AI搭載クラウド管理型Wi-Fi「Juniper Mist」の特徴と利点
セッション後半からは林氏が「Juniper Mist」の製品解説をしていく。「Juniper Mist」の特徴は大きく2つある。1つはAIを活用したネットワーク監視・運用、もう1つはAPIを活用したプログラマビリティだ。
「『Juniper Mist』のアーキテクチャでは、AI機能がすべてのネットワーク構成要素に組みこまれています。各ユーザーの通信環境が可視化できたり、AIがネットワーク全体を隅々まで監視・自動最適化してくれたりと、人力ベースのインフラ運用では到底実現できなかったことが現実のものになります。私たちはこの概念を、AIドリブンエンタープライズと呼んでいます。
また、『Juniper Mist』はクラウドベースのソリューションであり、クラウド上に蓄積されたデータはすべてAPIで取得可能です。これにより、ユーザーはデータを他のアプリケーションや監視システムなどと連動させることができます。非常に柔軟性の高い、クリエイティブな発想を実現するためのプラットフォームです」(林氏)
「Juniper Mist」は機械学習やディープラーニングなどの各種学習モデルを、適性に合わせた形で導入している。例えば電波の自動調整機能には、通信している瞬間のデータだけではなく過去の統計データやこれまでの調整履歴と効果の有無などを入力データとして用いた強化学習モデルが活用されているという。
また、スループットやローミング、電波のカバレッジなどの状態をリアルタイムで監視してベースラインを自動作成し、その数値をもとに異常検知を行う機能には機械学習モデルが使用されている。つまり「Juniper Mist」は機能の一部にAIの要素をトッピングしただけの製品ではなく、設計の根幹からAIをベースとしたつくりになっているのだ。
また、「Juniper Mist」はマイクロサービスアーキテクチャを用いて、パブリッククラウド上にWi-Fiコントローラや各種アプリケーションを構築している。これによりアジャイルな開発環境だけではなく、障害の波及範囲の最小化やスケーラビリティの確保、システムの回復性向上などを実現している。
「このような話を聞くと『利用するのが難しそう』と感じる方もいらっしゃるかもしれません。ですが、こうした裏側にある学習モデルやクラウド構造などの仕組みについて、ユーザーのみなさまは詳しく知る必要はありません。『Juniper Mist』に組みこまれている仮想ネットワークアシスタント『Marvis』が、データ解析結果や障害の発生状況などをユーザーに対してわかりやすく提示してくれます」(林氏)
「Marvis」のユーザーインターフェースは進化を続けている。既存機能では、管理画面から検索を行うことで、条件に応じたデータを抽出しグラフとして表示できた。現在はそれに加えて、チャットボット形式で「Marvis」を利用できる対話型インターフェースも搭載されたという。
林氏は「Juniper Mist」のもう1つの特徴であるオープンAPIについても解説していく。「Juniper Mist」は設計段階から「ありとあらゆるデータをAPIで入出力できること」を前提として構築されている。これにより、他社の類似製品とは比較にならないほど多種多様なデータを、クラウド経由で他のシステムと連携可能になっているのだ。
「Juniper Mist」のオープンAPIを用いてどのような機能を実現できるのか。林氏は以下のような事例を解説していった。
- Slackとの連携でスタッフの居場所検知Botを作成
- インドア位置情報システムと連携したスマホアプリ
- 位置情報を応用したコロナ対策ソリューション
「『Juniper Mist』は数多くの創造的な機能があり、イノベーションが生まれる場としての性質を有したプロダクトです。ぜひ優秀なDXプラットフォームとしてご活用いただければと思います」(林氏)