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“アジャイル”の次へ:IBMの開発プロセス戦略の今(AD)

第3回 アジャイルな開発プロセスの展開

“アジャイル”の次へ:IBMの開発プロセス戦略の今(3)

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プロセスのテーラリング

ピックアップ型のプロセスの構成

 Rational Method Composer(以後、RMC)によるプロセスの構成は、ツール上はメソッド構成というもので定義します。まず、メソッド・ライブラリーからプロセスに含める要素をメソッド・コンテンツのコンテンツ・パッケージ、プロセスのケーパビリティー・パターンおよびデリバリー・プロセスを単位としてピックアップします。この方式にすることでメソッド・コンテンツとプロセスの再利用性が高い上に、プロジェクトに適用する開発プロセスの定義を柔軟に行えます(図2)。

図2. DADのメソッド構成の画面
図2. DADのメソッド構成の画面

 また、定義済みのメソッドがプロジェクトに適さない場合には、ベースとなるメソッド・プラグインから派生させてオリジナルのメソッド・プラグインを拡充させることができます。当然、メソッドをスクラッチで記述するのに比べて作業量は圧倒的に少なく済みます。例えば、あるタスクのカスタマイズを行う場合では、定義項目が明確になっているので、関係者間で変更内容の合意形成が取りやすくなっています(図3)。

図3. タスク記述の画面
図3. タスク記述の画面

 ただし、いくら容易とはいえ、メソッドの記述を変更するレベルのテーラリングが頻発すると開発現場の負担が高くなり、プロジェクトの立ち上がりの期間を長くしてしまうので、ISOやプライバシーマークなどの認定に対応する全社統一のプロセス以外は、対象業種や部署ごとに開発プロセス標準をテンプレートとして規定して、プロジェクトやその中のロール・チームはピックアップ型でテーラリングするのが現実的です。

定義したプロセスの公開

 RMCでのメソッド構成(プロセス定義)が完了したら続いて公開用のドキュメントをHTML、Adobe PDF、Microsoft Wordのいずれかの形式で出力します。HTMLは、シンプルなWebサーバーで公開するための静的なコンテンツとして、またはJavaアプリケーション・サーバーのアプリケーション(WARまたはEAR)としての出力を選択できます(図4)。プロジェクトに適用したプロセス定義をプロジェクトのポータル・サイトなど、規定した場所に公開することで参照しやすくすることができます。

図4. Tomcatでアプリケーションとして出力したDADのドキュメント
図4. Tomcatでアプリケーションとして出力したDADのドキュメント

 さらにRMCには、メソッド・プラグインのケーアビリティー・パターンに含まれるWBSをプロジェクト管理ツール用のデータとしてエクスポートすることができます。これらのタスクには、すべき作業の説明が記述されているだけでなく、プロセス定義へのハイパー・リンクも含まれており、担当者がタスクの意味と求められる成果物を理解するのを手助けします(図5)。

図5. Microsoft Projectに取り込んだWBSとプロセス定義
図5. Microsoft Projectに取り込んだWBSとプロセス定義
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この記事の著者

熱海 英樹(アツミ ヒデキ)

日本アイ・ビー・エム株式会社 Rational事業部に所属し、お客様のアプリケーション開発の改善検討を技術面から支援。ソフトウェア開発業界に携わって二十数年。プログラマー、SE、テクニカル・サポート、製品開発、マーケティング、プリセールスと多くの職務を経験して、2010年12月より現職。自称ジェネラ...

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