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プロダクト開発の先進事例に学ぶ、キーパーソンインタビュー

メルペイのUXリサーチャーに聞く、よりよいプロダクト作りのためのUXリサーチとは


「定額払い」ではコンセプト決めからUXリサーチを実施

 具体的にメルペイではどんなプロセスでUXリサーチが行われているのか。メルペイが2020年7月7日にリリースした「メルペイスマート払い(過去の利用実績などを元に商品購入代金を後からまとめて支払えるサービス)」の「定額払い」は、草野氏たちUXリサーチャーが深く関わったサービスである。

 定額払いは、購入代金の清算を月々に分割して支払えるというサービス。これだけ聞くと既存のリボルビング払いや分割払いとどこが違うのかと思うかもしれないが、ユーザーにとってよりよい体験ができるように工夫して設計されている。そこに、UXリサーチを活用したことの効果が表れているようだ。

 ではどのようなUXリサーチを行ったのか。まずはコンセプトができる初期段階で、「既存のリボルビング払いや分割払いの経験者にインタビューなどの手法で調査しました」と草野氏。すると「使いたくない」という体験をした人だけではなく、中には「うまく使って、チャンスをつかんだ」人もいたという。その調査結果を基に、どんなお客さま像があり得るのか、どんなコンセプトで進めるのかなどの問いを立て、プロダクトマネージャーやデザイナーなど、ステークホルダーと共に議論をして、コンセプトの策定を行っていく。次にコンセプトが決まるとどんな機能を提供するか、アイデアが出てくる。その出てきたアイデアについてリサーチを実施。「この段階で、どのような機能を優先して実装すべきかを考察します」と草野氏は説明する。

 そして、デザイナーとプロダクトマネージャーが密に議論してできたUIの案が出てきたら、それに対してユーザビリティテストを繰り返し実施。出てきた課題を洗い出し、UIの改善をサポート。リリースに向けて、機能実装する際にも、過去リサーチ結果を活用して意思決定をサポートするという。もちろんリリース後もプロダクト調査を行う。

 「想定通りのお客さまに使っていただいているのか、体験の実現の度合いを定量・定性的リサーチを通して現状を理解しつつ、さらなる洗練に向け、課題の洗い出しを行います」(草野氏)

 このようにUXリサーチャーは、プロダクト作りのあらゆる場面で、その場面にふさわしいリサーチ手法を用いて、支援していくのである。

既存サービスの改善にも貢献する

 このようにしてUXリサーチを存分に活用して生まれた「定額払い」は、これまでのリボルビング払いとは異なり、支払いの透明性を高めたサービスとなっている。定額払いに切り替える前に、支払いのシミュレーションができるようになっていたり、もっと早く払い終えたければ、アプリ内でかんたんに月々の清算金額を変えることもできる。

 「透明性をあげることで、お客さま自身が、何の目的のために手数料を含めていくら支払うのか、納得したうえで意思決定がしやすくなると考えている」と草野氏は説明した。

 また既存サービスをUXリサーチにより改善した例として草野氏が挙げたのが、メルペイスマート払いの利用上限金額設定機能である。

 「お客さまに調査をしたところ、『与えられた与信枠だと使いすぎてしまいそう』という不安を抱えていました。そこでお客さま自身が利用上限金額を設定できる機能を提供することにしました。またそれに合わせて、プロダクトマネージャーとデザイナーが、設定した利用上限金額から使うほどゲージが減っていくデザインを生み出してくれました。お客さまからは、月に決めた予算のうち今どのくらい使っているのかを一目で把握できるようになり、より安心して使えるといった声をいただいています」(草野氏)

ゲージが減っていくデザイン
利用上限金額から使うほどゲージが減っていくデザインが実現

 メルペイのプロダクト開発の中では、UXリサーチを活用することが当たり前になってきている。とはいえ、メルペイにはUXリサーチャーが2人しかいないため、すべてのプロダクトに深く関わりたいが、難しい状況だ。「OKRの優先度とリサーチとしてのインパクトを鑑み、各プロジェクトの関わり方を決めている」と草野氏は明かす。

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PMとUXリサーチャーの役割、人材不足は仕組みで解決していく

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この記事の著者

中村 仁美(ナカムラ ヒトミ)

 大阪府出身。教育大学卒。大学時代は臨床心理学を専攻。大手化学メーカー、日経BP社、ITに特化したコンテンツサービス&プロモーション会社を経て、2002年、フリーランス編集&ライターとして独立。現在はIT、キャリアというテーマを中心に活動中。IT記者会所属。趣味は読書、ドライブ、城探訪(日本の城)。...

※プロフィールは、執筆時点、または直近の記事の寄稿時点での内容です

岡田 果子(編集部)(オカダ カコ)

2017年7月よりCodeZine編集部所属。慶応義塾大学文学部英米文学専攻卒。前職は書籍編集で、趣味・実用書を中心にスポーツや医療関連の書籍を多く担当した。JavaScript勉強中。

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