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クラウドネイティブ時代のデベロッパー生存戦略

Azureは今どんな状況? AWSとの違いは?――Azureを日本でいち早く触ったAzureコンサルタント 浅見城輝さんに聞く

クラウドネイティブ時代のデベロッパー生存戦略 第2回(前編)


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 AWSが圧勝と言われてきたクラウド市場に異変が起きている。Microsoft Azureはシェア第2位として、AWSとの差を縮めつつあるという。クラウド時代の開発者のロールモデルと言える方へのインタビュー企画、第二弾では、情シスやDBコンサルタント、フリーランスを経て、現在は株式会社pnop 代表取締役としてAzure導入のコンサルティングを行う浅見城輝さんが登場。吉羽龍太郎さんが聞き手となり、Azureをいち早く触ってきたという浅見さんに、Azureの現況や、AWSとAzureの違い、そして浅見さん自身のキャリアについて伺った。

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Azureは今、どのくらい普及しているのか?

株式会社pnop 代表取締役 浅見城輝さん

株式会社pnop 代表取締役 浅見城輝さん

 ネットワーク機器メーカーでの情シス、DB管理パッケージベンダでのコンサルタント、フリーランスを経て、現在は株式会社pnop 代表取締役/Cloudlive株式会社 代表取締役としてMicrosoft Azureと戯れる日々。

 元々はUNIX/Linuxの領域からかつてはアンチだったMicrosoftの世界へ転換。

 Japan Azure User Group コアメンバー、Microsoft MVP for Microsoft Azure

 NO BEER, NO LIFE!

吉羽 浅見さんから見て、Azureのマーケットは現在どんな状況でしょうか?

浅見 広がっていると感じます。例えば2014年2月に日本リージョンがオープンしたタイミングだったり、マイクロソフトが最近オープンソースを謳うようになったことだったり、エンタープライズの方たちがクラウドを使うようになってきたりという流れの中で、Azureはちゃんと波に乗っています。それが市場調査の数字にも出ていると思うんですね。

吉羽 過去に付き合いのあったお客さんは、もうかなりクラウドに移行していますか?

浅見 そうとは言い切れないですね。クラウドファーストと言っているところも多く、ほとんどのお客さんがクラウドを利用しているのは事実ですが、オンプレのハコが無くなっているかというと、そうでもありません。Azureだと、エンタープライズのお客さんが多い印象なので、そうすると、全部クラウドにもっていくケースは、ごく稀なんだろうなと思います。コンシューマ向けの市場ではまだAWSが強いと感じますし。

吉羽 では、お客さんがAzure上のアプリケーションを開発する場合、どうやって開発しているのでしょうか。SIerに頼んでいるケースが多い?

浅見 そうですね。お客さんが、アプリケーション開発まで含めて「全部お願い」するケースがすごく多いです。

クラウドとオンプレの違いを理解しているか?

吉羽 一方で、クラウドとオンプレでの開発は、サービスレベルなどに対する考え方が全く違うじゃないですか。けれどお客さんは、クラウドだけど、稼働率99.999%といったオンプレと同じ稼働率や、壊れないことを期待している。その辺りのギャップが課題になったりしませんか?

浅見 なりますね。しかも「クラウドだから壊れないんでしょ」と思っている方も中にはいる。クラウドだからと言って同じようなハードウェアで動いているのだから当然壊れることもありうるのですが、壊れた際の準備ができていないといった、知識がないことが問題なんですよね。クラウドには可用性を高くする仕組みがあるのにそれを活用できていないんです。

 そこの理解があれば、SIerはお客さんに対してもっといい提案ができるはずだし、コストも抑えられるはずです。

吉羽 クラウドならではの構成にすればね。

浅見 ところがそういう提案ができていないようで。

吉羽 やっぱり、あくまでクラウドをオンプレの代替、仮想マシンとして捉えちゃうのが問題なんでしょうか。

浅見 そうなんです。

吉羽 逆に言うと、SIerも、エンタープライズのお客さんがどんどんクラウド使うようになって、クラウド案件が増えるから、エンジニア全員がクラウド勉強しなきゃってなってほしいですよね。

浅見 そうですよね。クラウドは、万能の魔法でもないんだけど、かといって無駄に不信に思う必要もない。中には兎にも角にも信じられないっていう人もいるじゃないですか

吉羽 そんな人いる?

浅見 クラウドだからモノ預けられないという話があったり。

吉羽 でもね、Serverworksの大石さんの受け売りですが、お金に対する銀行と同じじゃないですか。データを、自社のデータセンターや会社のオフィスに置いておくより、クラウドに置いたほうが安全ですよっていう。

浅見 そうですね。でもお金とデータの違いはあると思っていて。お金って自分のお金そのものが無くなっても、人のお金があるから同じものが存在するんですよ。ただデータに関しては代わりが無いから。

吉羽 確かに。でも一方で、セキュリティの視点だと、自社でデータセンターを運用して、セキュリティ担当を何人も付けるだなんて難しいですよね。クラウドに置いておいて、専門家に見てもらったほうが安全。

浅見 普通のデータセンターでも、セキュリティがずさんなところがあるじゃないですか。それに比べたら、パブリッククラウドの方が侵入不可能だし、万が一入れたとしても、どこに誰のデータがあるかもわからないし。

吉羽 そういう意味では、開発者がクラウドを学ぶのは、案件のボリュームもそうだし、知識のカバレッジという意味でも、基礎知識になりつつある、ということでよいのでしょうか?

浅見 そう思います。でも、だからクラウドをやらなければならないとは決して思っていなくて、別に興味のあることを深く掘ればいいとは思うんですよね。ただ、だからといってそれだけやっていればいいわけではなく、クラウドは最低限のものとして知っておかなきゃいけないなと思います。そうしないと、結局他の自分の領域を超えた人たちと話をする時に、自分の意見が通らないじゃないですか。

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

CodeZineは、株式会社翔泳社が運営するソフトウェア開発者向けのWebメディアです。「デベロッパーの成長と課題解決に貢献するメディア」をコンセプトに、現場で役立つ最新情報を日々お届けします。

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吉羽 龍太郎(Ryuzee.com)(ヨシバ リュウタロウ)

 クラウドコンピューティング、DevOps、インフラ構築自動化、アジャイル開発、組織改革を中心にオンサイトでのコンサルティングとトレーニングを提供。 認定スクラムプロフェショナル(CSP) / 認定スクラムマスター(CSM) / 認定スクラムプロダクトオーナー(CSPO)。Developers Summit 2016ベストスピーカー(1位)。 著書に『Amazon Web Services企業導入ガイド』(マイナビ)、...

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