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PyCon JP 2017開催直前、緊急座談会
~採択倍率4倍を潜り抜けた登壇者たちが、発表の裏側やイベントの楽しみ方を徹底紹介

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2017/08/31 21:20

目次

アウトプットするようになったきっかけ

――皆さんが外部への発表をするようになったきっかけを教えてください。

林田:今までは積極的なアウトプットは、そんなにしていませんでした。前職がそこそこお硬い会社だったので、仕事でやったことは出せないし、登壇とかしようなんて発想がなかったです。転職を機に外に出てみると、外部からいろいろな情報を得ることって大事だなと思いはじめました。

 人に話しかけるのが得意ではないのですが、私の技術領域である並列分散処理、機械学習、DBとかのテーマの勉強会に参加する人は男の人ばかりで、余計に話かけづらかったりして。エンジニア同士の情報交換をしたいと思ったときに、登壇側に立てば向こうから話しかけてもらえるんだと気がつきました(笑)。そういう気づきもあって勇気を出してPyCon JP 2017にプロポーザルを出してみました。

林田千瑛氏:Retty株式会社所属。並列分散処理とか機械学習とかデータベースとかが好き。最近PYNQ-Z1を買ったので届くのを楽しみにしている。PyConは今年初参加で初登壇。
林田千瑛氏:Retty株式会社所属。並列分散処理とか機械学習とかデータベースとかが好き。最近PYNQ-Z1を買ったので届くのを楽しみにしている。PyConは今年初参加で初登壇。

清水川:外部での発表はPyCon JP 2017が初めてですか?

林田:BigData-JAWSで話をしたことはありますが、テーブルを囲んで発表するものだったので、PyCon JPのような規模にいきなり飛んでいったなという感じはあります。外部での発表とは異なりますが、会社のテックブログに「カラムナストレージ」というテーマで記事を書いたところ、結構有名な人から「ガチな技術記事キタ!」みたいなコメントをもらったりして、自分がやっている技術領域を認めてもらえたような気がして嬉しくなって、アウトプットをしていくのは大事だなと思えました。

――発表に至るまでに苦労した点などありますか?

林田:社内勉強会での経験になりますが、発表中にデモをして失敗すると焦るじゃないですか。仮にデモがうまく行かなかったとしても対応できるように、「デモをするときの注意事項一覧」を作っていてそこに書き溜めています。動かなかったときのスクリーンショットを取っておくとか、スクリプトはinitしておくとか、ネットはつながらないものと考える、だとか。当たり前のことだけど、何かしら抜けるじゃないですか。そういうのを書き溜めています。

嶋田:ぜひそのリストを公開していただきたい!(笑)

末田:「ネット繋がらない」はデモあるあるですね(笑)。

清水川:繋がらないものと思っておいたほうが良いですね。「繋がらなくても大丈夫なようにYouTubeに動画をあげていまして、……、あっ!」みたいな(笑)。

武田:ローカルにサーバを置いておけるようになったのは、非常にありがたいですね。

――武田さんの場合はどうでしょうか。

武田:発表することが仕事の一部なのできっかけというものもないですが、PyCon JPへの参加は初めてなので楽しみにしています。今までは日程が合わず参加できませんでした。最近はRを使っている人がRで完結させようとするんですよね。「スクレイピングをRで」とかよくやると思いますよ(笑)。

末田:率直な感想が出ましたね(笑)。

清水川:RをPythonに置き換えて聞いておこうかな(笑)。

武田:そういう感想もあったので、PythonとRの使い分けと共存についてどこかで話したいなとは前から思っていました。ちょうど今年は日程が合うのでPyCon JPに出してみようと。しかし採択率が25%とは思っていなかったので、どんなするどい視線が刺さるのか、と恐ろしいですね。企業の方と交流するというのはできるだけしていきたいなと思っています。

――末田さんはどのようなきっかけでしたか?

末田:プレゼン自体は前から好きでした。学生の頃からLTに出たり、30分クラスの発表も年に一回はやっていました。2014年にPyCon JPの話を耳にして、興味を持って2015年に初めて参加しました。ただ、そのときはLTもせずに終わってしまったので、すごく後悔したことを覚えています。自分もここで一発ネタを披露したいなと思って2016年にLTをやりました。ネタが色物だったのでおかげさまで笑っていただけました。LTに出たから次はトークにレベルアップという感じですね。

 プロポーザルを書いて、POCのコードも完成させて、動いた~という頃に採択通知をいただきました。PyCon JPのブログを読んだら今年の採択倍率が4倍とあって、高専に入るときよりも高い倍率に驚きました。人生で一番競争率の高い争いでした(笑)。

末田卓巳氏:フラー株式会社在籍。フロントエンドから社内ハードまで幅広く開発に従事し、普段はPython 3とはんだごてに興じる。2015年にPyCon JPへ初参加し、同 2016ではLT枠にて発表。
末田卓巳氏:フラー株式会社在籍。フロントエンドから社内ハードまで幅広く開発に従事し、普段はPython 3とはんだごてに興じる。2015年にPyCon JPへ初参加し、同 2016ではLT枠にて発表。

――では次に清水川さんにお伺いします。

清水川:2003年にZope Weekendというイベントがありました。それを知ったのが開催の1週間くらい前だったのですが、自分がやっていたことを発表したいと駆け込みました。それが最初の発表だったと思います。5分程度のLTに参加して、時間いっぱい自己紹介してしまっていました。

 気持ち的には、絶対に発表しなきゃというわけでもなく、ちょうどイベントがあるから人前で話して知ってもらおうかな、くらいの感じで参加したんだと思います。

――そのとき苦労した点は?

