激化するモバイルアプリ市場を勝ち抜くために
Google Playのアプリ数は2017年1月現在で約270万、App Storeでは約220万に上る。1年前のアプリ数と比較すると、前者では月平均で約6万、後者では約3万のアプリがリリースされている計算だ。しかし米国での統計では、平均的なユーザーが1日に使用するアプリはわずか4~6個。アプリの利用時間や収益は伸びているものの、アプリのダウンロード数は先進国では横ばい、日本ではマイナス成長となっている。すなわち、モバイルアプリ市場では競争が激化しており、アプリを出せばよいという時代は終わったということだ。
そういった状況のもと、Yahoo! JAPANは2014年~2016年、3年連続でアプリの国内トップパブリッシャーの座を獲得(App Annieの調べによる/2014年、2015年はゲームアプリを除く)。ユーザーが使いやすいアプリを開発するために、いくつかの取り組みを行っている。
まず、「あたりまえ」品質の基準を定義することである。具体的には、「信頼性」=安心・安全に使用できること、「市場性」=市場優位性や新規性があること、「使用性」=使いやすいこと、「機能性」=合目的的で想定どおりに動くこと、「改善性」=迅速に改修可能であることなどが挙げられる。例えば、「信頼性」については、ソフトウェアの安定性に加え、コンプライアンスの遵守、正確なコンテンツの提供、ユーザー情報の保護など、ユーザーが安心して使用するための基準をまとめている。
これらの基準を満たすために並行して行っているのが、プラットフォームやツールの整備だ。例えば、全社でCI環境を構築し、GitHubでコードをコミットすると、Jenkinsでビルド、Robolectricでユニットテスト、AppiumでUIテストが行われるようになっている。テスト結果は社内チャットなどで通知され、さらに生成物がArtifactoryなどにアップロードされる。社内システムではビルドやテストを実施する部分をビルドエンジンとして抽象化しているため、ビルドパイプラインを容易に作成し、組み替えることが可能だ。そのため、フロントエンドもバックエンドも開発に同じ社内システムを利用している。
その他にも、Yahoo! JAPANでは、アプリを改善していくためにユーザーの声を聞くことを重視。Google Playや、アプリやWebページなどからユーザーの意見を得て分析し、その一部を開発上のタスクとしている。