はじめに
本連載はOffice 365を実際に自社に導入した管理者観点での記事です。ターゲットは自社のITインフラに不満を持ち新たなサービスを検討している管理者の方や、開発に集中したい開発者の方です。過去連載は次のとおりです。
Office 365入門
Office 365導入セットアップ入門
Yammerは元々Yammer社が開発した企業内SNSという立ち位置のサービスでした。2012年6月25日にMicrosoftがYammer社を買収し、昨年Office 365に統合されました。Yammerは現在、Office 365でMidsize Business、Enterpriseいずれかのプランを選択した際に利用できます。日本の企業において敬遠されがちな企業内SNSを、実際に社内展開している著者の企業を例に、どのようにセットアップするのか、どのように展開するのが良いのかをご紹介します。
Yammer Enterpriseでできること
Yammer Enterpriseは、企業内のコミュニケーションを促進するSNSサービスです。TwitterとFacebookの様なSNSを、社内に限定してやり取りすることができるサービスと言えます。しかし、日本の大抵の企業の管理職の方は、SNS=遊びと捉えている方がいるため、SNSと聞くと嫌悪感を示すことがよくあります。
Yammerのイメージは、全社間をフリーアドレスの環境で仕事していたり、休憩室で休憩しながら雑談していたりするような環境を、自社の社員しかアクセスできないようにした、「インターネット上の場」です。
Yammer上では次のようなことが実現できます。
機能 | 詳細 |
---|---|
TwitterのタイムラインやFacebookのウォールの様なメッセージ投稿機能 | @ユーザー名や、#ハッシュタグ機能も提供しています。 |
登録者同士のプライベートメッセージ送信機能 | ダイレクトメッセージ機能です。 |
部署や課、共通の趣味や同期などの複数ユーザーで情報共有する場合に使用するグループ機能 | 公開グループと参加者にしか見えないプライベートグループが作れます。 |
簡易アンケート機能 | Facebookグループのアンケート機能の様な物です。 |
Office 365でカスタムドメイン登録している際のActive Directory連携(統合) | 会社に関係あるユーザーしかアクセスできないようにします。 |
ズバリYammer Enterpriseのキモは、Active Directory連携です。Yammerは企業毎にSNSのトップページがあります。Office 365のMicrosoft Azure Active Directoryと連携することで、社員並びに協力会社さんしかYammerにアクセスできないように、制限をかけることができます。また、特定の協力会社さん、社員は参加させたくない場合は、ユーザーのブロックや削除なども行えます。
実際に業務で活用するシチュエーションを挙げてみましょう。
例えば資料を作成する際、草案や第一版を作成後には、レビューというプロセスがあるはずです。従来は資料に対して意見、提案を述べる際に、会議や打合せを行ったり、メーリングリストなどで一括して資料を配布し、メールでやり取りをしたりしているケースが多かったと思います。メールでのやり取りの場合「堅苦しい」「忙しくて見逃してしまう」、会議などの場合「会議に行く時間がもったいない」などネガティブな面もあるため、本当に必要な情報が得られないこともあります。
Yammerを活用すると、SharePoint OnlineやOneDrive Pro上に配置したドキュメントに対して気軽にやり取りができます。「忌憚のない意見をください。」などのコメントと共にリンクを貼るだけです。ある程度Yammerが軌道に乗ると、拠点、部署をまたぎ、欲しい情報を獲得しやすくなります。
そのやり取りの過程をまとめることで、業務プロセスの見える化、風通しの良い社内環境、自発的な業務+αのコミュニケーションが実現できるのが、Yammerを導入する強みと言えるでしょう。