はじめに
本連載はOffice 365を実際に自社に導入した管理者観点での記事です。ターゲットは自社のITインフラに不満を持ち新たなサービスを検討している管理者の方や、開発に集中したい開発者の方です。過去連載は次のとおりです。
Office 365入門
なお、本連載では細かな部分については言及しません(例えば保持ポリシーの設定など)。大まかな流れでOffice 365を捉えたい方に最適な内容としている点をご了承ください。なお、今回のExchange Onlineの構築環境はActive Directory連携をしていることを前提に記載します。
Exchange OnlineとOutlookでできるスケジュール管理について
Exchange Onlineは非常に多くの機能を提供しています。今回は普通のメールではなくOutlookとExchange Onlineを連携させたスケジュール管理について簡単にご紹介します。この機能を理解することで施設/設備登録の必要性などを理解できます。
業務で普通のメーラーを使用している場合、メーラーはメールのやり取りでしか使用せずに、別途スケジュール管理などをCybozeやExcel、手帳などを用いて実施している方が多いのではないでしょうか。しかし、本来はメールを元に打合せや会議、来客、訪問など業務を実施するためのスケジュールを組み立てるのが自然です。また、施設/設備予約はExcelや紙、独自システムで管理という環境が多いのではないでしょうか。
Outlookは数多くの機能が提供されており、Exchange上に作成した個人のメールボックス(予定表含む)や、施設/設備の予定表などをまとめて見ることができます。メールサーバーとしての機能だけでなく自分以外のユーザーや施設/設備の予定表も一元管理できる機能を提供しているExchange Onlineと組み合わせることで、OutlookはThunderBirdやBecky!などのメーラーよりもはるかにビジネスシーンで活躍するツールへと変貌します。
Outlookが提供しているスケジュール管理機能は次の図1になります。
図1を見ると分かりますが、串刺しで予定を鳥瞰できます。縦の列で白く予定が入っていない時間帯に対して打合せや会議の出席依頼をすることができます。
これにより都度電話をかけたり、メールでスケジュール調整のメールを何度もやり取りしたりしなくとも、Outlookを見るだけで打合せや会議の予定を立てて参加者に通知を送ることができます。通知は通常のメールのような形式で届きます。
開催者、参加者(図には表示させていません)、場所、開始時刻と終了時刻が記載されており、自身のスケジュールにも仮予定として差し込まれます。実際に自身の予定表と照会して問題なければ図2のリボンのメニューにある[承諾]や[仮承諾]を、もし手帳にしか書いていない予定などがあれば[辞退]を選択できます。辞退する時にはリスケの予定などを本文に記載することで再調整もスムーズに行えます。
つまり、Exchange OnlineとOutlookを活用することで本来業務では無駄でしかなかった調整時間を大幅に削減できる他、拠点を跨いだ施設設備の予約ができるので、今までよりも効率的に仕事が進められます。
なお、Exchange Onlineが提供している予定表の考え方について誤解が生じやすいため簡単に説明します。他人や施設/設備の予定表は自分自身の予定表と同じように見えるため気軽に相手の予定表にスケジュールを入れられると錯覚しやすいのですが、実際は権限を割り振られていない限り自分の予定表以外の予定表を編集する権限は提供されていません。
Outlookから打合せや会議開催のため、他の方に会議の案内を図2のように送り、相手側で参加の了承が得られて始めてスケジュールとして確保できます。他人や施設/設備に対しては予定の依頼をするという意識だけしておくよう啓蒙すると良いでしょう。
それでは実際にExchange Onlineを展開していくための事前設定について解説します。