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進化したSQL Server 2012の新機能紹介

柔軟で確実な高可用性を実現するSQL Server 2012の「AlwaysOn」機能

進化したSQL Server 2012の新機能紹介(2)

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可用性グループで設定できるオプション

 新しい可用性グループを作成するときに、データ同期モードとフェールオーバーモードを指定します。

データ同期モード

 プライマリレプリカからセカンダリレプリカへデータを複製する方法として、「同期コミット可用性モード」と「非同期コミット可用性モード」が提供されています。

 同期コミット可用性モードを使用すると、プライマリレプリカとセカンダリレプリカの両方でコミットしてからトランザクションが成功になります(図6)。そのため、トランザクションの待ち時間が増えてしまうため、地理的に離れた遠隔地との複製や、ネットワークスピードが遅い環境では適していません。一方で、リアルタイムで複製をしているため、障害発生時にはダウンタイム少なく復旧させることができます。

図6 同期コミットモード
図6 同期コミットモード

 非同期コミット可用性モードは、セカンダリレプリカへのトランザクションログ転送結果を待つことなくトランザクション完了を返します。そのため、同期コミット可用性モードに比べてパフォーマンスが良いので、大災害対策など地理的遠隔地へのデータ複製に適しています(図7)。

図7 非同期コミットモード
図7 非同期コミットモード

 最大4つまで設定できるセカンダリレプリカのうち、最大2つまで同期コミット可用性モードに設定することができます。

可用性グループフェールオーバーモード

 AlwaysOn可用性グループを設定する際に、プライマリレプリカからセカンダリレプリカへ切り替わるときのフェールオーバーモードを、「自動フェールオーバー」と「手動フェールオーバー」のどちらかに設定することができます。

 自動フェールオーバーは、データ同期モードで同期コミット可用性モードを使用している場合に選択できるモードです。障害を検知すると、自動的にセカンダリレプリカへフェールオーバーします。自動フェールオーバーは、最大2つのレプリカに設定できます。

 手動フェールオーバーは、同期または非同期コミット可用性モードのどちらでも使用できるモードです。障害発生時に、データ同期状況を目視で確認してから手動でレプリカ間をフェールオーバーさせることができます。

可用性グループリスナー

 可用性グループリスナーは、プライマリレプリカへ接続する際のネットワーク名として、仮想ネットワーク名を提供します。仮想ネットワーク名を使用すると、可用性グループリスナーが現在のプライマリレプリカへリダイレクトします。そのため、現在のプライマリレプリカがどのレプリカなのかをアプリケーションは意識する必要がありません。アプリケーションは、接続文字列に可用性グループリスナーのネットワーク名を指定します。

 プライマリレプリカからセカンダリレプリカへ可用性グループのフェールオーバーをした後も、仮想ネットワーク名は直接プライマリレプリカへ接続できます。可用性グループリスナーのコンセプトはフェールオーバークラスタリングで使用している仮想SQL Server名に似ています。

 SQL Server Management Studioの可用性グループの作成ウィザードを使用する時に、可用性グループリスナの接続先を指定できます。図8は、ウィザードでAlwaysOn可用性グループリスナーを指定しているところです。

図8 AlwaysOn可用性グループリスナーの指定
図8 AlwaysOn可用性グループリスナーの指定

 可用性グループリスナーを作成すると、フェールオーバークラスターマネージャ内に自動的にサーバー名とIPアドレスが作成されます。

 可用性グループリスナーと可用性グループは1:1でマッピングされます。そのため、可用性グループごとに可用性グループリスナーを作成する必要があります。

ダッシュボードで可用性グループの管理

 AlwaysOn可用性グループを監視するために、視覚的に状況を確認するためのダッシュボードが提供されています(図9)。ダッシュボードを表示するには、SQL Server Management Studioのオブジェクトエクスプローラーの可用性グループのディレクトリを選択し、右クリックから「ダッシュボードの表示」を選択します。

図9 AlwaysOn可用性グループダッシュボード
図9 AlwaysOn可用性グループダッシュボード

 ダッシュボードは図のようにそれぞれのインスタンスと可用性データベースの状態、レプリカの同期状態を確認できます。何か対応が必要な問題があれば、可用性グループのリンクから詳細情報にドリルダウンすることができます。

次のページ
AlwaysOnフェールオーバークラスタインスタンス

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この記事の著者

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

WINGSプロジェクト 大和屋 貴仁(ヤマトヤ タカヒト)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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