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デブサミ2011セッションレポート(AD)

デブサミ2011レポート
Smartphone X-Platform 開発

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 各サービスで急ピッチで進んでいるスマートフォン対応。異なるOS間で効率的にアプリケーション開発を実現するための技術開発も併行して進みつつある。DeNAのngCore、Flashプラットフォーム、AppceleratorのTitanium Mobile。それぞれの技術に長けた3名がそれぞれの技術について目的や現状、これからの目標などについて講演を行い、意見交換や質疑応答を行った。

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 各サービスで急ピッチで進んでいるスマートフォン対応。異なるOS間で効率的にアプリケーション開発を実現するための技術開発も併行して進みつつある。DeNAのngCore、Flashプラットフォーム、AppceleratorのTitanium Mobile。それぞれの技術に長けた3名がそれぞれの技術について目的や現状、これからの目標などについて講演を行い、意見交換や質疑応答を行った。

 まずセッションに先立ち、株式会社ディー・エヌ・エー ソーシャルメディア事業本部 メディア統括部 プラットフォームシステムGの山口 徹氏が登壇。「『Mobile Future』として、最後はやはり未来についてがテーマ。特に開発プラットフォームがどのようになっていくのか、DeNAとパートナー企業から紹介したい」と挨拶を行った。

DeNAの「ngCore」

 DeNAからは、スマートフォン向けソーシャルゲーム開発に携わる近藤 和弘氏が、DeNA独自の開発フレームワーク「ngCore」について紹介を行った。

株式会社ディー・エヌ・エー ソーシャルメディア事業本部
ソーシャルゲーム統括部 スマートフォン開発G
近藤 和弘 氏
株式会社ディー・エヌ・エー ソーシャルメディア事業本部 ソーシャルゲーム統括部 スマートフォン開発G 近藤 和弘 氏

 まず、近藤氏はngCoreで開発した「Tap Slash Ninja」のβ版を披露した。近藤氏は「開発においては、ユーザーの動向を見ながら微調整や新機能追加をスピーディに行っていくことが重要、さらに、できるだけ多くのユーザを集めるためにX-Platformであることが望ましい。しかもリッチなコンテンツになれたユーザーを満足させるものでなくてはならない」と語り、ngCoreはそうした開発ができるよう工夫されたプラットフォームであることを強調した。AndroidとiOSに対応するRuntimeが用意され、JavaScriptによる共通のngCoreModulesが乗り、その上でアプリケーションが動くというイメージだ。ngCoreはクラウドで提供され、差分をダウンロードするだけで常に最新の開発環境が得られるという仕組みになっている。加えてAndroidとiOSのクライアントサイドのアーキテクチャが説明され、Flashにも対応していることも紹介された。

 さらに開発環境やモジュール群、アプリケーションの構造などが紹介され、その場で実装し、できあがったものがそれぞれiPhoneとAndroidでデモンストレーションされた。最後に、近藤氏は「DeNAはプラットフォーマーとなることを目指し、内製SG開発の 過程で生まれた機能は DnLibとして公開していきたい」として、さらなるngCoreの充実について語った。

図1:ngCoreで開発された「Tap Slash Ninja」
図1:ngCoreで開発された「Tap Slash Ninja」

Flashプラットフォーム

 次に登壇したcuaoarの上条 晃宏氏は、Flashプラットフォームの最新版について紹介を行った。

cuaoar 上条 晃宏 氏
cuaoar 上条 晃宏 氏

 まず、上条氏はスマートフォンが急速に普及し、日本以上に多様なデバイスが使われている米国の現状を紹介。そうした状況に対し、Adobeは電子ブックも含めたトータルなマルチデバイスに対する取り組みを進めているという。

 スマートフォンのFlashプラットフォームは2つ、Flash PlayerとAIRである。昨年5月に発表されたFlash Player 10.1は、Android 2.2以上に対応し、各デバイス特有機能にも対応している。ただしiOSについては規約上の問題から対応できず、例外としてWebkit Engineを直接使う方法があるが、Flashでは使えず頓挫しているという。

 そして、Adobe AIRはブラウザの持つ機能に依存せず、OS上で動く。スマートフォン上で使用するアプリを開発するのに、このAdobe AIRの技術が有効だという。Adobe AIR 2.5が2010年10月に出ており、こちらもAndroid 2.2など多様なスマートフォンに対応している。使い方は、開発して書き出す際に当該の対応形式を選ぶだけという簡便さ。しかし、プロファイルによって使える機能が異なってくるので注意が必要となる。なお、LLVMを利用することでiOSにも対応した。2010年の規約改定までのタイムラグ分、使える機能が若干制限されている。ほかFlash Builderが次のVerでスマートフォン対応することや、デスクトップ上で各環境の動作が確認できるDeviceCentralが紹介された。

 最後に、上条氏は「Adobeはクロスプラットフォームへフレームワーク全体で対応しようとしている」としてコードネーム「Hero」の発表予定が紹介された。

図2:Flashプラットフォーム
図2:Flashプラットフォーム

Titanium Mobile

 アンカーはappceleratorの増井 雄一郎氏が登場。各スマートフォンの異なる開発言語の問題の解の1つとしてTitaniumがあるとし、まず開発例として2月にリリースされた「MogSnap」を紹介した。

appcelerator Inc. 増井 雄一郎 氏
appcelerator Inc. 増井 雄一郎 氏

 料理をテーマに情報交換するというアプリで、Objective-Cは未経験の開発者がTitaniumを使用し、約4か月で開発したという。

 増井氏は「TitaniumはJavaScriptだけで開発する。一番の特長は、各プラットフォームのネイティブの部品が使えること」と語る。通常、X-Platform開発で開発すると同じインタフェイスになるが、Titaniumならそれぞれの特徴を活かすことができるというわけだ。Titaniumからも多種多様な拡張モジュールが秋を目指して提供される予定だというが、オープンであることから、ユーザー自身がモジュールを作ることでネイティブな機能を使える。不具合にパッチを当てるなど、自在な対応ができることも可能だ。

 こうした特長の他、クロージャが使えて可読性が上がることなどのメリットや、ブラウザ上での経験が長いJavaScript開発者に違和感がないよう、プロパティ名がCSSに近いものを使うなどの工夫についても紹介された。なお開発環境については、3月10日にフル装備のIDをリリースする予定だという。

 増井氏は「アプリは作り込みが重要。Titaniumは作った後でもデザイナーが磨き上げることもできる。日本語のドキュメントも近々発表予定なのでぜひ挑戦してほしい」と語った。

図3:Titanium Mobileで開発された「MogSnap」
図3:Titanium Mobileで開発された「MogSnap」

 3人の講演の後、質疑応答では「ngCoreはオープンソースになる予定はあるか」「ngCoreでプラットフォームの差異はどのように埋めるのか」「Titaniumの安定版はあるのか」といった質問がなされた。

お問い合わせ

株式会社ディー・エヌ・エー

東京都渋谷区代々木4-30-3 新宿MIDWESTビル

http://dena.jp/

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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