社会に起こっていることを理解するために、大量のデータが重要
「MAGELLAN BLOCKS(マゼラン ブロックス)」は、ビッグデータ処理サービスのBigQueryなど、Google Cloud Platfotmのマネージドサービスを、Webブラウザ上でブロックを組み合わせるようなUIで気軽に利用できるサービスだ。7月27日に正式版がリリースされた。同タイミングで、大量のデバイスからのアクセスを捌くことのできる「IoTサービス」機能が、新たにα版として追加された。
セミナーの冒頭では、グルーヴノーツ 代表取締役社長 最首英裕氏によって、MAGELLAN BLOCKSが目指すものについて語られた。
最首氏はまず、米国の経営学者 マイケル・ポーターが提唱した、CSR(企業の社会的責任)に代わる新しい概念「CSV」(Creating Shared Value:共通価値の創造)を紹介した。つまり、今の企業にとって、社会に起こっているさまざまな課題を解決することが、ビジネスが成長するのに重要な観点である、ということだという。
「企業は、社会で起きていることをわかっているのだろうか?」と最首氏は問いかける。例えば「ある商品がなぜ売れているのか」を明らかにするには、POSデータを分析するだけでは不十分だ、という。「時間帯」「商品」「評判」「天気」といった適切なデータの関係性を丁寧に見ていくことで、初めて因果関係が分かるようになる。
社会で起こっていることを理解するには、大量のデータを集める技術(IoTのためのバックエンド)、集まったデータを簡単に処理できる技術(ビッグデータ処理機番)、大量のデータを学習させて適切なアウトプットを出す技術(人工知能)が必要だ。これらをサービスをどなたでも利用できるようにしたいという思いから、MAGELLAN BLOCKSは開発されたのだそうだ。
続いて、同社 藤本瑠美氏からは、BigQueryを活用した売上集計のバッチ処理を、MAGELLAN BLOCKSを用いて実現するデモが行われた。
MAGELLAN BLOCKSは、「ボード」と呼ばれる画面に対して、自動化したい処理の一番小さい単位である「ブロック」を配置し、つなげることに対してフローを組み立てることができる。ブロックには、Slackへメッセージを通知する「Slack通知」、BigQueryのクエリーを実行する「クエリーの実行」、GCPで提供している画像解析APIを利用できる「Vision API(汎用)」など、さまざまなものが提供されている。
このボードには、実現したい処理にあわせていくつかの種類がある。このたび正式版となったのはBigQueryが利用できる「ビッグデータボード」だが、IoTデバイスから送られてくるデータをクラウド上に収集する機能「IoTボード」もα版として提供されている。ゆくゆくはAI/機械学習に関するボードも提供される予定だ。
今回のモデルケースは、「店舗の売上をデータストアに取り込み、店舗別、商品別に集計し、集計データとして出力し、結果をBIツールで分析する」というもの。
まずはボードを作成し、ブロックを左側の「ブロックリスト」から選んでドラッグ&ドロップで配置する。ブロック同士を重ねあわせると、ブロックが線で結ばれる。切り離しも自由だ。藤本氏は、売上データの集計処理を、MAGELLAN BLOCKSを使って数分で実現して見せた。