名前 | 備考 |
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新野 淳一 氏 | Publickeyブロガー |
長沢 智治氏 | 日本マイクロソフト株式会社 エバンジェリスト |
浦底 博幸 氏 | クリエーションライン株式会社 |
山本 正喜 氏 | ChatWork株式会社 専務取締役CTO |
藤井 智弘 氏 | 日本ヒューレット・パッカード株式会社 ALM事業本部 ALM技術部マネージャー |
変化するビジネスに対応するシステム開発のためにカルチャーとツールで「DevOps」を実現させていく
近年、DevOpsは国内で大きなムーブメントとなりつつある。ITジャーナリストとして活躍中の新野淳一氏は国内での盛り上がりを時系列で紹介し、「日本で記事や勉強会での説明がはじまるなど話題として出始めたのが2010年頃、それが2年後には大規模なイベントが開催されるようになった」とその急速な盛り上がりぶりを評する。また、2013年9月には日本で2回目の「DevOps Days」の開催が予定されているという。
それではどこからDevOpsのムーブメントがはじまったのか。起点とされているのが、2009年6月に米国で行われたイベント「Velociy」で、当時FlickrのエンジニアだったJohn Allspaw氏とPau Hammond氏が行ったセッションだ。そこで「開発と運用は協力すべき」とするプレゼンテーションを行い、はじめて「Development=開発」と「運用=Operations」を組み合わせた用語「DevOps」が使用されている。その際、Flickrで1日に10回ものデプロイが行われているということが紹介され、人々を驚かせた。
そして、これにインパクトを受けたITコンサルタントのPatrick Dubois氏が、DevOpsをテーマにした初めてのイベント、「Devopsdays Ghent 2009」を同年10月にベルギーで開催する。それが翌年2010年にシドニーでの開催となり、世界へと広がり、2012年には東京でも開催されている。
いまや熱い注目を浴びるDevOpsだが、かつては「開発と運用が協力すべき」という考え方について「馬鹿げている」とされ、まったく相手にされなかったという。Dubois氏も第1回目の「Devopsdays Ghent」後にブログでそう振り返り、「ようやく浸透してきた」と当時の心境を語っている。
新野氏は「彼らが誰もが感じていたことをキーワード化した功績は大きい。その原点に大切なことはほとんどすべて集約されている」と述べ、John Allspaw氏とPau Hammond氏が行ったセッション資料「10 deploys per day dev & ops cooperation at Flickr」の約80頁のなかから、特に重要とされる3頁を抜粋して紹介した。
1)ビジネスは変化を求める
競合よりもより良い製品をより速く、より低価格で作るためには、DevOpsを活かし、システムも変化し続けることが必要になる。その変化に伴うリスクを低減するために、ツールとカルチャーを利用するというわけだ。新野氏は「IT業界では『動いているシステムには触るな』というが、ビジネスの変化に対応するためには変えずにはいられない。そこで発生するリスクを低減することが大きな課題となる」と解説。なお、どちらか片方では不十分であり、ツールとカルチャーの両輪を利用することがDevOps活用の重要なカギを握るという。
2)カルチャーはハートマーク
「これがカルチャー」として指し示されたスライドには、大きなハートマークが1つ。シンプルに開発(Dev)と運用(Ops)が仲良くすることを表している。
3)変化リスクを低減するために有効なツール
ツールとして重要ポイントとして新野氏は次の3点をあげた。1つ目は「インフラの自動化」、クラウドや、ChefやPuppetによるインフラ自動化ツールなどを指す。そして2つ目はGitなどの「ソースコードのバージョン管理」。3つ目はJenkinsなどによる「ボタン1つでデプロイ完了」というものだ。