汎用的な機能を持った、6種類のAPI
――それでは、今回公開されたA3RTがどのようなラインナップのAPIから構成されているのか、お聞かせください
松田 はい。順にご説明します。まずは、「Listing API」。これは、リスト生成をするためのAPIです。グループ内で、商品やサービスなどのレコメンドをつくる目的で使われているアルゴリズムがあるんですが、それを活用してリストを生成してくれる仕様となっています。
2つ目は、「Image Influence API」。これは、未知の画像が自分好みであるかを点数で示してくれるAPIとなっています。たとえば、美味しそうなご飯の画像なら高い点を返しますし、そうでなければ低い点を返すという具合です。このAPIでは、すでに用意されている画像判別用のデータモデルをそのまま使うこともできますし、自分の好みに合わせて画像とそれに対応する点数を用意してやれば、新たなデータモデルを生成することも可能になっています。
3つ目は、「Text Classification API」。これは、文章の内容をAIが判別することで「政治」「小説」「美容」といったようにカテゴリーの分類を行ってくれるAPIです。これも先ほどのものと同じように、付与したいカテゴリーと対になる文章を用意すれば、新たなカテゴリーを生成できます。
4つ目は、「Text Suggest API」。文書作成ソフトの「予測変換機能」をイメージしてもらえるとわかりやすいでしょうか。原稿の内容を学習することで、その文章特有の言い回しなどをAIが学習し、ユーザーが入力した単語や文章の後に続く文章を生成してくれます。
5つ目の「Proofreading API」は、文章の誤字脱字のチェックをしてくれるもの。
最後の「Talk API」はChatbotを作成するためのもので、ユーザーが入力した文言に対して日常会話で応答する機能を提供してくれます。
ホットペッパービューティーやゼクシィ恋結び。誰もが知る有名サービスにも、A3RTが活用されている
――非常にユニークなラインナップですね。これらのAPIは、リクルートグループ内では具体的にどのようなサービスに活用されているのでしょうか?
石川 例を挙げると、ホットペッパービューティーの「ネイルカタログ」という機能で画像解析の技術が使われています。
ネイルカタログではこれまで、クライアント企業様が画像を入稿するときに「5本ある指のそれぞれに対して、手作業でタグを付与」していました。そうでないと、検索機能の精度が落ちてしまうからです。なぜかというと、それぞれの指に対して施すデザインが違いますから、「人差し指のネイルはアニマル柄が入っているけれど、他の指のネイルはそうではない」というケースがあるそうなんです。だからこそ、全ての指に同じタグを付与してしまっては「ユーザーは1つの指のネイルだけアニマル柄が入っているものが見たかったのに、全ての指のネイルにアニマル柄が入っているものが表示されてしまった」という事態が発生してしまいます。
しかし、手作業で全ての指のネイルにタグを付与する方法には問題があります。工数がものすごくかかるんです。その問題を解消するため、AIによる画像解析を導入しました。ネイルの画像をAIに読みこませることで、タグ付けの自動化を成功させています。
――確かに、その作業が完全自動化されれば、入稿作業の負担は大幅に軽減されそうですね。他にはどのような事例があるのですか?
石川 他には、ゼクシィ恋結びの「チャットで質問」という機能に、Talk APIが活用されています。カスタマーサポートに来るメールや電話などの問い合わせ件数を減らし、そこで働く人たちの負担を軽減するためにChatbotを導入しているんです。
より多くの人に使ってもらえるAPIに進化していけたら嬉しい
――最後になりますが、A3RTを技術者の方々に「こう使ってほしい」とか、今後A3RTを「こういうふうに発展させたい」という思いなどがあれば、ぜひお聞きしたいです。
石川 技術者の方々には、自由な形で利用していただきたいと思っています。そうして、良い部分も悪い部分も当社にフィードバックしてもらえたら嬉しいです。もちろん、「次はこういうものを出してほしい」ということを提案していただいても構いません。私たちとしても、APIのラインナップは今後増やしていきたいと考えています。
それから、もっとA3RTの存在を世の中に広め、日常的に使ってもらえるようなAPIにしていきたいと思います。たとえば、大学の研究室で仮説検証のために使ってもらえるといったことも大歓迎。さまざまな領域で利用してもらえるとありがたいです。また、他の企業とも、APIを活用した業務連携を進めていきたいと考えています。
松田 新しいプロダクトが増えて、たくさん面白いことが実現できるようになるのは、インフラを担当する者としてはすごく楽しみです。私たちインフラチームは、その活動を裏で支える縁の下の力持ちのような存在になっていけたら嬉しいですね。

