第二部 PyCon JP 2017について
カンファレンスの楽しみ方
――PyCon JP 2017に参加される方に向けて、カンファレンスをより楽しむためのコツなどがあれば教えてください。
嶋田:PyCon JP 2016に参加したときに実際にやっていたことです。トーク聴講時にはノートパソコンを開きながら、ツイッターでハッシュタグを追いつつ聴いています。するとそれに関連する情報が流れてくるので、それを見ながらターミナルも開いて講演の内容を実際にその場で試すというのは結構やっていました。家に帰ってからやろうとすると内容を忘れてしまうし、何よりモチベーションが結構下がってしまいます。「その場でできることはその場でやる」ことをおすすめします。
林田:どの講演を聞くかでいつも悩んでいます。皆さんはどうやって決めていますか?
嶋田:自分の得意な領域じゃない話だったり、関わりのない話を積極的に聞きに行くことが多いですね。
武田:海外のカンファレンスでは参加者はおしゃべりに来ているようなところがあります。だから、本番の発表をきっかけにして休憩時間とかセッション以外の時間でしゃべりまくるというのが普通ですね。日本のカンファレンスとは雰囲気が違います。
清水川:日本人ももっとそういう行動をしたら良いと思うんですよね。聞ける枠は全部聞きに行かなきゃいけないという勤勉すぎる感じがある。大丈夫ですよ、全部YouTubeで見れますから(笑)。
武田:聞ける分は聞かなきゃもったいない感じがするんですかね。
林田:海外のカンファレンスにも参加したいと思っても、ただ聞きに行くだけだったらビデオも公開されるし行かなくてもいいかとなってしまいます。
清水川:そういう意味では、カンファレンスに参加したらぜひ質問をして欲しいです。トークは動画として記録されるのでいつでも見れます。会場に行くと、スピーカーとインタラクションをとれるのが良いところだと思います。その話に興味があって参加していると思うので、つまらないと思うことでもぜひ質問してみてください。
林田:発表する側からしても質問が来ないと寂しいですよね(笑)。
清水川:「発表が終わりました質問ありませんか?」で、しーんとなってしまうのは寂しい。終わってから個別に質問にくることも多いですが、それなら先に聞いてほしいなと思います(笑)。

プロポーザルについて
――みなさんのプロポーザルの「一押しポイント」「誰に聞いてほしいか」「こういう風に聞くと楽しいよ」という点を教えてください。
武田:データサイエンスの分野ではPythonとRは2大言語的な存在ですが、お互いのコミュニティが仲良く共存していけると良いなと思っています。両方を引っ張ってきたPandas開発者のWes McKinneyと、R開発者のHadley Wickhamが組んでFeatherというライブラリを書いたんですね。トップを走っている開発者同士が組んでいるぐらいですし、データ分析に両方の得意なところを活かしていきたいです。そういうところに興味がある方に聞いていただきたいですね。
末田:Pythonには型情報を関数の引数や返り値、クラスのアトリビュートに付けられる型ヒント (Type hints)がありますが、それもソースコードを書いたり読んだりするための道具としての使用例があるだけで、それ以外にも便利に使えないかな、と考えました。そんなときにGoのJSON Marshal/Unmarshal処理の動きの美しさに感動して、似た概念をPythonに導入したら便利ではないかと思ったんです。Goを使わない人でも、型ヒントを便利に使いたいとか、実行時に型ヒントを読む方法を知りたいとか、どうやってtyping.pyの中身を扱っていくかとかに興味がある人に聞いてほしいです。
嶋田:他の言語を触るときに私はまずデバッガの使い方を調べるんですね。それを知っておくと、プログラムを書いていくのが楽になるからです。Pythonにも当然デバッガはありますしドキュメントもしっかりしたものがありますが、人それぞれ違う環境でPythonを動かすことになるので、自分が躓いたところなど、いろいろなデバッグ手法を紹介できたらなと思います。最近Pythonをはじめたところでまだデバッグをよく分かっていない人に聞いてほしいです。
