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基礎からはじめるReact Native入門

リリース用のアプリファイルを用意しよう

基礎からはじめるReact Native入門 第13回

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Expoでリリースビルドを行う流れ

 Expo CLIを使うと、手元のマシンにAndroid SDKやiOS SDKをセットアップしていなくても、リリースビルドを実施できます。これは、Expoのクラウドサービス(expo.io)が、リリースビルドのためのサーバーを提供することで実現されています(図1)。

図1: リリースビルドはクラウドサービスが行う
図1: リリースビルドはクラウドサービスが行う

 Expo CLIでリリースビルドのコマンドを実行すると、設定ファイルであるapp.jsonや、JavaScriptファイル、画像リソースや音声リソースなど、開発者側で設定できるものをすべてクラウドサービスにアップロードします。しばらく待つと、ダウンロードリンクが発行され、apkファイルやipaファイルなどのアプリファイルがダウンロードできるようになります。

 ビルドの制御についてはクラウドサービス側にお任せになってしまうので、あまり細かい設定はできません。唯一細かい制御ができるのは、app.jsonです。app.config.jsという名前でJavaScriptに設定を記述することもできるようになりましたが、設定できる項目については同じです。

 設定できる項目の全体像は、公式ドキュメントの次のページにまとめられています。

 特に、リリースビルドと関係が強いのは、次の4つです。

  • アプリ名
  • アプリID
  • アプリバージョン
  • アプリアイコン
  • スプラッシュ画面

 本記事では、この5つを設定して、リリースビルドを実行することを目標とします。

アプリ名を設定する

 まずは簡単なところで、アプリ名を「サンプルアプリ」に設定してみます(リスト1)。

[リスト1]app.json
{
  "expo": {
    "name": "サンプルアプリ", // (1)
    // (略)
  }
}

 (1)のように、app.jsonexpo.nameの階層に文字列を記述すると、これがアプリ名になります。

アプリIDを設定する

 次に、アプリIDを設定します。アプリIDは、同名のアプリが複数あった場合にもストア内でアプリを識別するためのものです。

 慣例として、「開発者が所有しているドメインの逆順+アプリ名」で命名します。例えば、筆者はnkzn.infoというドメインを持っていますが、タイマーアプリを作った場合はinfo.nkzn.timerというアプリIDをつけることになるでしょう。

 ドメインを持っていない場合は、サブドメインに自分の名前が入るタイプのWebサービスからドメイン名を借りてくるという荒技で乗り切る場合もあります。例えば、github.comnkznというユーザーを持っている場合、タイマーアプリのIDはcom.github.nkzn.timerという名前をつけることになるでしょう。他の人とかぶらないことが大事なので、工夫しながらIDを命名してみてください。

 さて、アプリIDをapp.jsonに記載する場合は、リスト2のようにします。

[リスト2]app.json
{
  "expo": {
    // (略)
    "ios": {
      "bundleIdentifier": "info.nkzn.my-awesome-timer", // (1)
      // (略)
    },
    "android": {
      "package": "info.nkzn.my_awesome_timer", // (2)
      // (略)
    },
    // (略)
  }
}

 iOS向けのアプリIDは(1)のとおりexpo.ios.bundleIdentifierの階層に記載します。また、Android向けのアプリIDは(2)のとおりexpo.android.packageの階層に記載します。

 アプリIDの命名は、大枠ではAndroidとiOSで同じ方針で決めて構いません。ただ、ハイフン(-)やアンダースコア(_)を使う場合は注意してください。AndroidのアプリID(package)では、アンダースコアは使えてハイフンが使えません。逆に、iOSのアプリID(bundleIdentifier)では、ハイフンは使えてアンダースコアは使えません。ドメイン名にハイフンが入っている場合には注意するとよいでしょう。

アプリのバージョンを設定する

 app.jsonにはアプリのバージョンを記載することもできます。アプリのバージョンには、ストアに表記するためのバージョンと、ストアの内部で機械的に管理する際に使われるバージョンの2種類があります。app.jsonに記載する箇所はリスト3のとおりです。

[リスト3]app.json
{
  "expo": {
    // (略)
    "version": "1.3.0", // (1)
    // (略)
    "ios": {
      // (略)
      "buildNumber": "1030023", // (2)
      // (略)
    },
    "android": {
      // (略)
      "versionCode": 1030023, // (3)
      // (略)
    },
    // (略)
  }
}

 (1)のexpo.versionの階層に記載するのが、世間一般で「アプリのバージョン」と呼ばれているものです。特に書式の制限はなく、文字列ならばなんでも構いません。

 気をつけなければいけないのは、Play ConsoleやApp Store Connectが管理のために利用する、「内部バージョン」とでも呼ぶべきものです。iOSでは(2)のとおりexpo.ios.buildNumberの階層に文字列で記載し、Androidでは(3)のとおりexpo.android.versionCodeの階層に数値で記載します。buildNumberは文字列ですが、使っていいのは数値もしくはドット(.)だけなので、事実上AndroidもiOSも数値を記載することになります。この数値はPlay ConsoleやApp Store Connectにアプリファイルをアップロードするたびに、大きい数値にしなければいけません。内部バージョンは「必ず増える数値」として管理されていることに注意してください。

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この記事の著者

WINGSプロジェクト 中川幸哉(ナカガワユキヤ)

WINGSプロジェクトについて>有限会社 WINGSプロジェクトが運営する、テクニカル執筆コミュニティ(代表 山田祥寛)。主にWeb開発分野の書籍/記事執筆、翻訳、講演等を幅広く手がける。2018年11月時点での登録メンバは55名で、現在も執筆メンバを募集中。興味のある方は、どしどし応募頂きたい。著書記事多数。 RSS X: @WingsPro_info(公式)、@WingsPro_info/wings(メンバーリスト) Facebook

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

山田 祥寛(ヤマダ ヨシヒロ)

静岡県榛原町生まれ。一橋大学経済学部卒業後、NECにてシステム企画業務に携わるが、2003年4月に念願かなってフリーライターに転身。Microsoft MVP for Visual Studio and Development Technologies。執筆コミュニティ「WINGSプロジェクト」代表。主な著書に「独習シリーズ(Java・C#・Python・PHP・Ruby・JSP&サーブレットなど)」「速習シリーズ(ASP.NET Core・Vue.js・React・TypeScript・ECMAScript、Laravelなど)」「改訂3版JavaScript本格入門」「これからはじめるReact実践入門」「はじめてのAndroidアプリ開発 Kotlin編 」他、著書多数

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

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