CTOパク氏とClovaの開発マネージャー橋本氏がキーノートとして登壇
今年で3回目となるLINEが主催する技術カンファレンス「LINE DEVELOPER DAY 2017」。今年の開催日は9月28日(木)。場所は昨年同様、東京・渋谷の渋谷ヒカリエ 9階 ヒカリエホールで開催される。
昨年度の来場者は1000人超。応募者多数により抽選が行われたという。今年はさらに激戦が予想されている。取材した7月26日時点で、「昨年度より早いスピードで定員に達しようとしている」と、昨年度より同イベントの担当役員を務める池邊氏は語る。したがって今年も応募者多数による抽選となりそうだが、それだけ多くのエンジニアが注目しているイベントなのだ。
昨年は2トラックでセッションが展開されたが、今年は「小規模なトラックを加え、3トラックを用意している」と池邊氏。
オープニングのキーノートを務めるのはCTOのパク・イビン氏。昨年のイベントからの1年間を振り返るとともに、これからLINEが取り組んでいくであろう技術の方向性も語られる。
パク氏のキーノートに引き続いて登壇するのが、Clovaプロジェクトの開発マネージャーである橋本氏だ。橋本氏のキーノートでは、今回のイベントの目玉となるテーマの一つであるClovaに関する発表を行うという。「私たちが考えているAIは、サービスとユーザーの間のコミュニケーションをより豊かにするために活用する技術。例えばユーザーフレンドリーな応答や対応ができるなど、コミュニケーションが楽しいと感じるのを軸に、AIや機械学習の技術の活用に取り組んでいる。今回はClovaや、Clovaを搭載するスマートスピーカーWAVEでどんなことができるようになるのか。そこから展開する未来の技術、世界観についてエンジニア向けたメッセージを伝えたい」(橋本氏)
LINE BOT、GateboxなどLINEに関するホットなトピックが満載
他にも多様なセッションが予定されているという。例えば、昨年同イベントで一般公開した「LINE BOT」だ。昨年の発表では、LINE自体がオープンになっていくことを示せたという。その盛り上がりのまま、LINEでは昨年12月、同技術を活用した応募作品を募り、その最終審査するイベント「LINE BOT AWARDS」を3月に開催した。そこではさまざまなLINE BOTの実用的な使い方が示された。
例えばグランプリを受賞した「&HAND」は身体・精神的に不安や困難を抱えた人と、それを手助けしたい周囲の人々をLINE Beaconでつなぎ、チャットボットを介して具体的な行動をサポートするというサービスだ。
「このイベントを通じて、LINE BOTは次の段階に進んだことがわかった。またBotに求められる機能も広くなっており、開発側も拡充に努めている。そういったさらに踏み込んだ機能とともにAWORDで披露された面白い活用例もセッションで紹介したい」(池邊氏)
LINEが現在開発に取り組んでいるチャットボットの新機能の一例についても、今回のイベントで披露する予定だという。
そのほかにも見所となるセッションが目白押しだ。「Gateboxに関するセッションもある」と池邊氏。「Gatebox」とは、2017年にLINEと資本・業務提携したGatebox社が開発する、好きなキャラクターと一緒に暮らせるバーチャルホームロボットだ。今後、Clovaを活用したバーチャルホームロボットの共同開発が行われる予定だという。
そのほかLINE Login Platform、LINEによるBluetoothを活用した取り組み、LINEのオープンソースへの取り組みに関するセッションも予定されている。
アプリを6年開発・運用してきたLINEだからこそ語れる開発事例も
「LINE DEVELOPER DAYは、LINEに関心がある人はもちろん、エンジニアなら誰でも楽しめるイベント」(池邊氏)というように、セッションは、フロントからバックエンドのさまざまなエンジニアを対象にした、幅広いテーマを用意している。
その代表例が、LINEでの経験談や失敗談が語られるセッションだ。実は昨年のイベントで2時間サービスダウンしたときの立て直しのセッションが大きな反響を呼んだのだそうだ。そういった「これまでは外に向けて明かされなかった話が、このイベントでは聞けるのも醍醐味」と池邊氏は語る。今年はどんな経験・失敗談が語られるのか。
