可用性グループで設定できるオプション
新しい可用性グループを作成するときに、データ同期モードとフェールオーバーモードを指定します。
データ同期モード
プライマリレプリカからセカンダリレプリカへデータを複製する方法として、「同期コミット可用性モード」と「非同期コミット可用性モード」が提供されています。
同期コミット可用性モードを使用すると、プライマリレプリカとセカンダリレプリカの両方でコミットしてからトランザクションが成功になります(図6)。そのため、トランザクションの待ち時間が増えてしまうため、地理的に離れた遠隔地との複製や、ネットワークスピードが遅い環境では適していません。一方で、リアルタイムで複製をしているため、障害発生時にはダウンタイム少なく復旧させることができます。
非同期コミット可用性モードは、セカンダリレプリカへのトランザクションログ転送結果を待つことなくトランザクション完了を返します。そのため、同期コミット可用性モードに比べてパフォーマンスが良いので、大災害対策など地理的遠隔地へのデータ複製に適しています(図7)。
最大4つまで設定できるセカンダリレプリカのうち、最大2つまで同期コミット可用性モードに設定することができます。
可用性グループフェールオーバーモード
AlwaysOn可用性グループを設定する際に、プライマリレプリカからセカンダリレプリカへ切り替わるときのフェールオーバーモードを、「自動フェールオーバー」と「手動フェールオーバー」のどちらかに設定することができます。
自動フェールオーバーは、データ同期モードで同期コミット可用性モードを使用している場合に選択できるモードです。障害を検知すると、自動的にセカンダリレプリカへフェールオーバーします。自動フェールオーバーは、最大2つのレプリカに設定できます。
手動フェールオーバーは、同期または非同期コミット可用性モードのどちらでも使用できるモードです。障害発生時に、データ同期状況を目視で確認してから手動でレプリカ間をフェールオーバーさせることができます。
可用性グループリスナー
可用性グループリスナーは、プライマリレプリカへ接続する際のネットワーク名として、仮想ネットワーク名を提供します。仮想ネットワーク名を使用すると、可用性グループリスナーが現在のプライマリレプリカへリダイレクトします。そのため、現在のプライマリレプリカがどのレプリカなのかをアプリケーションは意識する必要がありません。アプリケーションは、接続文字列に可用性グループリスナーのネットワーク名を指定します。
プライマリレプリカからセカンダリレプリカへ可用性グループのフェールオーバーをした後も、仮想ネットワーク名は直接プライマリレプリカへ接続できます。可用性グループリスナーのコンセプトはフェールオーバークラスタリングで使用している仮想SQL Server名に似ています。
SQL Server Management Studioの可用性グループの作成ウィザードを使用する時に、可用性グループリスナの接続先を指定できます。図8は、ウィザードでAlwaysOn可用性グループリスナーを指定しているところです。
可用性グループリスナーを作成すると、フェールオーバークラスターマネージャ内に自動的にサーバー名とIPアドレスが作成されます。
可用性グループリスナーと可用性グループは1:1でマッピングされます。そのため、可用性グループごとに可用性グループリスナーを作成する必要があります。
ダッシュボードで可用性グループの管理
AlwaysOn可用性グループを監視するために、視覚的に状況を確認するためのダッシュボードが提供されています(図9)。ダッシュボードを表示するには、SQL Server Management Studioのオブジェクトエクスプローラーの可用性グループのディレクトリを選択し、右クリックから「ダッシュボードの表示」を選択します。
ダッシュボードは図のようにそれぞれのインスタンスと可用性データベースの状態、レプリカの同期状態を確認できます。何か対応が必要な問題があれば、可用性グループのリンクから詳細情報にドリルダウンすることができます。