レシピを作る
では、Webサーバを構築するためのCookBookを作っていきます。今回のサンプルでは、Apache httpdとPHPを使ったWebアプリケーション実行環境を作成します。構築の手順は次のような流れになります。
このインフラ構築の手順にそって、Chefではレシピをコーディングします。作成したCookBookのひな形ディレクトリにある「E:¥chef-sample¥httpserver¥apache¥recipes¥default.rb」にコードを書いていきます。
Remiリポジトリのダウンロード
リポジトリとは、よく使われるミドルウエアや便利なパッケージなどさまざまなソフトウエアを集めて管理しているものです。CentOSでは、Webサーバの構築に必要なミドルウエアやパッケージは、LinuxのRPM互換パッケージ管理システムであるyumレポジトリを使ってインストールしますが、パッケージによっては最新版が導入できないものもあります。今回はPHP5.5をインストールするため、サードパーティのRemiレポジトリを導入します。
まず、ネットワーク上のRemiパッケージのrpmファイルをダウンロードします。ダウンロードはremote_fileリソースというChef専用の命令を使って、次の構文でコードを書きます。
remote_file "ダウンロードしたファイルの保存場所" do source "ダウンロード元のURL" action :create end
たとえば「http://rpms.famillecollet.com/enterprise/remi-release-6.rpm」からパッケージをダウンロードして「/tmp/remi-release-6.rpm」に保存したいときは、次のコードになります。
# 1. Remiリポジトリのダウンロード remote_file "/tmp/remi-release-6.rpm" do source "http://rpms.famillecollet.com/enterprise/remi-release-6.rpm" action :create end
なお、#で始まる行はコメント行ですので実行されません。
remote_fileリソースの詳細なリファレンスについては以下を参照してください。
Remiリポジトリのインストール
次に、ダウンロードしたRemiリポジトリのパッケージをインストールします。ローカル上のrpmファイルからパッケージをインストールするときは、以下のrpm_packageリソースを使って、次の構文でコードを書きます。
rpm_package "パッケージの名前" do source "パッケージの保存場所" action :install end
たとえば、「/tmp/remi-release-6.rpm」に保存されたファイルを使ってインストールするときは、次のコードになります。
# 2. Remiリポジトリのインストール rpm_package "remi-release-6" do source "/tmp/remi-release-6.rpm" action :install end
また、インストールだけでなくパッケージのアップデートや削除もできます。詳細なリファレンスについては以下を参照してください。
Apache httpd/PHPのインストール
続いて、Apache httpdとPHPをインストールするためのコードを説明します。パッケージをインストールするときは、以下のpackegeリソースを使って、次の構文でコードを書きます。
package "パッケージ名" do action :install end
たとえば、Apache httpdをインストールするためのコードは次のとおりです。
package "httpd" do action :install end
また、パッケージを複数インストールするときは、Rubyのループ構文を使います。
オブジェクト.each do |変数| 処理 end
たとえばApache httpdとphp/php-mbstring/php-pearの4つのパッケージをインストールするときは、eachメソッドを使って次のように記述します。
# 3. Apache httpdとPHPのインストール %w[ httpd php php-mbstring php-pear ].each do |pkg| package "#{pkg}" do action :install options '--enablerepo=remi-php55' end end
CentOS 6.5では、標準でPHP5.3がインストールされますが、今回はPHP5.5をインストールしたいので、先ほど導入したRemiリポジトリを使用します。Remiリポジトリを使用したいときは、optionsで'--enablerepo=remi-php55'を指定します。
また、インストールだけでなくパッケージのアップデートや削除もできます。詳細なリファレンスについては以下を参照してください。
おわりに
今回の記事では、Chefとはどのようなものか? とChefの導入の仕方、Chefを使ったパッケージのインストール手順について紹介しました。
次回の記事では、ChefのCookBook作成の続きで、Apache httpdの設定ファイルの作成やWebサーバにデプロイするファイルの設定などを紹介します。また、作成したChefのCookBookをVagrantから呼出し、ローカルPCの仮想環境でインフラを自動で構築する手順を紹介します。