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【デブサミ2017】セッションレポート(AD)

客先に常駐するエンジニア同士をつなげる「社内勉強会」、継続させるための秘訣と社内外で現れた成果とは【デブサミ2017】

【17-A-2】Re: ゼロから文化を創り、技術を伝承する ~客先常駐エンジニアと「社内勉強会」で築いた価値と変化

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勉強会を継続させるための重要なポイントとは

 須賀氏が本セッションのタイトルに「Re:ゼロ」とつけたのには、ある理由がある。これは「勉強会を継続させるため、気をつけて運営したが続かなくなった。そこから心機一転して仕切り直し、再び開催した経験」に由来している。

 勉強会の失敗は「続かない・実践できない・広がらない・参加できない」ことが主な要因だ。具体的には、現場が異なるため共通の話題が少ない、スケジュールや場所の問題、モチベーションの低下など、さまざまな理由がある。

 問題は他にもある。若手向けの勉強会はエンジニアが経験値を積める機会でもあるため、若手エンジニアにリーダーを立て、彼ら主導で運営を行っている。半期~四半期ごとに担当者を決め、運営グループとして活動してもらうのだが、勉強会を引っ張っていた中心人物が転職・退職してしまうこともある。そうなると勉強会自体の運用が止まってしまうので、次世代のリーダーを育成することも今後の大きな課題である。

 では、勉強会を成功させるため、大切なこととは何だろうか? 須賀氏の経験では「人・スケジュール・場所・内容について、あらかじめ明確に決めておく」ことが大きなポイントだという。「人」は運営メンバーがちゃんといること。複数名で運営すれば、属人化することなく、仮に誰かが抜けても継続させることができる。「場所」や「スケジュール」については「毎月、何週目の何曜日にどこで開催」というように年間を通じて予定を立てておく。遠方の参加希望者にも細やかに配慮し、ツールなどで情報共有できるようにする。勉強会の「内容」に関しても、せめて「次回は何をするのか」は必ず決めておくようにし、興味・関心を持ってもらえるようにトレンドの技術や盛り上がるネタを入れることが重要だ。「例えば、年間スケジュールで定期開催するようにし、それプラス特集を組んで追加開催すると緩急が付き、継続しやすい」と、須賀氏はコツを説明。勉強会の開催自体が目的ではないが、継続しなければ消滅してしまうので、根付くまでとにかく続けることが重要だ。そのためにも、エンジニアにとって無理のない範囲で参加してもらうことも大切である。

勉強会を開催することにより、社内外で現れた成果

 社内の勉強会を開催した結果、実際にどのような成果が現れているのか。

 顧客からは「問題意識や自己研鑽の姿勢がわかる」と、取り組み自体に評価を得ている。中には業務時間内に勉強会を実施し、互いのサービスの改善を検討、顧客のマネージャー層に発表を行っているケースもある。

 また、エンジニアに対してスキルの底上げを行うことにより、ひとつ上の工程での契約が可能になる事例も出てきた。顧客視点で考えれば、日頃からの自己研鑽によって、プロジェクト加入時の教育時間を節約することにもつながる。

 さらにエンジニアの育成および教育について、顧客との理解度・共感度が上昇した。育成や教育はどの企業でも抱えている共通の課題だからだ。客先でも勉強会をやってほしいとの声が挙がり、顧客の若手社員と合同で勉強会を実施することもあった。

 勉強会は、先輩エンジニアが若手にメッセージを伝える場としても活用できている。実はこれが最も重要な成果といえる。経験の暗黙知を形式知に変え、働く意義や気持ちなどを直接伝えられる。若手も、現場や分野が違う先輩の体験談やノウハウを聞くことができる。先輩と後輩、どちらのエンジニアにとっても勉強になる機会が生まれ、コミュニケーション能力も向上し、業務や部署の枠を越えたつながりを得ることができている。

 もちろん、技術力の面でも相談できる場が生まれたり、集中して勉強できる時間が作れたりといった価値もある。

 会社としても、誰がモチベーションの高いエンジニアか判別できるということや、企業のビジョンを各エンジニアに直接伝えることができる貴重な場があることに高い価値を見いだしている。

文化形成の結果、もたらされた変化
文化形成の結果、もたらされた変化

 須賀氏は価値の高い勉強会を運営するにあたり、今後の課題として以下の3点を挙げた。

新技術に対する備え

 先端技術を扱う現場に就業できるエンジニアは少ない。勉強会として予算を設け、教育の投資として環境を構築することが必要である。

ハイレベルで経験豊富なエンジニアのスキル・知識・立ち回りの共有

 技術分野を超えた形で40・50歳代のエンジニアがどう働いていけるかを考える必要がある。

成長を拒絶するエンジニアの育成

 成長することを拒絶するエンジニアも、まれに存在する。その要因を明確に分析し、育成できるように改善しなければならない。

 須賀氏は最後に「VSN天王洲トレーニングセンターにて社外の皆さまとも多くの勉強会を実施できればと思っております。一緒に勉強会をしませんか?」と呼びかけ、セッションを締めくくった。

お問い合わせ

 株式会社VSN

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CodeZine編集部(コードジンヘンシュウブ)

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https://codezine.jp/article/detail/10084 2017/04/20 14:00

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