林田:PythonでETL処理や機械学習をやる人は多いと思います。大規模サービスにおける大量のログのETL処理を行ったり、サービスに組み込むような機械学習を行うことを考えたときは、1台のサーバで普通のPythonの書き方をするのでは処理しきれないということが起こります。そこで分散処理を行う必要がでてきますが、初めての人にはハードルが高く感じるのではないでしょうか。今回のPySparkに関する発表では、そうした分散処理に対するハードルを下げ、楽しくアーキテクチャを学んでいただける場にできるとよいな、と思っています。
清水川:オブジェクトがlenという関数で長さを返す仕組みについて話します。聞いてほしいのは「Pythonは入門したが、これから先どうしよう、なんだかしっくりこない部分があるなあ。なんでlenというのは関数なんだろう」と思っている人にはぜひ聞いてほしいです。Pythonにはプロトコルというものがあって、そのプロトコルを満たすと、さまざまなことがうまく動くように実装されています。それを知れば、Pythonは何でそうなっているのか、オブジェクト指向の分野でいうあの言葉が実はPythonの裏でプロトコルとして実装されているんだ、ということが分かってきます。そうしたらあとは楽しくなります。入門者という枠にある情報の一歩先に進むためのアドバイスというか、中級者になるための次の一歩目をどう踏み出していけば良いのか、情報とどう向き合っていくかという部分で、参加者に橋渡しをするのが発表の狙いです。
参加者として楽しみにしていること
――参加者としてPyCon JP 2017に楽しみにしていることはありますか。
林田:自分はPythonという言語を専門でずっと書いていたというわけではないので、まだまだPythonのお作法に疎いところがあるように思います。フレームワークの使い方などはドキュメントを参照すれば使えるので1人でも満足できるところがある。Pythonという言語の思想とか目指すところのようなことを知りたいですね。
武田:Pythonを使う人がたくさん集まるところに行くこと自体がはじめてなのでとにかく交流したいです。どんな人がいて、どんな話をするのか興味があります。PyCon JPってどんな感じなのか、どんなコメントを頂けるのかすごく楽しみです。私の印象ではPythonを中心に使っている人って「言語にこだわりがあるというよりも、目の前のタスクをこなすのが大事だと思っている人」というイメージです。なのでちょうど私の話すトピックと同じような意識を持っている人とお話できたらなと思っています。
嶋田:PyCon JP 2016では、自由に交流できるスペースがありました。そういう場所でアンカンファレンスな雰囲気で交流できたらいいなと思っています。
末田:島田さんと同じで、発表とは違う場所で偶発的に生まれるコンテンツを期待しています。濃い話がしたいですね。
清水川:PyCon JPを2011年に立ち上げてからずっとスタッフ側で参加していたので発表を聞く機会がほとんどありませんでした。今回は、自分の得意分野から離れたところを聞きに行ってみたいなとは思っています。仕事で関連する話や、データサイエンス系の話、スクレイピングに関する話もありますが、そういったことをいったん忘れて別のところに行ってみようかなと思っています。
――スピーカーの皆様のお話を聞けて当日の講演がより楽しみになりました。本日はお忙しい中ありがとうございました。
PyCon JP 2017の概要
PyCon JPは、Pythonユーザが集まり、PythonやPythonを使ったソフトウェアについて情報交換、交流をするためのカンファレンスです。PyCon JPの開催を通じて、Pythonの使い手が一堂に集まり、Pythonにまつわるさまざまな分野の知識や情報を交換し、新たな友達やコミュニティとのつながり、仕事やビジネスチャンスを増やせる場所とすることが目標です。
PyCon JP 2017では「Output & Follow」をテーマに据えました。Pythonをキーワードに多様な人たちが、いろいろ楽しめて、新しい可能性が生まれるカンファレンスを目指して、スタッフ全員で企画を進めています。
開催概要
- 開催日時:2017年9月8日(金)、9日(土)
- 場所:早稲田大学西早稲田キャンパス
- 公式ページ:https://pycon.jp/2017/ja/
