対象読者
- JavaScript開発者
- Androidアプリ開発者
- iOSアプリ開発者
- Windowsアプリ開発者
ハイブリッドアプリって何?
ハイブリッドアプリとは何か、という定義は厳密には定まっていません。スマートフォンアプリの業界内でいえば、Cordovaなどを用い、Web技術で開発した通常のアプリを示します。
どうして、Web技術を用いて通常のアプリが作れるかといえば、スマートフォンでは、ブラウザエンジンのライブラリがサポートされていて、組込みブラウザ(WebView)上で動作するソフトウェアを作成できます。実は、このような実装方法は昔からありIEのエンジンを組み込んだWindowsアプリなどがあったように、技術的にはそれほど先進的なものでも、画期的なものでもなく十分枯れた手法といえます。
筆者も2003年くらいには、Flashコンテンツを表示させるために、WindowsアプリにIEエンジンを組み込んだり、また、身近で多くの方が利用するアプリであるメーラーにはほぼブラウザエンジンが組み込まれ、そして何らかのネイティブとの連携をしているはずです。このようにクライアントアプリを作ったことがある方であれば、ブラウザエンジンを組み込むような手法を見たことがある方もいるのではないでしょうか?
その当時から、ネイティブの実装と、JavaScriptの実装とを組み合わせていましたが、それらは「ハイブリッド」とは呼ばれませんでした。しかし、スマートフォンに限っては「ハイブリッドアプリ」と言われるようになり、その当時とは違って、現在では以下のような特徴がつよく現れています。
- JavaScriptなどWeb技術でアプリケーションが実現可能
- 複数のOSに対して同じコードで対応できる
- プラグイン形式等によりネイティブ部分での拡張が可能
ハイブリッドアプリのフレームワークは図1のような技術スタックでできています。「Apache Cordova」はWebViewと呼ばれているブラウザエンジンを内包しています。他のハイブリッドアプリフレームワークとして有名なものに「Titanium Mobile」がありますが、こちらは「Apache Cordova」と違ったアプローチをとっていて、JavaScriptという言語を用いてネイティブの部品などを操作しますので、多くの方が抱くハイブリッドアプリというものとは多少異なるかもしれません。従って、本記事内ではハイブリッドアプリという場合には、WebViewを使ったアプリという前提で以後、説明をしていきます。
これらの手法のうちどちらの方が優れている、ということはありませんが、Apache Cordovaはアプリ内のブラウザ上で動作するため、制約や実現できることなどが非常にわかりやすくなっています。また、多くの方に支持されており、オープンソースとして提供されていることから、それらを組み込んでサービスを行っている企業や関連したツールなどをサポートしている会社が多々あります。
Cordovaを利用しているサービスではアドビシステムズ社が提供しているPhoneGap/PhoneGap Buildやアシアル社が提供しているMonacaが有名であり、また、それらのコミュニティも盛んですので、エンジニアが情報を得やすいという利点があります。Apache Cordovaを世界的にも牽引している会社の一つが日本にあるということは、非常に強いメリットといえます。