清水川:時間配分を知らなかったこと、それに尽きますね。とりあえず頭から思いついたままにしゃべって、終わりが来たら終わるという感じで行ったのでそれは失敗しますよね。

嶋田:今は、発表資料を作るときの時間配分はどういうふうに考えていますか?

清水川:時間配分はプロポーザルを出す段階で考えています。アウトラインとして発表内容を箇条書きで書き出して、それぞれ何分にするか書いていくと時間が足りない。足りないなら自己紹介を削るか、いや、終わりにを削るか、終わりにを削ったらダメだな。等々を考えながらバランスを整えていきます。

 発表資料を作るときも、いったんアウトラインの内容をパワポに全部貼りつけます。そうすると、セクションごとにアウトラインが並んで、各タイトルには割り振った時間が(x分)と書いてあるので、この時間で話せる内容になるように埋めていく。ただ、実際に内容を埋めていくと「ここでデモを入れたほうが良いかな」「この話を入れよう」という風になって、また調整をしての繰り返しですね。45分でやっと話したいことを話せるかなという感じですね。30分だとなかなか難しい。

――講演を依頼されるケースも多い?

清水川:ほぼないですね。去年の「Python入門者の集い」というイベントで発表してほしいとう話をいただきました。そのときは15分の発表でした。今までやってきたことを紹介して、入門者の人たちに自分たちも大丈夫という印象を与えたいというものでした。そのために何を話すかを、先程話したやりかたと同じように構成していきました。

――最後に嶋田さんお願いします。

嶋田:上京したタイミングで勉強会に行くようになりましたね。その場で5分間だけ喋るとか、今日何やりましたとか、そういう機会で少しだけしゃべっていたというのが最初です。

 大きいイベントに参加したのは2015年のPyCon JPが初めてですね。そのときはチュートリアルセッションで登壇させていただきました。セッションは「PyCon JPのサイトをスクレイピングしてみる」というネタで資料を書いていたのですが、いざ会場でPyCon JPのサイトにアクセスしようとしたらDNSの設定に問題があったらしく繋がらなくって、1人でセッションを進めないといけない環境だったので大変でした。結局、PyPIをスクレイピングすることでセッション自体は無事に終えました。冷や汗かきましたよ。

 勉強会やカンファレンス以外だと、ハッカソンにもよく行きます。そういう場でもデモをやることも多かったですね。

末田:ハッカソンは体力使いますよね。

嶋田:そうですね、結構疲れますね。今年4月に開催されたNASA主催のスペースアップスチャレンジにも出ましたが、二日間参加して次の日はぐったりしてました。

アウトプットするようになって変わったこと

――アウトプットするようになって変わったことはありますか?

末田:交友関係は間違いなく変わりました。発表が終わると興味を持って話しかけてくれる人が多いので、アフターでお話できるのは楽しいです。おそらく皆さんも同じ経験をされていると思います。

――発表するためにやることなどはありますか?

清水川:イベントに参加する上で一つ自分に課していることがあります。それは「イベントに参加したら絶対に発表する」ということです。2014年のEuroPythonに参加したのですが、何の発表もせずに帰ってきました。結局知り合いは増えないし、イベントの記憶も残っていないし、非常につまらなかったことを覚えています。その反省として、海外のイベントに行くときは必ず何か発表することを自分に課しています。

 2016年は、6月にPyCon TaiwanとPyCon Singapore、7月にEuroPython、8月にPyCon Korea、PyCon MY、10月にPyCOn JP、11月に日本UNIXユーザ会大阪とSphinxConで発表しました。海外にいって発表することで、交友関係が変わりました。例えば、Facebookの友達の割合は英語圏が半分になりました。ツイッターに流れている言語は韓国1割、英語3割、ロシア語が少し、残りは日本語という感じです。

 国外で交友関係を広げられたというのは非常に大きな経験でしたね。皆さんお話しされたように、発表すると人が勝手に寄ってきて質問が来るし、パーティーであの発表をした人だと認識されるので話がしやすいです。逆に、海外で発表しなかった年は一人ぼっちでぽつんとしていましたね。

 国際会議に参加して気をつけていたのは「発表時と同じTシャツを着る」ということです。私はSphinxのTシャツを着て参加しました。試しに違うTシャツに着替えてパーティーに参加したら誰も話しかけてこなかったですね。特徴的なTシャツを着るのも大事です。

林田:何回もイベントに参加する場合は、発表するテーマはどうしていますか?

清水川:EuroPythonとアジア4カ国のイベントに参加したときは、2つの発表ネタを作って、5つのイベントにばらまいて提出しました。イベントを終えるたびに発表資料をブラッシュアップして次のイベントに持っていくというのも大事ですね。

――今後やってみたいことなどはありますか?

林田:Distributed Tensorflowを使った大規模データを使った機械学習がやりたいです。あと発表という意味だと、国際会議で発表したいですね。

――アウトプットするために挑戦したことは?

嶋田:先日、マストドン会議でLTしてきました。マストドンでEmacsクライアントをスクラッチで作って持っていきました。発表までに時間をかけて作って持っていくというのは大変でしたが、超楽しかったです。

末田:今回のプロポーザルはデバッグの話でしたよね? 準備とか大変そうだなと思いました。

嶋田:そうなんですよね。まだ作ってないんですけど(笑)。


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連載:「PyCon JP 2017」レポート

著者プロフィール

  • 海老原 由夫樹(エビハラ ユウキ)

    リックソフト株式会社所属。普段はツールの導入支援業務を行う中で作業の効率化のためにPythonを使用している。Python の達人になるべく勉強中。

  • 小林 正彦(コバヤシ マサヒコ)

    株式会社アークシステム所属。SEサービスに従事。企業システムの開発から運用ま でITのライフサイクル全般にわたるソリューションを提供している。開発、運用業務効率化のためにPythonを使用している。

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