kill -l [signal]
killコマンドは、PID
で指定したプロセスIDのプロセスにシグナルを送信します。主に、プロセスの終了または強制終了を行いたい時に使用します。
プロセスとは、UNIX上でプログラムを実行すると生成される、プログラムの実行管理単位です。たとえ同じプログラムを動かしたとしても、それぞれ別のプロセスとして生成されます。そして、カーネルはこのプロセスの管理のために、それぞれのプロセスに一意な番号を割りあて、それをプロセスIDといいます
- ① -s signal
「signal」で指定したシグナルを、PIDで指定したプロセスIDのプロセスに送信します。送信できるシグナルには、いくつかの種類があります(次表参照)。このオプションを省略した場合は、「SIGTERM」が指定されたものとして処理されます。
「-s 9」、「-s SIGKILL」、「-s KILL」のように指定するのと、「-9」、「-SIGKILL」、「- KILL」のように指定するのは同意です。
- ② -l signal
「signal」に指定したシグナルの、シグナル番号またはシグナル名を表示します。
「signal」を省略した場合には、シグナル名およびシグナル番号の一覧を表示します。
シグナル名 | シグナル番号 | 呼称 | 内容 |
---|---|---|---|
SIGHUP | 1 | ハングアップシグナル | 端末がハングアップした時に送られるシグナルです。主としてデーモンの再実行に使用します |
HUP | |||
SIGINT | 2 | 割り込みシグナル | 割り込みキー([Ctrl]+[C]キー)が押された時に送られるシグナルです。プロセスに割り込みを入れる時に使用します |
INT | |||
SIGKILL | 9 | 強制終了シグナル | 強制的にプロセスを終了させます。ただしゾンビプロセスは終了することができません |
KILL | |||
SIGTERM | 15 | 終了シグナル | プロセスに終了を促す時に送られるシグナルです。「signal」を指定しなかった場合には、このシグナルを指定したことになります |
TERM |
ハングアップとは、OSが処理不能に陥った状態を表す言葉で、フリーズと呼ばれることもあります。ハングアップは、端末が制御不能となりコマンドを受け付けない状態と言えます。例えば、端末をつないでいるケーブルを抜いたり、端末自身の電源を切った場合にもこのシグナルが送られます
デーモンとは、常に動作して何かを監視しているプログラムのことで、決められたタイミング(変化)をきっかけに、決められたアクションを起こします。例えばプリントデーモンは、印刷物がスプールに入るのを監視し、データがスプールに入ってきた場合に、そのデータをプリンタに印刷要求するという役割を持っています
プロセスからさらにプロセスが生成される場合があります。生成した側を親プロセス、生成された側を子プロセスと呼びます。そして、子プロセスは親プロセスによって管理されます。
この時、なんらかの理由(killコマンドなど)で親プロセスがなくなった場合、子プロセスは管理者を失い、動作できなくなります。このように、何からも管理されないことによって、動作することができなくなったプロセスを、ゾンビプロセスといいます
- ① PID ...
- シグナルを送るプロセスのプロセスIDを指定します。
# ps -ef | grep httpd
root 899 1 0 09:11 ? 00:00:02 /usr/sbin/httpd
apache 1736 899 0 09:55 ? 00:00:00 /usr/sbin/httpd
apache 1737 899 0 09:55 ? 00:00:00 /usr/sbin/httpd
# kill -1 899
親プロセスIDが「1」である、プロセスID「899」のプロセスが親デーモン# ps -ef | grep httpd
このプロセスに対してSIGHUP(1)を送信することにより、設定ファイルを再読み込みし、子プロセスを再起動する
root 899 1 0 09:11 ? 00:00:03 /usr/sbin/httpd
apache 1751 899 0 09:57 ? 00:00:00 /usr/sbin/httpd
apache 1752 899 0 09:57 ? 00:00:00 /usr/sbin/httpd
新たなプロセスが生成されたことが、子プロセスのプロセスIDの変化からわかる
# kill -SIGKILL 899
# ps -ef | grep 899
#
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本コンテンツは「UNIXコマンド辞典 ビギナー編」(2003年)を元にWeb用に再編集したものです
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