新たに搭載されたフレームワーク「FireMonkey」
今回、開発ツールスイートに含まれる「Delphi」および「C++Builder」には、新たにリッチなインターフェースを開発するためのフレームワーク「FireMonkey」が搭載された。
これまで、ビジュアルの操作のみでは実装が難しかった3Dなどの高度なグラフィックの開発も、FireMonkeyを使うことにより簡単に開発できるようになる。例えば、トランジションでビットマップにエフェクトをかける場合なども、ドラッグ&ドロップでコーディングせずに実装できる。さらに、3Dオブジェクトの回転や形状の変更、ライティング効果の設定など、すべてドラッグのみで行うことができる。
コンパイルの際には、ターゲットプラットフォームを開発環境から選択するだけで、簡単にクロスプラットフォームに対応したアプリケーションを構築できる。64bitのWindows、Mac OS X 10.6.8に対応する形式へも変換することが可能だ。
さらに、対応するOSに合わせた開発が行いやすいよう、各OSを再現したスタイルでダイアログが表示される「オープンダイアログ」も用意され、それぞれのOSに沿ったメニューバーの動作なども設定できるようになった。自動でスケーリングして、解像度やウィンドウサイズを合わせたりなど、アプリ挙動時のカスタマイズも容易だ。
David氏はデモにて、データベースにある魚のデータを読み込んで、回転表示やサイズ変更、3Dのユーザーインタフェースへのマッピングなどを行った。表示されているデータを変更し、データベースに格納することも可能だ。アニメーション効果を設定することで、コンポーネントからイメージを接続、明示的に定義できることも紹介した。
多様なモバイルデバイスへの対応も可能
RAD Studio XE2では、iOS、Android、BlackBerryから、Delphi/C++で構築したDataSnapサーバーにアクセスし、モバイルデバイスにデータを送ることで、ソースコードファイルを各種モバイルデバイスに対応させることができる。
さらに、JavaScriptライブラリ「jQuery Mobile」をカプセル化したコンポーネントによる、PHP言語でのモバイルアプリのビジュアル開発にも対応している。PHPのプログラムをサーバにビルドし、クライアント側では、スマートフォン向けのフレームワーク「PhoneGap」を使用してAndroid/iOSアプリケーションへと変換できる。
David氏は例として、RadPHPを使用したモバイルアプリのデモも実施した。データベースと連携するコネクションコンポーネントにより、AndroidでもiPhoneでも、モバイルのユーザーインタフェースを自動的に表示できる。
RAD Studio XE2で高性能・高品質のアプリケーションを
このようにRAD Studio XE2は、Windows、Mac、モバイルといったさまざまなアプリに対応し、あらゆるサーバ/Webサービス/クラウドストレージと連携が可能だ。新機能の「FireMonkey」では、3Dグラフィックの開発にも対応している。
いわゆるRIAではなく、ランタイムも必要としない ― これ1つでコンパイル、実行、デプロイまでのすべてを管理できるRAD Studio XE2。David氏は「すばらしいビジネスアプリケーションを構築するための、すべてが用意された製品」だと語り、セッションを締めくくった。