一人25GB使えるオンラインストレージ「OneDrive for Business」
SharePoint Onlineでは全体で情報共有を行うポータルサイトなどの機能の他に、SharePoint Onlineのサブスクリプション購入者に対して、一人25GB利用できるオンラインストレージ「OneDrive for Business」が提供されています。
SharePoint Onlineでもライブラリを作成してチームや会社全体でドキュメント共有ができますが、OneDrive for Businessでは、以下のことができます。
- 既定でアクセス可能なのは利用者自身のみ(設定により共有も可能)
- 個人が業務の中で使用するワークフォルダとして利用できるオンラインストレージ
- 設定することで配置しているファイルのバージョン管理も可能
- 削除してしまった場合もSharePoint Onlineのゴミ箱から復元が可能
- Windows+Office 365 Pro Plusを利用している時エクスプローラー統合ができる
- Mac/Android/iOSなどでもアプリが提供されていて同期可能
オンラインストレージとしてDropboxやBoxなどの他ベンダーの選択肢もありますが、チーム用で契約していない限り、コンシューマー向けサービスとして最初に準備されていたか、最初からビジネスを意識した集中管理、セキュアさを考えると、SharePoint Onlineを利用している場合は、よほどのことがない限りOneDrive for Businessを使用する方がシームレスに利用できます。これはMicrossoftが一般コンシューマー向けに提供しているOneDriveというサービスとアプリについても例外ではありません。OneDriveは無償で7GBのオンラインストレージを提供していますが、管理が個々人に依存してしまいます。
それぞれ、エクスプローラー内で統合されるので、通常のエクスプローラーの操作感でファイルを配置するとクラウド上のサービスと同期を取ることができます。またOneDriveとOneDrive for Businessは同居も可能です(図5)。
説明や図だけだと、名称的にはほぼ同一製品と感じられるかもしれませんが、内部的にはかなり異なるサービスとアプリなので簡単にできることを整理してみます。
「OneDrive」と「OneDrive for Business」の違い
OneDrive for Businessは、SharePoint Onlineのライブラリとクライアントのフォルダを関連付けて同期を取ります。つまり、SharePoint Onlineの管理センター上で全体の管理ができます。例えば、個人ユーザーAさんの端末上に機密情報などが保存されており、何らかの事情で隠匿しようとして削除したとします。ゴミ箱に入ったファイルを空にして、PC上から見えない情報にしてしまうとファイル復元ソフトなどを使用しなくては復元できません。
OneDrive for Business上は内部的にはSharePoint Onlineなので、管理画面から管理者しかアクセスできない「ゴミ箱を空にした後に管理者専用のごみ箱」にファイルは行きつきます。管理者はここから消してはまずいファイルを復元させることなどもできます。
多少コンシューマー向けとビジネス向けの違いを触れたところで、実際異なる部分をまとめてみます。
機能 | OneDrive | OneDrive for Business |
---|---|---|
【ファイル】一人あたりのストレージ領域(追加費用なしの場合) | 7GB | 25GB(2014年6月執筆時点) |
【ファイル】1ファイルあたりアップロードできる最大のファイルサイズ | 2GB | 2GB |
【ファイル】PC利用時のエクスプローラー統合 | 有 | 有 |
【ファイル】ごみ箱(削除後一時保管されるオンラインごみ箱) | 有 | 有 |
【ファイル】Office Onlineによる閲覧/編集 | 有 | 有 |
【ファイル】バージョン管理 | 無 | 設定することで有 |
【共有機能】Office Onlineを利用した共同編集 | 有 | 有 |
【共有機能】他ユーザーとのファイル共有 | 有 | 有 |
【管理】OneDriveの容量管理(追加課金した場合) | 有 | 有(ユーザーを選んで拡張が可能) |
【管理】OneDriveの機能の無効化 | 無 | 有 |
【管理】共有範囲の制限 | 無 | 有(外部ユーザーや一部ユーザーなど) |
【アプリ】エクスプローラー統合アプリ | 有 | 有(Office 2013に同梱) |
【アプリ】Mac向けアプリ | 有 | 無 |
【アプリ】iOS向けアプリ | 有 | 有 |
【アプリ】Android向けアプリ | 有 | 無 |
OneDrive for Businessはエンタープライズ用に拡張されているため、まだアプリが出揃っていないなどの未成熟な部分はありますが、SharePointをうまく活用した管理ができるという意味では魅力的なサービスです。
管理者観点でも個人のファイルのバックアップが自動で取られて、履歴管理もできる便利なこのサービスは利用者全員に広めていきたいところです。
OneDrive for Businessと同期エラー
ここまでは便利な観点で話を進めてきましたが、実運用、実利用の際にOneDriveは同期時に同期エラーが発生しやすいです。
ここでは、同期エラーが発生するケースと対処方法について記載します。
2014年6月現時点では、以下のケースの場合同期エラーが発生します。
- エクスプローラー統合しているフォルダのファイルとフォルダ合計値が20,000を超えている場合
- 1ファイルあたり2GB以上のファイルの同期を取ろうとした場合
- 特定のファイル形式やフォルダ名が含まれている場合
OneDriveは、セキュリティの関係上利用できないファイル形式やフォルダ名があります。
詳しくは下記のとおりです。
- 扱えないファイル拡張子(6種) : .ashx、.asmx、.json、.rem、.soap、.svc、.xamlx
- ファイルやフォルダに使用できない名前(24種) : AUX、PRN、NUL、CON、COM0、COM1、COM2、COM3、COM4、COM5、COM6、COM7、COM8、COM9、LPT0、LPT1、LPT2、LPT3、LPT4、LPT5、LPT6、LPT7、LPT8、LPT9
- ファイル名に次の文字が含まれる(11種) : / \ < > : * " ? | # %
- ファイル名が空白文字で開始する
- ファイル名がピリオドで開始または終了する
- ピリオドがファイル名の中に2つ以上並ぶ
- 完全なパス(ファイル名を含む)が442文字以上である : パス名に日本語が使われている場合、自動コード変換により実際の文字数よりパスが長くなりるので注意が必要
- 破損ファイルが含まれている、ウイルスが含まれている、開いているファイルは、同期できない
ファイルをまとめてOneDrive for Business上に配置した場合などが特に発生しやすいようです。これをトリガーにして発生した場合、エラー解決のために若干煩雑な手順が必要です。
どのファイルが問題を起こしているか分かる場合は、一度該当ファイルを通常のフォルダに移動させ、同期後に再度配置すると解決することが多いです。