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開発者もインフラエンジニアも楽になる! LINEの大規模インフラにおけるアーキテクチャ改善の取り組み【LINE DEVELOPER DAY 2018】

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2018/12/28 11:00

目次

開発者とインフラ運用者にとってよりよい課題解決を目指す

 スピーカーの三枝氏に、開発者目線で気になるインフラの特徴や取り組みについて、追加インタビューを実施した。

――セッションでは、大きなアーキテクチャの刷新において「まわりにいかに共感してもらうかが重要だ」というお話がありました。具体的にはどのような取り組みを行ったのでしょうか?

三枝 一番力を入れたのは、解決が必要な課題に対する認識をあわせるということです。この認識がメンバーの間で共有されていない状況では、アーキテクチャーの刷新をいくら提唱してもなかなか受け入れてもらえません。インフラが抱えている問題点をきちんと分析をして、それを客観的に示すことで、「これらインフラに関する問題点は解決な必要な課題である」という共感が生まれます。

 ただし、アーキテクチャーのレベルで課題の解決を試みるというのは簡単なことではありませんので、一度得られた共感がプロジェクトの途中でしぼんでしまうこともあります。要所要所で課題解決に対する重要性を訴えかけるということを意識して、共感が続くような取り組みを行っていました。

――プライベートクラウド「Verda」の概要を教えてください。また、Verdaの登場で、開発者のインフラへの意識はどのように変わりましたか?

三枝 VerdaはLINEのインフラをサービス化するためのプラットフォームとして作られました。サーバーやストレージ、DNS、ロードバランサーといった基本的なIaaSコンポーネントから、MySQLやRedisなどのマネージドサービス、そしてHerokuのようなPaaSサービスまで幅広く提供をしています。

 Verdaを提供する前までは、オンプレミスに対するネガティブな印象もありました。今では、Verdaを実際に使ってもらうことにより、オンプレミスの良さを実感してもらっています。

 Verdaでは、オンプレミスの良さであるコスト面まで含めたITインフラの統制が可能なこと、WebUI/APIのインターフェースでインフラをサービスとして提供できることなどにより、Verdaはオンデマンドかつシステム間連携が可能な柔軟なインフラとして認識されています。 ​

――セッションではKubernetesを使った新しい取り組みの紹介がありました。これらのリリース後にはLINEのなかでどのように活用していきたいですか?

三枝 セッションの中でもメインのテーマとして触れましたが、Kubernetesを活用した新しい取り組みも、開発者インフラ運用者双方の負担を減らすという方向性の取り組みという点では変わりありません。

 既にアプリケーションをKubernetes上にデプロイするということが当たり前のようになってきていますので、まずは安定したKubernetesクラスタを提供するということと、そのクラスタ管理の自動化に焦点をあてた取り組みを続けています。その次にはKubernetesクラスタをLINEのサービスのさまざまなワークロードに対応できるような機能拡張をいくつか計画しています。

 そして同時にKuberentesを活用したプラットフォームとして、オペレーションを自動化する汎用プラットフォームとしてのEvent Handlerプロジェクトにも力を入れています。イベントをトリガーとするオペレーションはアプリケーションの開発者、そしてインフラの運用者に共通したものになりますので、これが実現できれば非常に汎用性の高いプラットフォームになると考えています。 ​

――三枝さんの今後チャレンジしていきたい課題について教えてください。

三枝 今後のインフラプラットフォームの課題解決の方向性としては現在と変わりありませんが、より開発者とインフラ運用者の深い領域まで踏み込んだ課題解決を目指そうと考えています。

 LINEでもアプリケーションのマイクロサービス化が速いスピードで進んでいますので、それを可能にするCI/CDツールとインフラプラットフォームとの連携は、今後避けては通れない道です。アプリケーション開発者との密接な連携によって、Verdaに最適なCI/CDパイプラインを一緒に作っていきたいです。

 そして、Kubernetesの取り組みを加速させてインフラをより一層抽象化することでインフラの利用効率と運用性の向上を実現したいと考えています。具体的にはKubernetesをLINEのサービスの中で普及させることによって、それまではワークロードの特性によって必要なハードウェアを用意していたところを、​より汎用的なハードウェアで統一をして、プロビジョニングとオペレーションに関わるコストを劇的に下げる取り組みをしたいと思っています。

――大幅なアーキテクチャの刷新から、新しいチャレンジに至るまで、開発者、インフラ運用者双方とってよりよいインフラを提供するための知見を数多くシェアいただきました。ありがとうございました。



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著者プロフィール

  • 中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

     大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

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