画像変換クラウドサービス「ImageFlux」とは
「ImageFlux」は画像の拡大縮小、切り抜き、合成などによりデバイスに最適化された画像を簡単に生成し、高速かつ高品質で配信するクラウドサービスである。
「画像を指定する際のURLにパラメータを付与するだけで、簡単に拡大縮小、合成、フォーマット変換などの画像処理を行い、配信することができるようになります」
こう説明するのは、画像処理の仕組みとなるソフトウェアを開発しているピクシブ株式会社 ImageFlux事業部 部長の道井俊介氏である。実は、ImageFluxは会員制イラストコミュニケーションサービス「pixiv(ピクシブ)」で実際に活用している画像処理のエンジンをサービス化したもので、同社での実績はもちろん、すでにメルカリやBASEなどの大手ECサービスでも活用されている。
なぜ、サービス化するに至ったのか。例えばECサイトの場合、1つの商品に対してサムネイルや商品説明など、デザインに合わせて複数の画像が必要になる。従来はそれらを事前に生成してストレージに保存していた。しかしこの方法だと、デザインそのものを変えたいときには、オリジナルの画像から商品画像のサムネイルを生成しなおす必要があり、また、新しくサービスページやランディングページを作りたいときはデザインに合わせた画像をその都度用意しなければならなかった。
画像を変換する際にはOSSのImageMagickやGD Graphics Libraryなどの画像処理ライブラリの活用などの方法もあるが、画像変換処理の実装に時間がかかるだけでなく、ライブラリのアップデートなど運用の手間が増えるというデメリットもあった。そのため「サムネイル画像の生成は行わず、HTML側で画像を縮小させることで対応していたケースもあった」と道井氏は語る。
ImageFluxを採用すれば、大きな開発コストがかかっていた画像処理を簡素化し、本来最も重要なサービス開発に注力できるようになる。「これがImageFluxをリリースした目的です」と道井氏は力を込める。
だが、ピクシブのサービスとしてリリースするには、「弱点があった」と道井氏は明かす。ピクシブが展開しているサービスはtoC向け。一方、ImageFluxはtoB向けのサービスである。
「当社では他社向けにサーバー運用をしたことがありません。その弱点を補ってくれたのがさくらインターネットです」と道井氏は語る。
「この話はうれしい申し出だった」と続けたのはImageFluxの運用を担当しているさくらインターネット株式会社 技術本部ミドルウェアグループの礒川宗久氏。同社ではすでに、コンテンツを高速・安価に安定配信するサービス「ウェブアクセラレータ」を構築していたからだ。「この環境を利用すれば、すぐにサービスとしてリリースできると考えました」と礒川氏は語る。