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【デブサミ2013】セッションレポート(AD)

【デブサミ2013】14-D-4 レポート
正式リリースを間近に控えたJava SE 8とJava EE 7のインパクト

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 過日、「Developers Summit 2013」が盛況のうちに幕を閉じた。本稿では、同イベントの2月14日に行われた日本オラクル株式会社の寺田佳央氏(Javaエバンジェリスト)によるセッション「The Action for Making the future Java」の内容を紹介する。

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日本オラクル株式会社 Javaエバンジェリスト 寺田佳央氏
日本オラクル株式会社 Javaエバンジェリスト 寺田佳央氏

Javaの歴史と今注目の技術

 Javaは今年で生誕17周年を迎える。その歴史と最新の技術動向を紹介したのが、「The Action for Making the future Java」と題した寺田佳央氏のセッションだ。

 寺田氏はセッションの冒頭で、自身の経験と照らし合わせ、「Javaが登場した当初は大きなワクワク感がありました」と述べた。

 実際、Javaのマスコットであるデュークがブラウザ上で動いたことは、大きな衝撃をもって世界に受け入れられた。それ以来、単なるおもちゃのアニメーションではなく、きちんとしたビジネスで使えるようにJava開発者たちは模索してきた。それが17年の道のりであり、結果として「Javaはナンバーワンのプログラミング言語になりました」と寺田氏が断言できる理由である。

 「Javaという1つのプログラミング言語を覚えれば、組み込みからデスクトップ、エンタープライズまであらゆる環境で動作するプログラムを書けます。他に類を見ない言語だと言えます」(寺田氏)

 現在、Javaは世界中で支持されている。寺田氏が示した数字、つまり900万人の開発者がいること、1年間で10億回のダウンロードがあること、30億のデバイス上で動いていることがそれを裏付けている。

 そもそもJavaは、ジェームズ・ゴスリン氏とビル・ジョイ氏という2人の天才によって生み出された。それがサン・マイクロシステムズのもとで発展し、オラクルに移った現在も進化し続けている。寺田氏はこうした経緯を説明しながら、Javaが歴史の深い言語であり、多くの開発者の支援によって成長してきたことを強調した。

 歴史あるJavaにおける新しい技術。その一つが、2011年7月にリリースされたJava SE 7である。

 「Java SE 7を適用すると、プログラムのパフォーマンスと可読性、メンテナンス性、開発生産性、開発容易性が高まります。またこれまでに比べ、冗長なコードを書く必要もなくなります」(寺田氏)

 特にファイルの検索などの操作や、リソースの扱いといった部分で大きな改善がなされたという。

 注目すべき2つ目の技術として寺田氏が挙げたのは、JavaFXである。これはJavaでリッチクライアントを開発するための技術だ。従来からあるテーブルなどに加え、チャートやH.264などのムービーも扱えるようになっている。またWebKitをベースとしたブラウザ機能もあるため、自身のプログラムでHTMLを表示することも容易である。

 「JavaFXには豊富なサンプルがそろっており、サンプルと1対1で対応するソースコードが利用できます。さらにiOSやAndroid向けのプラットフォームがオープンソースとして提供されるため、近い将来、何ら変更を加えることなく、JavaFXで開発したプログラムをiOSやAndroidで動作させることも可能になるでしょう」(寺田氏)

 一度書いたらどこでも動く――。このJavaのモットーがさまざまなモバイル上で実現する日は間近に迫っている。

上記コメントの一部訂正(2013-03-18)

 デブサミ発表時、JavaFXのチーフ・アーキテクトであるRichard Bairのブログ内でiOS、Androidの実装を提供する予定である旨が記載されていたため、その内容を踏まえデブサミ内で発表しました。

 その後ブログ内容が更新されました。ブログで更新記載された内容によると、OSSとして提供する中に、iOS、Android上で稼働させるためのJavaVMは含まれず、現時点で提供予定もないとのことでした。つまり「近い将来に同一のJavaFXアプリケーションをiOS、 Android上で動作させることが可能」という表現は正しくないため、本文を修正します。
 

 正しくは、「近い将来、iOSとAndroid APIを使用するJavaFXのWindowやグラフィックス(Glass、Prism)の部分がオープン・ソース化されます。」となります。

 ここで、エンタープライズの分野に目を移してみよう。J2EEの時代を知る人たちにとって、Java EEは重いのではないか、全部は必要ないのではないか、扱いにくいのではないかと思う人もいるだろう。だがこれに対して寺田氏は「それは間違いです」と断言する。

 「現行のJava EE 6は扱いやすく、開発生産性も高いフレームワークです。日本国内でも多くの企業がJava EE 6に興味を持ち、実際の本番環境で稼働させています。今春には新バージョンのJava EE 7がリリースされます。その際、ベースとなる技術はJava EE 6と同じものなので、今のうちから試して準備しておくことをお勧めします」(寺田氏)

 Java EE 6はオールインワンのフレームワークである。細かい設定を自分でしなくてもWebアプリケーションを開発できるようになっている。来場した多くのJava開発者にとって、エンタープライズの分野でもJavaを見直してみる良い機会になったのではないだろうか。

JavaFXのデモ画面
JavaFXのデモ画面

新しいフレームワークを囲み全員が参加する時代

 今年はJavaにとって大きな節目となる年だ。前述したように今春にはJava EE 7のリリースが、年内にはJava SE 8のリリースが予定されている。これらに装備される注目の機能についても触れておこう。

 寺田氏が主に紹介したのはJava EE 7に搭載されるWebSocket、およびJava SE 8に搭載されるJavaFXLambda式Nashornである。

 Java EE 7 の正式リリースは春になる予定だが、そこに搭載される多くの機能は、開発中のGlassFish v4のビルドで試すことができる。WebSocketもその一つで、寺田氏によると「Java EE 7の中で最も面白い部分」だという。

 JavaFXについてはすでに述べたが、このリッチクライアント開発用の技術がJava SE 8では完全に統合された形で提供される。つまり、標準のJavaの実行環境の中にJavaFXが含まれることになる。

 またLambda式が追加されることによって、無名クラスで記述していたタスクを簡潔に表すことができる。さらにパラレル処理もLambda式で記述することができるという。

 Nashornとは、Javaの実行環境上でJavaScriptが動く仕組みである。パフォーマンスに優れ、Javaの実行環境の機能をフルに発揮できるという。

 Java SE 8に含まれるこれらの機能も、Early Access版を使用することで利用可能になっている。寺田氏は「新しい技術に触れてほしい」というメッセージと同時に、「Javaの言語仕様について積極的に意見を出してほしい」と述べた。

 さらに寺田氏は、関西で活動するある大学生が、Javaの仕様に対してどんどん意見を寄せており、米国のスペックリードらと議論を交わしているという事例を紹介した。こうした一人一人の開発者のアイデアや意見がJavaの世界を大きく変えていく一歩となる。

 間もなくリリースされるJava EE 7およびJava SE 8の新機能に触れ、世界中の開発者たちとの議論に加わってみてはいかがだろう。それは自分自身にとってもJavaにとっても有意義なことだと言える。

Java EE 7に含まれる予定のJSR一覧
Java EE 7に含まれる予定のJSR一覧
お問い合わせ

日本オラクル株式会社

Oracle Direct

東京都港区北青山2-5-8

オラクル青山センター

TEL:0120-155-096

http://www.oracle.com/jp/direct/

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https://codezine.jp/article/detail/7021 2013/03/19 14:07

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