アウトラインエディタを利用する
見出し機能の次に利用してほしい機能が「アウトライン表示」です。アウトラインとは編集しているドキュメント構造をツリー形式で表示する機能です。
この表示形式は、図8の[表示]メニュー(1)の[アウトライン](2)を選択することで変更が可能です。そして、本文が(3)のようにツリー構造で表示されます。
アウトラインメニューでドキュメントの構造の変更が可能です。例えば「見出し2」を「見出し1」にしたり、または、その反対の作業をするには、図9のように[アウトライン]メニュー(1)を選択し、(2)のところで変更が可能です。
仕様書やマニュアルのようなドキュメントを記述する場合には、まず見出しから記述していき、それらの詳細はアウトラインが決まってから書くケースがよくあります。
そのような場合に利用してほしいのが「アウトライン」表示です。この表示モードにすることで、見出しの順番を簡単に変更できます。また、このモードの表示内容がわかると、自ずとワードがどのような構造で文章を管理しているのかも見えてくるはずです。
もっとも、アウトライン表示は、構造の把握、見出しの編集などには向いていますが、本文の表示には不向きです。本文中の図や文字などの装飾が表示されないためです。
従って、本文を記述する際には「印刷レイアウト」にしますが、その場合でも、見出し構造(アウトライン構造)を表示したい方もいるはずです。その場合には、図10のように[表示]メニューでの[ナビゲーションウィンドウ]にチェックを入れると、アウトライン構造を表示できるようになります。
筆者は見出しレベルでの草案を記述する際には「アウトライン」表示を利用し、実際に内容を記載するときには「印刷レイアウト」を利用しています。ただし、内容の順番を変更するときには、また「アウトライン」表示を利用するなど、用途に応じて表示方法を変更しています。
図の挿入
図の挿入自体は直感的にできるので、特に説明はいらないと思います。しかし、図とテキストの位置を調整する場合には注意が必要です。
図の位置やテキスト位置を変更するには、図をダブルクリックすると、図11のような画面が表示され、図のレイアウトオプションを表示すると、文字列の折り返しが指定可能です。
ただし、もっとも直感的に位置を制御しやすいのが赤枠ではありますが、このレイアウトはあまりお勧めしません。
なぜなら、図12のように、このレイアウト方法を選択する(1)と、画像の配置可能が自由である一方、(2)が示す画像のドキュメント構造上の位置を画像の位置とは直接関係なく把握しなければなりませんし、テキストの位置を調整するために、(3)のように無用な改行などを入れなければならなくなります。
このような操作を行うと、内容を追記した場合や、表示する見出しの順番を変更したときに、内容と連携して図が移動しない、意図しない位置に移動してしまう問題がおきやすくなります。
HTMLで言えば、図をabsoluteで位置を指定していると考えればよいでしょう。そのため、見た目の位置とドキュメント構造上の位置にずれがあっても、表示上はわかりにくくなります。
また、図を挿入する場合に注意すべきは、標準的な画像フォーマットであるPNGやJPEGを利用することです。筆者は、図を記述する際に、OmniGraffleやVisioという図を記述する専用のアプリケーションを利用しています。ワードを利用するメリットとしては、このような外部アプリケーションで図をコピペすれば表示できる利便性があります。
ただし、コピペする場合には、必ず画像としてペーストするようにしてください。ペーストする時に、右クリックでペーストを選択すれば、Windowsであれば[貼り付けのオプション]として、Macであれば[形式を選択してペースト]というメニューが表示されますので、そちらで選択が可能です。
これは、環境依存のあるドキュメントを作らないために必要なことです。自分がMacを使っているが、他の利用者がWindowsの場合には特に注意してください。
目次の作成
見出し、もしくはアウトライン構造を保ったドキュメントであれば、目次はごく簡単に作成できます。目次をドキュメント内に挿入するには、図13のように[参考資料]メニュー(1)から、[目次](2)を選択すると、挿入する目次の例が表示されるので、挿入したい形式を選択する(3)だけで挿入が可能です。
目次はドキュメントにどのような内容が記載されているかの概要が簡単に把握できるので、読む側にとっての利便性も非常に上がります。
最後に
今回は、ドキュメントを記載するための管理構造とその構造を中心に、これだけは知っておくべき機能について紹介しました。
ワードが難しい、もしくは面倒だと感じる点は、多くの場合、見た目についての実現を文字や位置などの設定や空白、または、図形に対するテキストの配置などで、実現しようとしているためです。実際、そのような機能を使いこなすことで、見た目にも問題ないドキュメントが作成できるかもしれません。
しかし、仕様書やマニュアルのようなドキュメント作成であれば、今回紹介した方法だけでも十分実用的なドキュメント作成が可能です。また、凝ったドキュメントや複雑な機能を使ったドキュメントにしないことで、他の人が気兼ねなく、変更しやすいドキュメントを維持できます。
従って、筆者はこの程度の機能しか使わないことをむしろ、推奨したいと思っています。
次回は、ドキュメントの内容編集機能以外の機能について、便利な機能を紹介したいと思います。