今どのような視点で開発者はPaaSを選択すべきなのか
ITリソースを調達する手段としての「クラウド」も、十分に一般的なものになった感がある。アプリケーションを提供する「SaaS(Software as a Service)」、CPUやメモリ、記憶装置やOSといったシステムの基盤となる環境を提供する「IaaS(Infrastructure as a Service」に加え、近年ではシステムやアプリケーション開発のためのフレームワークを包括的に提供する「PaaS(Platform as a Service)」の充実が著しい。
コモディティ化したIaaSの事業者が、差別化を求めてPaaSにまでサービス領域を広げるケースも出てきており、ユーザーにとっては多様化した選択肢の中から、どのサービスを選ぶべきか悩ましい状況でもある。
PaaSの多様化に伴い、ベンダー固有のPaaSによる「ロックイン」を懸念する声も多く聞かれるようになった。PaaSを用いて構築したアプリケーションやシステムのポータビリティを保証する「オープン性」を求める声は、「Cloud Foundry」や「OpenShift」といった「Open PaaS」のムーブメントとして、一つの潮流になりつつある。
今回、CodeZine編集部では、さまざまな規模でPaaS事業を展開しているベンダー8社のキーパーソンによる座談会を実施した。レポートの前編となるこの記事では、それぞれのベンダーが提供しているサービスの特長と、ユーザーの懸念する「ベンダーロックイン」および「PaaSのオープン性」について、どのようなスタンスにあるのかを聞いた。
座談会のモデレーターは、co-meetingのCTOであり、ユーザーとしての立場からパブリッククラウドエバンジェリストとしての活動も行っている吉田雄哉氏にお願いした。各ベンダーの参加者は、以下の8名である。
TIS |
西谷 圭介氏 (IT基盤サービス本部IT基盤サービス企画室主査) |
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Engine Yard |
今中 崇泰氏 (ソリューションマネージャー) |
セールスフォース・ドットコム |
岡本 充洋氏 (マーケティング本部ディベロッパープログラムマネージャー) |
NTTコミュニケーションズ |
草間 一人氏 (クラウドサービス部ホスティング&プラットフォームサービス部門) |
ニフティ |
高野 祥幸氏 (クラウド本部クラウド事業部クラウドプラットフォーム部課長) |
日本IBM |
紫関 昭光氏 (理事・Smarter Cloud事業部) |
IIJ |
土岐田 尚也氏 (サービス戦略部GIO企画課課長代理) |
マイクロソフト |
佐藤 直生氏 (デベロッパー&プラットフォーム統括本部 Windows Azureエバンジェリスト) |