DXにおける段階的設計
アジャイル開発は、日本においてもキャズムを超えました。私自身のキャリアとしては「突破の時代」~「普及の時代」しか経験しておらず、こういった変遷の話は非常に興味深いものでした。
そして、キャズムを突破したこの状況下でDXの波が押し寄せ、さらにコロナ禍が巻き起こり、急速に「探検の時代」に突入しています。その探検の時代には「アジャイル開発で現場を変えよう」という高いモチベーションで向き合っていた人たちとはまた違ったモチベーションでアジャイル開発と向き合う人々が出現します。
そもそもDXとは何なのか
DXというものは、単なるデジタル化のみをさすものではありません。新しいプロダクトやサービス、ビジネスモデルの構築、その結果としての顧客体験の変革こそがDXなのです。
DXでもジャーニーを
目指すところは顧客体験の変革ですが、「傾き」の問題からもわかるように、そこまで急峻にものごとは変化しません。初めの一歩は足元から進めていくことになります。タスク管理をメールでやる、そんな環境もあります。まずはそういったところを改善していくことで「物をつくる力」「変化する力」につなげていく。その連鎖が、いつか変革へとつながっていきます。
変革は線形には進まない
初めての仮説検証ではうまくいかないかもしれません。2回目、3回目にうまくいく保証もありません。それでも人に、チームにスキルは身についていき、学習は進みます。各段階での検証結果から挑戦を繰り返すことが大切だと市谷さん。
ともに考え、ともにつくる
固定的な役割中心の最適化思考から、仮説検証による学びを中心とした共創関係への変革。分断と変化格差と向き合いながら「ともに考え、ともにつくり」続けるにはどうしたらよいのでしょうか。
お互いの関係性に意味をみつける「われわれはなぜここにいるのか」。インセプションデッキの最初の質問であるこの問いかけは、一度回答したら終わりというものではありません。私たちは自分自身のミッションと役割を問い直し続ける必要があります。この問い直す、という営為は、従来の考え方、「緻密に計画しそのとおりにつくりあげる」という考え方との大きな違いです。
カイゼン・ジャーニーの中で問われる「あなたは何をする人なのですか」という問いかけ。
いつもいつもこの問いに答えきれるわけではなく、「うっ」となってしまうことがあります。市谷さん自身でもそうだ、というのは驚きだったし、市谷さんでそうなら自分がそうなるのは仕方ないよな、と少しホッとしました。
だからこそチームがある。他者の存在により自分が何を成すべきか理解することができるというのは、私たちがこのコロナ禍においても「チーム」という形で働き続ける理由の一つなのかもしれません。