室内での全天球撮影の課題
全天球カメラとパノラマ技術による空間情報の表現にも課題はあります。その一つが室内での情報共有です。
全天球カメラであっても、壁の向こうを撮影することは不可能ですし、天井の高さ以上には撮影ポイントを移動することはできません。また、全天周カメラおよびパノラマ技術の特性により、高過ぎる位置からの撮影データでは、含まれる空間情報の量が減少することが確認されています(図4)。遠くを見通すために、高さを取って全天球撮影しようと試みた結果、天井ばかりが映り込んでしまうケースもありえるのです。
室内という限られた空間では、全天球カメラで撮影する高さとパノラマ技術で変換する手法の絶妙なバランスが要求されます。また、壁や天井といった物理的な制限については、ある程度止むなしと判断することも重要です。
図5では、全天球カメラの撮影ポイントを少し下げ、パノラマ技術としてはラビットホールを採用しました。
さらに高さを下げてみましょう(図6)。いかがでしょうか? 各部屋の座席状況は残念ながら見えなくなりましたが、周辺の座席密度などが見やすくなったかと思います。このように室内における全天球カメラおよびパノラマ技術の適用には注意が必要です。