RPAとNutanixの連携によるインフラ管理の自動化
では一体どうすれば、ルーチンワークの負担を減らすことができるのか。そのための方法のひとつとして、宇野氏は「ルーチンワークをロボットに代行させる」方法を提唱する。
例えば、開発環境やテスト環境のためのインフラを準備する際、フロントエンジニアはインフラエンジニアに対して「いつもの構成で」と一言でインフラ構築を気軽に依頼する。一方、それを受けたインフラエンジニアは裏でWebサーバーを立ち上げたり、ファイアウォールやロードバランサーを設定したり、データベースを用意したりと、実に多くの作業を強いられている。
インフラエンジニアが人知れず苦労しているこうしたインフラ構築・設定作業を、RPAとNutanixを組み合わせることで自動化できるという。まず、フロントエンジニアからインフラ部門に対する依頼を受け付けるための、サービスカタログのサイトを用意する。このサイト上でインフラ構築の依頼を受け付けると、裏でRPAのロボットがNutanixの管理ツール「Nutanix Prism」にログインし、画面を自動操作して構築依頼のあったサーバー・ストレージリソースを生成して払い出す。
こうした自動化の仕組みを実現することで、これまでインフラ構築のために行ってきたルーチンワークからエンジニアを解放し、貴重な人的リソースをより戦略的で価値の高い仕事に割り振れるようになる。ちなみに、製品そのものに実装されているオンプレミスのサーバー・ストレージリソースだけでなく、パブリッククラウドのリソースもNutanix Prismから制御できるようになっている。
「オンプレミスのリソース管理と同じように、AWS(Amazon Web Services)やMicrosoft Azure、GCP(Google Cloud Platform)といったパブリッククラウドのリソースもNutanixから管理できる。これを実現しているのが、裏で動いている『Nutanix Calm』というツールで、オンプレミスとパブリッククラウドが混在するハイブリッド環境におけるデプロイの手順やモジュール間の依存関係を定義できるほか、起動や停止、スケールイン・アウト、削除などのタスクを自動化する」(島崎氏)
本セッションでは、実際にNutanix Calmを使って、Nutanixのオンプレミス環境上でMySQLのデータベース環境を自動的に生成すると同時に、AWS上でもWebサーバー環境を自動的に生成してハイブリッドのWebアプリ環境を自動構築する様子がデモンストレーションされた。
こうしたユースケースのほかにも、Webからの情報収集(クローリング)や定期的なレポーティング、パッチ適用作業、セキュリティチェックといったさまざまなルーチンワークに、同様の仕組みを適用可能だという。
「RPAのロボットは、Nutanix上のリソース管理を自動化できるほか、Office 365やSlackといったビジネスアプリケーションの操作も自動化できる。またNutanixをAWSやMicrosoft Azureと連携させることで、パブリッククラウドを使った作業の自動化も可能だ。加えて、近年注目を集めるKubernetesとも連携でき、業務アプリケーションやプライベートクラウド、パブリッククラウドを組み合わせた機能的な環境をRPAのロボットからまとめて自動操作できるようになる」(宇野氏)
なおNutanixは、RPAから自動操作する以外にも、APIを通じてプログラムから自動処理することも可能だ。多くの機能がREST APIとして公開されているほか、パブリッククラウドのPaaSに相当する機能も備えている。例えば「Nutanix Era」という機能はAWSのAmazon RDSに相当するもので、データベースのプロビジョニングや各種管理タスクをサービスとして提供する。また「Nutanix Buckets」はAmazon S3に相当し、REST APIでアクセス可能なオブジェクトストレージを提供する。さらに「Nutanix Karbon」という機能では、Amazon EKSライクなKubernetesのマネージドサービスを提供する。
「Nutanixは、インフラエンジニアだけでなくデベロッパーとも相性がいいインフラ管理の仕組みを提供する。これらの機能を通じて、日本のエンジニアが『新しいこと』に取り組むための時間を創出するお手伝いをしていきたい」(島崎氏)
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