LINEはリリースされてから6年。その間にはスマートフォン関連の開発技術も大きく変わった。例えばiOS向けのアプリの開発ではObjective-CからSwiftに変わったり、AndroidではKotlinが採用されたりしている。
「LINEのように6年に渡り、使われ続けているスマホアプリは少ない。実は技術的負債もたくさん抱えている。長くアプリを開発しているとどういう問題が起こるのか。これはLINEだからこそ話すことができる経験談。リリースして数年経つアプリのメンテナンスを担当している現場のエンジニアにはきっと参考になる情報を提供できると思う」と池邊氏は話す。
また、海外オフィスからのセッションも予定している、と池邊氏。LINEは東京と福岡のほか、韓国、台湾、ベトナムにもオフィスを設け開発を行っている。「ローカルでしか展開していないサービスもある。そういった海外のエンジニアたちがどういうものを開発しているか。それを紹介するセッションも用意している」(池邊氏)。
今回新設される第3のトラックでは、30~50人程度収容の小規模のオープンスペースで、短いものでは1セッション10分程度のセッションを予定している。「午後から終了の18時まで5時間、発表者が入れ替わって続いていく、ライトニングトークのような感じ」と池邊氏。テーマは技術に関するもの以外にも、新入社員の採用試験問題の解説、グローバルな開発体制など、ちょっと気になるものが数多く用意される予定だという。
会場運営もLINEをフル活用、Gateboxの展示も
同イベントの楽しみはセッションだけではない。展示会場ではセッションでも紹介されるWAVEやGateboxのほか、購入ごとに1ドリンクポイントが付与されたり、LINE Payで決裁ができる自動販売機「Tappiness(タピネス)」などの展示を予定。期待が高まる。
もちろんセッションの終了後は懇親会も予定しており、LINEならではの工夫をこらしたメニューも用意している。登壇者のほかにもLINEのエンジニアが多数参加するため、「LINEエンジニアと触れ合いたい人に来てほしい」と池邊氏は話す。
イベントはLINEのオフィシャルアカウントで管理される仕組みとなっており、受付処理はもちろん、タイムテーブル、会場構成、スライド、アンケートなどの情報もオフィシャルアカウントから配信されるという。「LINEを使ってイベント運営をするとこうなるということも体感できる」と池邊氏。LINEを使った新しいイベント運営の仕方を提示されるというわけだ。エンジニア向けイベントの企画担当者にとっても興味深いイベントと言えるだろう。
最後に、池邊氏、橋本氏に、CodeZine読者へのメッセージを伺った。
「LINEは多くのユーザーを抱えるサービスだが、未だに謎の集団が開発していると思われている印象がある。今回のイベントでは日本にも開発者はたくさんおり、その裏側では多くのエンジニアと共通の悩みを抱えて泥臭く仕事をしている。ぜひ、私たちのエンジニアリングに興味を持っている人に来てほしい」(池邊氏)
「私の話のメインはClova。LINEがAIにどういう方向性で取り組んで行くのか。ユーザーやデベロッパー向けにどういうプロダクト、サービスを提供していこうとしているのか。LINEが作り出す世界が多くのユーザーにとってワクワクするものだということを、この場に来て実感してほしい」(橋本氏)
詳細なプログラムはこれから発表される。池邊氏、橋本氏が語るように、LINEがこれから挑戦していく方向性、そしてそこで働くエンジニアの素顔が見られるプログラムとなるはずだ。見逃せないイベント「LINE DEVELOPER DAY 2017」。関心のある人は今すぐ応募しよう。
LINE DEVELOPER DAY 2017
コミュニケーションアプリ「LINE」をはじめ、LINEのさまざまなサービスにおける技術領域でのチャレンジや、社内の開発体制などを紹介する、エンジニア向け技術カンファレンスです。クラウドAIプラットフォーム「Clova」に関連した技術についても発表します。
開催概要
- 開催日時:9月28日(木) 10:00開場、18:35終了予定(イベント終了後、懇親会を開催)
- 場所:渋谷ヒカリエ9F ヒカリエホール
- 参加費:無料
- 応募締切:9月5日(火)
- タイムテーブル・詳細