2017年02月16日に目黒雅叙園で開催されたイベント「Developers Summit 2017」では、サイボウズ株式会社 大阪開発部 部長 岡田勇樹氏のセッションが行われました。岡田氏もまた、「住む場所」と「やりがい」の両立に悩まされていた過去があったのです。困難な状況に直面した氏は、どういった経緯で自らの希望をかなえたのか? また、その過程で会社としてどのような課題に直面し、解決してきたのか?――エンジニアが働きたい場所で働くために必要なことが、実例を交えて解説されました。
大阪へのUターンを決意、そして拠点設立へ
岡田氏は大阪出身・大阪在住、サイボウズに新卒入社し現在は10年目。2007年に上京して2009年には松山オフィスに転勤、そして2011年に再上京と勤務地の変遷をたどりました。元々関西で働きたいという思いはあり、30歳を迎えたタイミングで岡田氏はUターン(退職)を決断します。
そして予想外の展開が。退職を告げたところ「大阪に拠点を作るか?」と言われ、「やります!」と返答。2014年に大阪拠点を設立する運びとなりました。こういったケースは特殊なものなのでしょうか?――「サイボウズではそうでもなかった」と、岡田氏は語ります。この他にも「地元の福岡に営業拠点を作った人」や、「岡山や京都の自宅でリモートワークをしつつ、週1~2日は出社する営業やエンジニア」などのケースもあったようです。
チームの構成はエリアで分けることなく、東京と大阪のメンバーが混在しています。メンバーそれぞれの在宅ペースも異なり、会議や飲み会はTV会議の設備を使って行っています(ちなみに飲み会の際、拠点内で盛り上がると拠点間の会話は無くなるそうです)。
サイボウズにあったもの、なかったもの
岡田氏が大阪へのUターンを決めることができた背景として、「サイボウズにはこれがあったから決断できたのでは」という要素がいくつかあったようです。ツール面では以下のものが用意されていました。
- VPNで社外から社内のPCにリモートデスクトップ接続が可能だった
- 持ち出しPCのICカード認証
- TV会議システムが全拠点のほぼ全ての会議室に導入されており、社外からも会議に参加できた
- GitHub/Slack
- グループウェア
また、以下のような制度が制定されていました。
- PC持ち出しやクラウドサービス利用のルールに関するセキュリティ規則
- 台風や荷物受け取り、看病等の突発的な理由で在宅勤務が可能になる制度(通称“ウルトラワーク”)
- 選択型の人事制度(働く時間と場所を自分で決めることができる)
そしてより大切なポイントとして、サイボウズには「風土」が存在していました。
- とりあえずやってみよう、というチャレンジして改善する文化
- 強いチームを作るため、考え方などの多様性を認め合う文化
- 離れて仕事していてもごまかさない、嘘をつかないという公明正大さ
- 自立
岡田氏は、これらの要素を「ワークスタイル変革の3要件」として図にしたものを提示しました。しかし、サイボウズでも最初からこれらの要素がそろっていたのかというと決してそうではありませんでした。改善を積み重ねてきたからこそ、現在の結果があるのです。