追加します。
なお、イメージ処理のために、前もって「WokerRole1」プロジェクトの参照設定に、System.Drawingを追加してください。そして、WokerRole.csには、System.DrawingとSystem.Drawing.Imagingの2つのusingディレクティブを追加しています。
private MemoryStream CreateThumbnail(MemoryStream orginStream, string option) { // オリジナル画像の取得 Image orginImage = Image.FromStream(orginStream); // サムネイル画像の幅、高さを取得 int thumbWidth, thumbHeight; if (orginImage.Width > orginImage.Height) { thumbWidth = 120; thumbHeight = 120 * orginImage.Height / orginImage.Width; } else { thumbHeight = 120; thumbWidth = 120 * orginImage.Width / orginImage.Height; } // サムネイル画像を作成 *1 Image thumbImage = orginImage.GetThumbnailImage( thumbWidth, thumbHeight, null, IntPtr.Zero); // オプション指定 *2 if (option == "1") { // 90度回転 thumbImage.RotateFlip(RotateFlipType.Rotate90FlipNone); } else if (option == "2") { // 180度回転 thumbImage.RotateFlip(RotateFlipType.Rotate180FlipNone); } MemoryStream thumbStream = new MemoryStream(); thumbImage.Save(thumbStream, ImageFormat.Jpeg); thumbStream.Seek(0, SeekOrigin.Begin); orginImage.Dispose(); thumbImage.Dispose(); return thumbStream; }
オリジナル画像を元に、サムネイル画像を作成します(*1)。ImageクラスのGetThumbnailImageメソッドにより、簡単に作成できます。
Webロールの画面上でユーザーが指定したオプションを、キューのメッセージにより取得しているので、そのオプション指定に基づきサムネイル画像を回転します(*2)。ImageクラスのRotateFlipメソッドにより、簡単にイメージを回転や反転させることができます。
これで、Workerロールの実装は完了です。
手順が少し長くなりましたが、これでサンプルアプリケーションが無事完成しました。
開発環境での実行
それでは、作成したサンプルを、ローカルの開発環境で実行してみましょう。
ソリューションをビルドし、「AzureStorageQueueSample」クラウドサービスプロジェクトを開始します。
まず、ローカル仮想環境のDevelopment FabricとDevelopment Storageがタスクトレイ上で起動します。続いて、既定のブラウザに、先程の図2のような画面が表示されます。同時に、バックグラウンド上ではWorkerロールも起動しています。
画面上で、画像ファイルを指定しオプションのいずれかを選んで、[アップロード]ボタンをクリックしてみてください。画像ファイルがブロブへアップロードされ、キューにサムネイル作成のメッセージが送られます。そして、バックグランド上で待機しているWorkerロールにより、メッセージがすぐに処理されて、サムネイル画像が作成されます。画面上の[サムネイル表示]ボタンをクリックすると、Workerロールで作成されたサムネイル画像の一覧が画面上に表示されます。
さらに、WorkerロールやWebロールの実行時の状況を、Development Fabricから確認できます。タスクトレイ上のアイコンを右クリックし、[Show Development Fabric UI]を選択します。すると、Development Fabricの画面が起動します。
例えば、バックグラウンドで動作しているWorkerロールの状態を確認したいと思う場合には、左側のツリービューから[Service Deployments]-[deployment]-[AzureStorageQueueSample]-[WorkerRole1]を選択します。すると、右側にウィンドウに起動中のWorkerロールの情報が表示されます。
次の図8にある右側のウィンドウの下部を見ると、先程の手順(11)でも説明した、メッセージ処理時のトレース情報が正しく出力されていることが分かります。
クラウド環境への配置
最後に、サンプルをWindows Azure Platformに配置し、実際のクラウド・アプリケーションとして実行してみましょう。
そのためには、Windows Azure Platformのいずれかのプランを購入しておく必要があります。各プランの解説や購入方法については、連載第1回で説明しているのでご覧ください。
また、クラウド環境への配置方法については、前回のサンプルと同様なので、前回の「クラウド環境での実行」の部分を参考にしてください。
まとめ
今回は、3種類のWindows Azureストレージのうち、特にキューについて注目しました。そして、キューを用いてWebロールとWorkerロールを連携させるサンプルを実際に作成してみました。
次回は、ASP.NET MVC 2によるWebロールのプログラミングについて紹介する予定です。
それでは、次回をお楽しみに。